モーツァルト 孤児院ミサ K.139

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さて、では KiKi の「勝手にモーツァルトの宗教音楽週間」第一弾はこちらです。

モーツァルト 孤児院ミサ(荘厳ミサ) K.139
Brilliant 99728/7 演奏:Nordic Chamber Choir; Mannheim Kammerorchester, Nicol Matt 録音:2001年2月

Mozart_Masses.jpg

 

この曲は神童12歳(小学校6年生!!)の作品で、1767年12月7日に、ウィーンのレンヴェーク街(現在の第3区)にある帝立孤児院付属聖堂の献堂式(キリスト教で、新築の会堂を神にささげる儀式)のために作曲されたものなのだそうです。  でも一聴して感じること、それは「ありえな~い!!! 」というもの。  これは誰が何と言おうと子供の作品なんかじゃありません!!!

KiKi はそれなりの数のモーツァルトの音楽を聴いてきた自負はあるのですが、彼の少年期の音楽はどれも素晴らしい天才を示してはいるもののどこかしらに「少年らしさ」のようなものを感じるんですよね。  でもね、ことこの曲に関してはそんな「少年らしさ」は微塵も感じられません。  だいたい「献堂式」なんていう晴れがましそう(← よくは知らないのですが ^^;)なイベントの言ってみれば祝典用の音楽だと言うのに短調の曲を作っちゃうところからして、子供の発想とは思えません。  短調の曲を作ることを提案したのはお父さんのレオポルドだったらしいんだけど、そう言われてチョチョイのチョイと(・・・でもなかったようですが)こんな曲が書けちゃったというだけでも信じられません!!!  彼の頭の構造はどうなっていたのでしょうか?? 

まずは曲の構造から(因みにミサ曲の伝統的構造はこちら

KYRIE
1. Kyrie eleison
2. Christe eleison
3. Kyrie eleison

GLORIA
4. Gloria in excelsis Deo
5. Laudamus te
6. Gratias agimus tibi
7. Domine Deus
8. Qui tollis
9. Quoniam tu solus sanctus
10. Cum Sancto Spiritu

CREDO
11. Credo in unum Deum
12. Et incarnatus est
13. Crucifixus
14. Et resurrexit
15. Et in Spiritum Sanctum
16. Et unam sanctam catholicam
17. Et vitam centuri saeculi
18. Sanctus
19. Bededictus

AGNUS DEI
20. Agnus Dei
21. Dona nobis pacem

総演奏時間 43分35秒

小学生の書いた音楽が演奏に45分弱を要するんですよ!!  5分とじっとしていられないような凡人だったら遊びたい盛りの少年期であることを考えると、それだけでもどう考えてもです!^^;

で、この音楽がもっと単調なものだったら(要は長いだけの音楽だったら)少年の作として認めてあげてもいいのだけど、内容・・・・というか音楽が深いんですよ!!  深遠なんですよ!!  とにかく凄いんですよ!!!  だいたい冒頭の Kyrie eleison からして壮大な和声の叫びっていう感じで、「主よ、憐れみたまえ!」っていう哀願はこんなにも切実なものなのかと思わずにはいられません。  で、その切実で悲壮感漂う哀願はあっという間に聞き届けられたかのように短調の世界から長調の世界(祝典風)へ。  この転換がまたモーツァルトらしいんですよね~。  唐突なんだけど不自然じゃない。  

グローリアは「神に栄光」(合唱)、「我ら主を褒め称え」(ソロ)、「感謝し奉る」(合唱)、「神なる主」(ソロ)、「世の罪を除きたもう」(合唱)、「主のみ聖なり」(ソロ)、「聖霊とともに」(合唱)という構成になっています。  合唱とソロが交互に入り混じっているわけですけど、その合唱部分の和声の何と美しく深みのあることか!!  そしてそれに続くソロの何という平穏!!  特にソロ部分は余計な装飾をすべて拝したリートのようで耳に優しい音楽です。  合唱とソロが入れ替わるたびに調性や速度がその都度変わるので変化に富んだ表情が生まれます。  これは計算ずくでこういう風に書いたんだろうか??  本能的に書いているのだとしたらそれはそれで凄いし、計算しているんだとしたらやっぱりそれは子供の頭じゃない!!  

クレドは信条告白です。  ここで1番の聴きどころは Crucifixus だと思います。  キリストの受難のシーンの荘厳さ、半音階の巧みな使用によるものすごい緊迫感、そしてトランペットの使い方(弱音器使用?)はまるで本当のお葬式みたい・・・・。  で、イエスの復活。  ラテン語はさっぱりわからないんだけど、幸いバッハのミサ曲ロ短調を愛聴しているのも手伝って、でもそれ以上にモーツァルトの音楽がそれぞれの場面をくっきりと頭に描かせてくれます。  くどいようだけど、これ、本当に12歳の子供が作曲した曲ですか??  そうそう、クレドの中の「聖霊によりて、処女マリアより御からだを受け;Et incarnatus est」の部分の甘美さも特筆ものです。  2人の女声ソリストの歌に寄り添う弦の通奏低音っていう感じで、耳慣れたバッハの音楽を彷彿とさせます。  ここが甘美なだけに次の Crucifixus の痛ましさが増すんですよね~。  Sanctus (聖なるかな)の部分だけはちょっとねぇ~。  あんまり「聖なるかな」っていう感じがしません ^^;  KiKi にとって「聖なるかな」っていうのはピュアで素朴であって欲しいのにちょっと装飾過多っていう気がしないでもない。  で、そこまでこの音楽の底に流れていた荘厳な雰囲気がちょっと吹き飛んじゃって軽くなってしまったような・・・・。  まぁこれはひょっとしたら演奏のせいっていうのもあるのかもしれないから、この1枚だけで判断しちゃいけないんだろうけれど・・・・。  ベネディクスはソプラノのソロと合唱の絡み合いが美しい部分。

そしてアニュス・デイ。  冒頭のトロンボーンの旋律がとっても印象的です。  最初の「神の子羊、世の罪を除きたもう者よ、われらを憐れみたまえ」の部分は悲愴感に満ちているんだけど歌とオケが切々と訴える「憐れみたまえ」が胸にしみいります。  その後の「我らに平和を与えたまえ。」で長調に転調。  ちょっと舞踊風。


モーツァルトの宗教音楽って基本的にはザルツブルグ時代の産物なので、必然的に少年期、もしくは青年期の作品ばかりになってしまうから正直なところあまり期待していなかったのですが、これは凄かった!!  願わくば他の演奏でも聴いてみたい曲なんだけどあんまり CD 化されていない曲みたいですね~。  どなたか、「こんなのあるよ。」という情報をお持ちの方がいらっしゃるようであれば、是非 KiKi にご教授ください。

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2006年5月 1日 12:55に書いたブログ記事です。

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