神々の位置づけについて その1

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「ニーベルングの指環」の物語をより深く楽しむためには、この物語のベースとなっている北欧神話の世界観を知っておいたほうがより自由に様々な空想の世界で遊ぶことができると思います。  そこで今日からしばらくは世界各地の神話世界の中で「神様」がどのような位置づけの存在だったのかについて色々と考えてみたいと思います。

どんな神話の世界にも1番最初に出てくる物語。  それは天地創造の物語です。  例えば世界のトップ・セラー、聖書を紐解いてみましょう。  聖書の第1節はその名も「創世記」です。  どんな風に始まるのかちょっと引用してみると・・・・。

初めに、神は天地を創造された。  地は混沌であって、闇が深淵の面にあり、神の霊が水の面を動いていた。  神は言われた。
「光あれ。」
こうして、光があった。  神は光を見て、良しとされた。  神は光と闇を分け、光を昼と呼び、闇を夜と呼ばれた。  夕べがあり、第一の日である。  
(日本聖書協会 聖書 新共同訳より)

ここを読んでわかることは、神様っていうのは最初から存在していたっていうこと、そして何にもないところからこの世界を1から創り出した創造主であるっていうこと、さらには神はひとりだったっていうことです。  神様がどうやって生まれたのかは誰にもわかりません。  どこから来たのかもわかりません。  とにかく最初からそこにいたんです。  そして最初は神様しか存在しないんです。  天と地さえも・・・・。  さすが、砂漠地帯で生まれた宗教だと思いませんか?  砂漠には草も木も水もありません。  あるのは荒涼たる大地と空だけです。  昼と夜だけです。  でもその荒涼たる大地と空さえも神様より以前にあったわけじゃありません。  だから聖書(ユダヤ)の神様はまず最初に天地を創造し、光を創造した・・・・と考えられた(つまり砂漠を創造された)のでしょうね。

この世ができる前からいたのが神様で、この世を創ったのも神様なんですから、当然そんな神様は1番偉いに決まっています。  誰に教えられることもなく創造できちゃうぐらいですから全知全能なんです。  独りぼっちだから禁欲生活は当たり前、寂しさにだって慣れちゃってます。  独りぼっちだから誰かと争う必要もないので、武力は必要なくてとっても温厚で思慮に富んでいるんです。  他にすることがないから、とっても働き者なんです。  たった6日で色々な新製品を作り上げちゃうんです。  

神様はご自分に模って人を作られます。  そして「産めよ、増えよ、地に満ちて地を従わせよ。」と仰ったものの、人が産んだり増えたりするパートナーを自分では見出せずにいるのを見てはたと考えます。  ご自身がひとりで何でもできちゃうから、人も同じようにできると勘違いしていらしたようです ^^;    

人はあらゆる家畜、空の鳥、野のあらゆる獣に名を付けたが、自分に合う助けるものは見つけることができなかった。  主なる神はそこで、人を深い眠りに落とされた。  人が眠り込むと、あばら骨の1部を抜き取り、その跡を肉でふさがれた。  そして、人から抜き取ったあばら骨で女を造り上げられた。  主なる神が彼女を人のところへ連れてこられると、人は言った。
「ついに、これこそ わたしの骨の骨 わたしの肉の肉。
 これをこそ女(イシャー)と呼ぼう
 まさに、男(イシュ)から取られたものだから。」  
(日本聖書協会 聖書 新共同訳より) 

人として創造されたのがまず「男」だったことがわかります。(同時に神様が「男」であったことも示唆しています。)  で、「女」はその男を助け、産んだり増やしたりするための補助要員、男の従属物だったこともわかります。  ユダヤの神様は最初から男尊女卑なんですよね~。  さすが、母から生まれてきたわけじゃない神様は考え方が違います。  「母」という概念が最初から(創造の段階から)欠如しています。  

 

 

では他の神話はどうなっているのでしょうか?  まずは聖書には遠く及ばないけれどそこそこのセールスを誇るギリシャ神話です。  生憎、ギリシャ神話は聖書ほどきちんと体系だった1冊の書物がありません。  そこで KiKi の手持ちのいくつかの資料から骨子を抜粋してみると・・・・。

世界のはじめは、形もはっきりしないどろどろした塊で、天も地も海もみなごちゃごちゃに混じりあっていた。  これをカオス(混沌)という。  このカオスから最初に生まれたのがガイアだった。  ガイアは大地を象徴した女神で、広い胸を持っていた。  そこでその胸があらゆる神々の住所になった。  このガイアから、愛の神「エロス」、暗黒の神「エレボス」、天の神「ウラノス」、海の神「ポントス」などが生まれた。  これらの神々を、ガイアはひとりで産んだのだという。
(現代教養文庫 ギリシャ神話 山室静著  「ヘシオドスの神統記」より)

まず神様よりも先に世界がそこにあったんですよね~。  ごちゃ混ぜ状態だったとはいえ・・・・。  で、最初に誕生したのが女神なんですよ。  その後の神様は全てこの母親から誕生しているんです。  さらに読み進めていくと、

ところがガイアは、愛の神エロスの働きで、やがて自分の産んだ天の神ウラノスと結婚することになり、ウラノスが神々の王となった。  この天と地との間に12人の子供が産まれた。  男の子が6人、女の子も6人で、ティターン(巨神)と呼ばれ、みんなとほうもなく大きい、力の強い神だった。  そのうち8人が兄妹同士で結婚している。  このほかにも、ガイアは、キクロペとよばれる巨人を3人、ヘカトンケイルとよばれる巨人を3人産んだ。  

ところがウラノスは、はじめからガイアの産んだ子をかわいがらなかった。  それどころか、生まれてくる子供をかたっぱしから大地の穴の中に押し込んでしまった。  母親のガイアはそれを悲しんで、とうとう復讐を思い立った。  鉄で大きな鎌をつくると、穴におしこめられている息子たちを呼び集めて、
「おまえたちのお父さんは、ほんとにひどい人だ。  この鎌で仇を討っておくれ。」
と言った。  子供たちは、みんな乱暴なウラノスを恐れていたので、誰も返事をしなかった。  でも、最後に末の息子のクロノスが元気を出して言った。
「お母さん、僕がやってみます。  あんな自分勝手なお父さんなんか、どうなったってかまうものか!」 

・・・・・・・(中略)・・・・・・・

さて、ウラノスを押しのけたクロノスは、代って神々の王になったが、ウラノスは息子を呪って言った。
「お前もやがては息子のために王座を追われるのだぞ。」
これを聞いたクロノスは、今度は彼の妻のレアが産んだ子を次々に5人も飲み込んでしまった。

レアは悲しんで、今度生まれる子だけは何とかしてクロノスの眼から隠し、無事に育てて、他の子供たちの仇をも討たせたいと考えた。  そこで遠く離れたクレタ島へ行き、そこでこっそり赤ん坊を産むと、山の洞窟に隠した。  この子が後にオリンポスの神々の首領になるゼウスである。  
(現代教養文庫 ギリシャ神話 山室静著  「ヘシオドスの神統記」より)

近親相姦はまず神様から始まった(^^;)ことがわかります。  そして神様たちは子作りにお忙しかったということも・・・・。  ところがこの神様たち、せっせと子供は作るもののどうも子供に対する愛情には欠けていらっしゃるようです ^^;  「作った先から穴に押し込んじゃったり飲み込んじゃったりするんぐらいだったら何で作るんだろ?」と考えてみると、単なる快楽好きなだけのような気がしないでもない・・・・(笑)。  ユダヤの神様に比べると、人間くさいというか、神々しさに欠けるというか、格が落ちるというか・・・・。

で、このときクレタで産み落とされたゼウスは山の洞窟でニンフたちに養われ(生まれながらにしてハーレム状態)、たくましく成長するとクロノスから兄弟を吐き出させたうえで、その兄弟とともにオリンポス山にたてこもって父親クロノスに宣戦布告します。  対するクロノスも兄弟のタイタン族を集めてオッサ山にたてこもり応戦・・・・ということで、天下分け目の関が原。  結果はオリンポス軍の勝利となりました。  勝利したゼウスは2人の兄と世界を分け合い、ゼウスは天、ポセイドンは海、ハデスは地下の世界を治めることになりました。  大地は3人の共有財産です。

これらの物語からわかることは、ギリシャ(オリンポス)の神様たちは天地創造なんていう大偉業はなしていません。  彼らが作らなくても天も地もすでにそこにあったのです。  もっともすでにそこにある状態に至るまでの間には子作り虐待家庭内暴力という歴史が必要ではあったのですが・・・・。

さて、ではオリンポスには何人の神様がいたのでしょうか?  有力だったのは12人で「オリンポスの12神」と呼ばれています。  まずは最高神のゼウス、そして彼と天地を分け合ったポセイドンとハデス。  ここにゼウスの奥さんのヘラとゼウスの妹のヘスチア。  さらにはゼウスの子供7人(アレス、アテナ、アポロン、アルテミス、アフロディテ、ヘルメス、ヘパイストス)を加えて12人です。  ざっと12人の役割分担を列挙すると・・・・・

ゼウス:    最高神。  天の支配者で、雨を降らしたり、雷を投げつける。
ポセイドン:  海の王。  地震を起こし、地下の水の支配者。
ハデス:    地下の国、死者の国の支配者。  
ヘスチア:   いろり又はかまどの守り女神。
ヘラ:     結婚を司る女神。
アレス:    戦いの神。
アテナ:    英雄や王侯の守護女神。  手芸や農業(特にオリーブ)の守り女神。  知恵や理性の女神。
アポロン:   芸術の守護者。  医術の神。  光の神。
アフロディテ: 美と愛の女神。
ヘルメス:   商業・貿易の神。  泥棒の守り神。
アルテミス:  多産と子供の守り女神。  
へパイトス:  火と鍛冶の神。  

ではギリシャ神話の世界では人間はどのように創られたのでしょうか?  巨神とゼウスたちの戦争が終わって一段落したとき、ゼウスは生き残りの巨神、プロメテウスを呼んで言いつけました。

「ひとつ、粘土をこねて人間を作ってくれ。  形は我々に似せてな。  できたら私が息を吹き込んで命を与えてやろう。  お前は知恵を与えてやりなさい。  人間の役目は我々をあがめ神殿を建てることだ。  しかし人間に不死の命を与えるわけにはいかない。  しばらく生きた後で、ハデスの治める黄泉の国へ送ることにしよう。」

ギリシャ(オリンポス)の神様が自ら創造されたのは、人間だけだったようです。  


さて、ではこの物語のベースにあった北欧神話の世界はどうだったのでしょうか?  それは次のエントリーに持ち越したいと思います。

 

その2へ続く

 

 

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