NHK「坂の上の雲」の最近のブログ記事

第5回 留学生 2009年12月27日(日) 放映
 【総合テレビ】 午後8時00分
 【デジタル衛星ハイビジョン】 午後5時30分
 【衛星第2】 午後10時00分

明治28年(1895年)9月、真之(本木雅弘)は「筑紫」が呉に帰還したのを機に、松山に子規(香川照之)を見舞った。  その頃、子規は大学時代からの友人である夏目金之助(後の漱石・小澤征悦)が松山中学の英語教師として赴任しており下宿をともにしていた。  帰途、真之が律(菅野美穂)に子規の病状を尋ねると、自分が必ず治してみせると律は気丈に答えるのだった。  やがて、帰京することになった子規は、途中、大和路を散策。句に「柿食えば 鐘が鳴るなり 法隆寺」。

明治30年6月、海軍の若手将校に海外留学の話が持ち上がる。  真之はヨーロッパの大国への留学よりも、敢えて新興国アメリカへの留学を決意。  真之の親友・広瀬武夫(藤本隆宏)は将来の日露の衝突を予見し、ロシアへの留学を希望する。  出発を前に見舞いにきた真之に、子規は命がけで俳句を作ると決意を語る。

留学中、真之は世界的に著名な海軍の戦術家アルフレッド・マハン(ジュリアン・グローバー)に教えを乞い、勃発したアメリカ・スペイン戦争では観戦武官となる機会を得た。  その報告書は日本の海軍史上比類なきものといわれている。  一方、広瀬はロシアで諜報活動の役むきも果たしていた。  そんな中、海軍大佐の娘アリアズナ(マリーナ・アレクサンドロワ)と知り合い、見事なダンスを披露して喝采を浴びる。

真之はアメリカで新興国の勢いを感じ、伝統にとらわれない合理的な戦術に目を見張ることになる。  また、駐米公使の小村寿太郎(竹中直人)から日英同盟の構想をきかされるとともに、英国駐在武官を内示される。

明治33年、(1900年)1月、真之は英国を目指す船上にあった。  世界情勢はヨーロッパ列強に日本、アメリカが参入し、新しい時代を迎えようとしていた。

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NHK松山放送局のHPより転載)


日清戦争での壮絶な体験を経て、物語の3人の主人公はそれぞれが目指す世界を見据え、羽ばたいていく。  そんな回だったように思います。  自らの命令により可愛がっていた部下を失った真之は「自分は軍人として生きてゆけるのか」と苦悩していました。  でも、そんななかでアメリカ留学を決めたところに彼の覚悟・・・・のようなものを感じます。  又、喀血し脊椎カリエスも発症する子規は自らの残り少ない時間をひしひしと感じる中で、自分の生きた証として何が遺せるのかに拘ります。  まるで物見遊山に出かけるかのごとくに従軍記者を目指していた時の子規は、時代の雰囲気に浮かされた若者・・・・という印象が否めなかったのですが、ここへきていきなり成熟した感があります。  そして、「迷い」とは無縁に見える好古は後進指導に新しい道を見出しています。

誰も彼もが通り過ぎる「自分が得たものを何らかの形で世に生かすにはどうするべきか?」という問いに真っ向から真摯に対峙する姿に好感を覚えました。  彼らはこれまでの人生から得たものを自分のなかで消化し、それを足がかりにさらに成長しようとしています。  その姿は彼らがいかに生きることに対して真剣であったかを説得力をもって示してくれています。  ただ、そんな彼らが突入していく時代は決して安穏とした幸せには満ちていないけれど・・・・・。  
 

第4回 日清開戦 2009年12月20日(日) 放映
 【総合テレビ】 午後8時00分
 【デジタル衛星ハイビジョン】 午後5時30分
 【衛星第2】 午後10時00分

明治27年(1894年)。  南下政策を推し進めるロシア、自らの属国と自負する清国、新たに地歩を築きたい日本、その三国の間で朝鮮は揺れていた。  そこへ起きた、いわゆる東学党の乱に端を発して、日本と清国の間に戦争が勃発する。  好古(阿部寛)は、乃木希典(柄本明)らとともに出征し、旅順要塞の攻撃に参加。  好古は率いる騎兵をもって敵情を克明に探った。  その報告をもとに総攻撃が開始され、わずか一日で旅順は陥落。

翌年、新聞「日本」の記者として働く子規(香川照之)は主筆の陸羯南(佐野史郎)に懇願して従軍記者となり、清国の戦地に赴くが、すでに日清両国政府の間では講和の談判が始まっていた。  破壊された村々を回るなか出会った軍医の森林太郎(後の森鴎外・榎木孝明)と戦争について語り合う。  真之(本木雅弘)もまた巡洋艦「筑紫」で初めて実戦に参加し、部下を死なせてしまい現実の惨状に衝撃を受けるのだった。  そして、帰還した真之 は、東郷平八郎(渡哲也)と語る機会を得て・・・。

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NHK松山放送局のHPより転載)


とうとう日清戦争が始まってしまいました。  KiKi は学校の日本史の授業で日清戦争という出来事そのものは一応勉強したし、その背景には朝鮮をめぐる日清両国の利害の対立があったことも学んだけれど、戦争という行為がどのように始められるのか等々については、正直なところよく知りません。  だから今回のドラマ冒頭で「宣戦布告前」に始まった豊島沖の海戦(敵艦を追いかけていた日本の巡洋艦「浪速」が英国国旗を掲げた汽船「高陞号(こうしょうごう)」を発見し、その船に清国兵が満載されていることを目にした「浪速」の艦長・東郷平八郎が、あれやこれやと手を打った挙句「高陞号」を撃沈した戦い)の様子を最初は何が起こっているのかよくわからない状態でじっと見ていました。

そもそも KiKi は戦争における「正しい手順?」をよく知らないんですよね~。  でも、冷静に考えてみれば何も問題がない状態でドンパチしちゃったらそれは大きな外交問題で、その前提に立つといかに複数国間の緊張状態がある状況だったとしても、「宣戦布告」がなされていない状態は一応「平時」という認識をすべきなんじゃないかと思うんですよね。  で、その「平時」に敵艦隊の撃沈を命じなければならないということには、当然のことながらそれなりの手順が必要なわけで、それがあの冒頭何十分間かで繰り広げられた「高陞号(こうしょうごう)」と巡洋艦「浪速」の間のやりとりだったんだ・・・・・ということを理解するまでにちょっと時間がかかりました。  

ずっと前に KiKi の大好きなアメリカのTVドラマ「ホワイトハウス」の中で、大統領補佐官のレオ・マクギャリーと軍部のお偉いさん、フィッツウォレスが「君には平時と戦時の違いがわかるか?」「最近ではよくわからない」というようなやりとりをしているシーンがあったんだけど、その意味をこのシーンを見ながら改めて考えさせられました。  もしも「平時と戦時の違い」が「宣戦布告」のあるなしによって判断されるべきものだとすると、東郷さんの判断が是と見なされる理由は何なのだろう・・・・・とか、緊張状態にある中で、小競り合いが起こった場合、それはどう解釈されるんだろうかとか、小競り合いと大競り合いの違いは何?とか・・・・・・。  色々考えてみたんだけど、正直なところ KiKi にはよくわかりませんでした。  翻ってこのドラマにおける豊島沖の海戦で、いかに東郷さんがそれなりの手順を踏んでいたとしても「宣戦布告をしていない状態で」尚且つ「イギリス国旗を掲げた船」を撃沈したという事実をどのように解釈すべきなのかというのはものすご~く複雑、かつ難しい問題だなぁと思う訳です。  

あ、別に KiKi は東郷さんが間違っていたとかそういう風に思っているわけではありませんよ、念のため。  ただ、これを考えたり論じたりするには KiKi はあまりにも戦争を、そして国際法を知らなすぎる・・・・・と思い知らされたんですよね。  

因みに KiKi の手元にある2003年11月に第8刷として販売された「詳説 日本史研究」(山川出版社)によれば

1894年5月に朝鮮で東学党の乱(甲午農民戦争)がおこり、朝鮮政府はその鎮圧のために清国に派兵を要請。  6月に清国は軍隊を送り、日本もこれに対抗してただちに出兵した。  両国の出兵により農民の反乱は収まったが、日本は日清両国で朝鮮の内政改革にあたることを提案、清国政府はこれを拒否した。  ちょうどその頃、日英通商航海条約が締結され、イギリスが日本に好意的な態度を示したので、日本政府(第2次伊藤内閣)もついに開戦を決意し、7月には豊島沖の海戦によって日清戦争が始められ、8月には正式に対清国宣戦が布告された。   

とあります。  だから「宣戦布告」より前に起こった豊島沖の海戦が事実上の日清戦争の開始年月という認識になるようです。  そうすると、宣戦布告までの1ヶ月間っていうのは「戦時」?  それとも「平時」??  う~ん、やっぱり戦争っていうのは理解するのが難しい・・・・・。  まあ、だからこそ伊藤博文さんは怒っていたし、山本権兵衛さんは一応東郷さんに説教しなきゃいけなかったし、東郷さんは覚悟の上の決断を行った・・・・ということなんでしょうね。  

そうそう、話はいきなり下世話なことになっちゃうけど、山本権兵衛さんの初登場のシーン。  正直 KiKi はどなたが演じているのかわかりませんでした。  でも山本権兵衛さんほどの人を演じる方が無名の新人のはずはありません。  で、東郷さんを説教するシーンでよ~く見つめてみて初めてそれが石坂浩二さんだということに気がつきました。  ひょっとした太られました?石坂さん。  それとも衣装の下に何か詰め物でもなさいました??  でもほっぺもどことなくふっくらしていらしたような・・・・・。  凡そ「お宝発見!」番組で司会をされていらっしゃる方と同一人物とは思えなかったんですけど・・・・・ ^^;

第3回 国家鳴動 2009年12月13日(日) 放映
 【総合テレビ】 午後8時00分
 【デジタル衛星ハイビジョン】 午後5時30分
 【衛星第2】 午後10時00分

西欧列強の荒波の中に漕ぎ出した「少年の国」明治日本もまた、主人公たちと同じように、世界という舞台で悩んでいた。

明治22年(1889年)、大日本憲法発布、日本は近代国家の基礎を固め始めた。  この年の夏、子規(香川照之)は病気療養のため松山に帰郷。  真之(本木雅 弘)も江田島から帰省し、二人は3年ぶりに再会。  子規は俳句の道をいくと打ち明ける。

明治24年5月、来日中のロシア皇太子ニコライ2世が暴漢に襲われ、ヨーロッパの大国ロシアとの間に緊張が走る。  その頃、海軍兵学校を卒業し海軍にいた真之(本木雅弘)は 後の連合艦隊司令長官となる東郷平八郎(渡哲也)と出会う。

フランスから帰国し陸軍士官学校の馬術教官になっていた好古(阿部寛)は、児玉源太郎(高橋英樹)の勧めで多美(松たか子)と結婚。  そして二人は海軍、陸軍でそれぞれに臨戦態勢に入るのだった。

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NHK松山放送局のHPより転載)

第1回及び第2回では、この物語の主人公たちはまずは自分がどのように生きるべきかに迷い、悩み、何かを選択し、その中で転機を迎えという「青春群像劇」という感じがしていたものが、この第3回を迎え、彼らはようやく個人から公へ、明治という時代の中で母国日本のために自分が何をなすべきか・・・・という生き方への転換が見られるようになった・・・・そんな気がします。  そう、要するに本当の意味での「大河ドラマ」になってきた・・・・そんな感じです。  もちろん彼らの青春時代は KiKi が過ごしてきたそれと比べるとはるかに己よりも国をいかにすべきか、その中で自分は何をなすべきかという意識が強いという印象があるんだけど、好古さんはちょっとだけ年長なので若干別格としても第1回及び第2回の真之さん & 子規さんはやっぱり何のかんのと言ってもよくも悪くも「書生さん」だったと思うんですよね。  「書生さん」っていうのがどういうステータスなのか?と問われれば、好古さんが小説の中で至極明快な定義をされています。  「要するに何者でもない存在」・・・・・と。  好古さんだけは第1回からして、かなり大人びた子供だったと思うけれど、真之さんはある意味本当にヤンチャ坊主で、第2回にして「海軍兵学校へ行く」と決めたものの、まだまだ駆け出しのヒヨッコだったし、子規さんは「俳句をやっていく」と目指す方向こそ決めたもののやっぱり書生さんのままだったのが、みんな本当にたくましくなられました。    

子規が初めて吐血したのが、まだ学生帽を被っていた「書生さん」の年齢であったことがとてもショックでした。  当然小説を読んでいて知っていたはずなんだけど実は KiKi は実感できていなかったんですよね~、そこまで若い時代だっていうことは。  でもね、今回のドラマでそれを映像で見せつけられた時、何とも言えない感情が湧きあがってきました。  帝国大学を辞めてまで「新聞日本」に居場所を見出そうとした子規。  残された時間が短いことに焦り、とにかく「何かを遺さずには終われない」という意識を持った子規。  自分の生きた証を残すことにそこまで必死でいられたのは、明治と言う時代故なのか、病身故なのか、それとも武士の時代に生を受けた人間特有の生きざまなのか・・・・・。  相変わらず自分が何者なのか迷い続けている KiKi にしてみると、本当にスゴイことだと思います。

そしてもう一つ、今回の子規を観ていてあらためて感じたのは KiKi は現代にはびこる拝金主義を軽蔑しているつもりだったけれど、実はそれが欺瞞だったことに気がついてしまいました。  KiKi は子規のように「人の偉さを測る尺度は色々あるけれど、10円で10円分の仕事をする人間よりも1円で10円分の仕事をする人間の方が偉いんじゃ」と思ったことはただの一度もありません。  「楽して儲ける」という発想は KiKi の中にはなかったと自信を持って言えるけれど、外資系の会社で長く仕事をしてきたせいか心のどこかに Pay for Performance という意識があって、「やればやったなり、やらなければそれなり」という考え方が軸にあるんですよね。  やればやったなりだから拝金主義とはちょっとは違う・・・・・と思いたいけれど、でも「やればやったなりに稼げる」ことが前提になっている時点でやっぱりどこか子規や真之、そして好古とは根本のところで価値観が違ってしまっている自分を再発見してしまったような気がします。  それにそもそも Pay for Performance という考え方自体が金に価値観を置いているわけで・・・・・。  ひょっとしたらこれが KiKi には愛国心がないという自負があるということと広義では同じこと・・・・なのかもしれません。  少なくとも利己主義であることだけは間違いのない事実・・・・だと思うんですよね。

ここまでのお話の中で KiKi はどうも好古さんがことのほかお気に入り・・・・・のような気がしていたんですけど、この回をもってそれは確信に変わりました。  何ていうか KiKi が理想とするプライドを持っている人だと思うんですよ。  そして、大切にすべきものが何かという美意識に近いものに共感 もしくは 憧れを感じることができる人・・・・そんな風に感じたんです。  今回のドラマの中で一番好きだったエピソードが秋山家の当主八十九翁の死に際し、好古が真之に送った手紙です。  筆まめだっていうこともポイントが高いんだけど(笑)、その文面に溢れている弟や家族に対する思いやりの心、そしてそれ以上にフランス式に八十九翁の言わば「死亡通知」をフランス語でしたため、それを知人に配って「秋山好古大尉の父としてその名がフランスに知れ渡った」と言う好古さんの心意気みたいなものにものすご~く感じ入ってしまいました。  

先週末、KiKi は久々にLothlórien(山小舎)に行っていました。  日曜日の夜、山から都会へ戻ってくるため、「坂の上の雲」の第2回はReal Time で観ることができず、留守録 Video をようやく今日になって観ることができました。  てなわけで、若干出遅れた感もなきにしもあらずですが、「坂の上の雲 第2回」放送の Reivew を今から書き連ねたいと思います。

第1回 青雲 2009年12月6日(日) 放映
 【総合テレビ】 午後8時00分
 【デジタル衛星ハイビジョン】 午後5時30分
 【衛星第2】 午後10時00分 

明治17年(1884年)、上京から1年。  真之(本木雅弘)と子規(香川照之)が上京した東京は、文明開化の奔流のただ中にあり、伊予松山とは別世界であった。  

9月、真之と子規はそろって大学予備門に合格。  報告を受けた好古(阿部寛) は座右の銘である福沢諭吉の言葉「一身独立して、一国独立す」をもって、自分を甘やかすな、と諭す。  そこへ下宿先の娘・多美(松たか子)がお祝いだと言って大きな鯛をもってきたので、気まずくなるが・・・。  好古が在学する陸軍大学校では、児玉源太郎(高橋英樹)がドイツから教師として、智謀神ノゴトシとうわさされるメッケル少佐(ノーベルト・ゴート)を招へい。  日本の陸軍はドイツ式となっていくのだった。

春となり、子規の妹・律(菅野美穂)が松山から出てきて、結婚の予定を打ち明け、真之に子規のことを託す。  やがて真之と子規は予備門で塩原金之助(後の夏目漱石・小澤征悦)と仲良くなったり、野球を始めたりするが、自分たちの将来について悩む。  坪内逍遥に感銘し文学を一直線に目指す子規を見て、真之は「自分は何ができるのか」という 問いに直面。  好古の座右の銘を深く考えた真之は子規と袂を分かち、軍人になることを決意、好古に告げる。

明治19年10月、真之は海軍兵学校に入学し、自分の道を探し始める。  ここで、1学年上の広瀬武夫(藤本隆宏)と親しくなる。  翌々年、兵学校が江田島に移り、真之は休暇で松山に帰省。  父・久敬(伊東四朗)、母・貞(竹下景子)から律が離縁されたことを知らされる。  江田島に帰る真之を三津浜の船着場に追いかけてきた律は離縁の訳を明かす。

その頃、好古は、旧松山藩の若殿の供でフランスの陸軍士官学校に留学中だった。  日本陸軍がドイツ式の体制を目指す中にあって、フランス騎兵団の優位性に着目していた。  明治23年1月、好古は官費留学にきりかわる。  それは、陸軍が騎兵建設を好古に託したことを意味した。

明治という生まれたばかりの時代は青雲の志に満ちていた。  その中で、三人の主人公は、それぞれの将来に向かって歩み始めるのだった。

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NHK松山放送局のHPより転載)

 

この回では好古、真之、子規のそれぞれに転機が訪れます。  兄・好古は本人の希望・・・・とは言えないまでも初めて明治日本を離れフランスへ、弟・真之は迷いに迷った末海軍への道を、そして子規は大学に通いつつ自ら進むべき道の照準を「俳句」に定めたようです。  昔であれば同じ城下でお役目の違いこそあれ、似たり寄ったりの生き方をしていただろう3人の若者が、それぞれに全く違う生き方を選ぶ・・・・・ということ自体が新しい世の中が訪れた証左だったんでしょうね。

とは言うもののやはり今の時代に生きる私たちから見ると、それでもなお息苦しい選択をしなければならなかった彼らの生きざまに目を見張りました。  例えば兄・好古さん。  彼は旧松山藩の若殿様のお供・・・・ということで、ドイツ式が主流だった日本陸軍にいながらフランス留学をすることになります。  ある意味でそれは出世を諦めることに通じていただろうし、今更お殿様もないだろうという時代になっていたにも関わらず、彼は潔く「それが自分に求められていること」と受け入れます。  「潔さ」に拘っているから、自分の力で自分の未来を切り開くんだけど、「自分、自分」と声高に叫ぶのではなく、与えられた環境・与えられた使命をも受け入れ、それを自分の選択とし、その自分の選択を人のせいにはせず自分に恥じない生き方をしようとする。  そんな姿勢に驚きと共に感動を覚えました。  そんな生き方をしているからこそ、フランス騎馬法の方がドイツ騎馬法よりも優れている点を見出すことができたし、次のステップにつながっていく。  そんな風に感じました。

弟・真之さんもある意味ではとっても潔いと思うんですよね。  だって、彼には好古の援助を受けながら勉強を続けるという選択肢も残っていたはずなのですから・・・・・。  しかもその道がとても心地よいとも思っていたわけで・・・・・。  それでも尚且つ、自らの意思でその想いを断ち切って、敢えて海軍士官になるという道を選択しています。  

一人、子規だけが、どちらかというと現代人に近い感覚で、自分・己を優先しているように KiKi の目には映りました。  でも、そんな子規であってさえも太政大臣になるという夢(というより国を出てきたときの大志)と自分の興味のギャップに心を痛めたりしています。  

「何となく生きている」というのが当たり前のような風潮になっている現代人とこの明治の人たちの生きざまの違いはどこから来るのでしょうか?  それはやはり貧しかったから??  彼らがあの時代のエリートだったから???  KiKi はねぇ、海軍の道を選んだ時の真之さんの言葉がグサリと自分の痛い所をえぐってくれちゃったような気がするんですよね~。

「このまま予備門におったら、あしは恐らく第二等の学者になります。  あしの学問は二流、学問をするに必要な根気も二流じゃ。  あしはどうも要領がよすぎますけん。」

本当に秋山真之と言う人が二流の学者にしかなれなかったかどうかはわからないし、原作によれば少なくとも好古さんは弟のことをそういう風には見ていなかったような記述があったけれど、「自分は何を成し遂げるために生まれてきたのか?」を真摯に考える時代だったから、真之さんがヤンチャをしつつもず~っとそれを真剣に考え続けた、そういう人だったからこそ、あの若さで自分をそこまで客観視して分析することができたんだろうなぁと思うと、20代ぐらいからず~っと迷い続け、不惑の40代を迎えても相も変わらず気持がフラフラしている KiKi は我が身を恥じ入るばかりです。  

KiKi はね、競争社会というものに否定的な意見を持っている部分もあるし、「♪ No.1 にならなくてもいい ♪」という歌を初めて聴いた時も実は結構感動したりしたんだけど、この時代のエリート君たちは常に No. 1 を目指していたからこそ、こういう選択ができたのかもしれない・・・・・とも思ったりして、競争社会というのも本当は悪くないんじゃないか・・・・と思っちゃった(苦笑) 

楽しみにしていたNHKスペシャルドラマ「坂の上の雲」の第一回を視聴しました。  過去に KiKi はドラマレビューサイトみたいなものを開設していたことがあったのですが(そこで扱っていたのはほとんど海外ドラマばかりでしたが・・・・・ ^^;)、久々にこのドラマに関してはあの頃を思い出して(?)感想をアップしていきたいと思います。  まあ、何といってもこのドラマ、3年がかりの放映なので、来年第2部を視聴する際には第1部を、再来年第3部を視聴する際に第1部と第2部を、思い出すヨスガになる何かが欲しい・・・・という気持ちもありまして・・・・・(笑)

第1回 少年の国 2009年11月29日(日) 放映
 【総合テレビ】 午後8時00分
 【デジタル衛星ハイビジョン】 午後5時30分
 【衛星第2】 午後10時00分

260年続いた幕藩体制を倒して、日本には「明治」近代国家が誕生した。  その国は、帝国主義まっただ中の西欧列強という「大人」たちに囲まれた「少年の国」であった。  四国・伊予松山に三人の男がいた。  後に明治日本が直面した最大の危機「日露戦争」において、大きな役割を担うことになる秋山好古(阿部寛)・真之(本木雅弘)兄弟と日本の近代文学を代表する正岡子規(香川照之)である。  三人の主人公は松山の人々とその風土の中で育ち、やがて東京へと旅立って行く。  後年、そろって帰郷した三人は、松山城を背に記念写真に納まる。

明治16年(1883年)、好古は東京の陸軍大学に入学。  その年の6月、自由民権運動の熱弁をふるっている子規に妹の律(菅野美穂)が手紙を持ってくる。  東京の叔父から上京を促す手紙だった。  喜び、すぐさま東京へ。

松山に取り残されたような複雑な心境の真之のもとにも好古から面倒をみるとの手紙が届く。  真之は好古の下宿で暮らし始め、子規の後を追うように神田の共立(きょうりゅう)学校に入学、大学予備門を目指すことになる。

そんな、ある日、真之と子規は、共立の英語教師・高橋是清(西田敏行)の誘いで横浜にくり出した。  そこで、二人は最新鋭の巡洋艦「筑紫」を目の当たりにし、その威容に圧倒される。  そんな二人に、高橋は日本が紳士の国になるべきことを説くのだった。

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NHK松山放送局のHPより転載)

この第1回を観てのもっとも大きな感想は「価値観の大変換が起こったばかりの明治という時代を本当に丁寧に描いているなぁ」というものでした。  米作りと養蚕しか産業らしい産業のなかった時代の貧しさ、武士階級が率先して起こした幕末の動乱期&明治維新という動きではあったものの、その機動力であったはずの武士が滅び去る必要があったという時代のジレンマ。  「国家」「国民」という考え方を試行錯誤しながらも育んでいた時代。  そんなものがヒシヒシと伝わってきました。  子規の断髪のエピソードは小説を読んでいた時には特に心にひっかかることもなくさらっと過ごしてしまったのですが、ドラマでは妙に心に残りました。  あれって「新しい時代への希望」であるのと同時に「古いものとの惜別」だったんですねぇ~。  明治という時代が抱えていた2つの相反する価値観・・・・のようなものの中から己の核心をベースに何かを選びとっていく時代だったんですねぇ~。

散切頭(ザンギリあたま)をたたいて見れば文明開化の音がする 総髪頭(そうはつあたま)をたたいて見れば王政復古の音がする 半髪(はんぱつ)頭を叩いてみれば因循姑息の音がする

小学生の頃、この(↑)前半だけは教科書(or 参考書)にも載っていたし、断髪令やら廃刀令との絡みで暗記したけれど、そんな中、子規のおじいちゃんのような人もいたし、おじいちゃんの没後、なかなか断髪に踏み切れなかった孫もいた。  それが明治という時代だった・・・・というのが、初めて KiKi のおなかにストンと落ちたような気がしました。      

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