神々の位置づけについて その2

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さて、昨日に引き続き西洋の神話において「神様」というのがどういう位置づけだったのかを考察するその2です。  昨日は「キリスト教」と「ギリシャ神話」の神様について考えてみました。  今日はこの「ニーベルングの指環」の背景になっている「北欧神話」の神様です。  

氷と火炎がぶつかり合うところで、最初の生命が誕生した。  南方にはムスペルと呼ばれるところがあって、そこは踊り狂う炎でゆらめいていた。  北方にはニヴルヘイムと呼ばれるところがあって、氷で固められ、広漠とした一面の雪で被われていた。  このふたつの世界の間には、裂け目(がらんどう)があり、ギンヌンガガップ(あくびする裂け目の意)と呼ばれていた。  この世界には大地も天もなかった。  ムスペルから流れてくる暖かい空気と、ニヴルヘイムからの白霜がぶつかり合って、解けたしずくの中から最初の生命が生まれた。

それは、ひとりの巨人で、霜の巨人「ユミル」と呼ばれ、邪悪な心を持っていた。  彼が眠っている間にかいた汗により右のわきの下から一組の男女が生まれ、こすりあわせた足の間からも別の息子が生まれた。  そうして、「ユミル」はすべての霜の巨人の祖先となり、「アウルゲルミル」と呼ばれるようになった。

ギンヌンガガップでもっとたくさんの氷が溶けるようになると、今度はその流動物が一頭の牝牛となった。  この牝牛の名は「アウドムラ」である。  ユミルはこの牛から流れ出る乳の川から乳を飲んでいた。  又、この牝牛は氷を食料としていた。  あるとき、「アウドムラ」が塩辛い塊を舐めていると、その中から人間の体の一部が現われ始め、3日目には全身が現われた。  彼の名前は「ブーリ」、神々の先祖である。  彼は背が高く、美しかった。  彼は、「ボル」という息子を持ち、その「ボル」は霜の巨人族のボルソルンの娘「ベストラ」と結婚し、3人の男の子をもうけた。  その子たちの名前が上から「オーディン」、「ヴィリ」、「ヴェー」であった。 

「ボル」の3人の息子は、狂暴な霜の巨人族が気に入らず、時が経つにつれて憎むようになっていった。  彼ら3人は「ユミル」と戦い、そして「ユミル」を殺してしまった。  「ユミル」から流れ出た血はあまりにも夥しく、しかもその勢いがあまりにも強かったのでその血の洪水で霜の巨人族はベルゲルミルとその妻以外は悉く滅んでしまった。  (この2人だけは小舟に乗っていたので助かった。)

さて「オーディン」たち3人兄弟は、死んだ「ユミル」の体をギンヌンガガップの中央に運び、そこでその身体から世界を創った。   ユミルの肉塊からは大地を、骨からは山脈を、歯と顎と骨のかけらからは岩や小石を、血からは大地の回りをめぐる海や湖を、頭蓋骨からは天空を創ったのである。  さらに、炎の国ムスペルから飛んでくる炎、火の粉を捕らえ、太陽、月、星を天空に創り、ユミールの脳みそから雲を創った。  

大地の辺境の浜辺ヨーツンヘイムには生き残った霜の巨人を住まわせ(3兄弟とは犬猿の仲)、大地の内陸部にはユミルの眉毛で造った垣根で囲まれたミッドガルドと呼ぶ領域を創り、そこは人間のための領域とした。

ある日、3兄弟が海辺を歩いていると、根のついた2本の木が倒れていた。  1本はトネリコ、もう1本はニレの木である。  兄弟はそれを使って人類の男と女を創り、オーディンが魂を、ヴィリが知力と心を、ヴェーが感覚を与えた。  男は「アスク」、女は「エムブラ」と呼ばれた。  この2人がすべての人類の祖先である。

さらに3兄弟はユミルの肉塊の中で身もだえしていたウジムシに人間と同様の知力と姿を与え、彼らは岩の部屋や小さなほら穴や洞窟に住み着いた。  この人間に似たウジムシが小人と呼ばれるようになった。  

最後に3兄弟は、ミッドガルドの上に新たな世界を創り、自分たちの住みかとした。  それが彼ら神々がすむ国アースガルドである。  アースガルドは城壁に守られており、ミッドガルドとの間を虹の橋ビフレストで結んでいる。  神々は全部で24人(男神12人、女神12人)。  最年長のオーディンが神々の長老となった。

こうして起こったことの全てと世界の全ての地域は、樹の中で最も偉大で最善のトネリコの樹、ユグドラシルの枝々の下に広がることになった。  その根はアースガルドとヨーツンヘイムとニヴルヘイムに張り巡らされていて、それぞれの下には泉があり、一羽の鷹と鷲がその枝に止まっていて、一匹のリスが上へ下へと走り回り、鹿はその枝の中で跳ねながらそれを少しずつ齧り、一匹の竜ががつがつと食んでいるのである。  その樹は露を注がれているが、それは樹そのものに生命を与え、まだ生まれていないものにも生命を与えている。  ユグドラシルは過去にも現在にも存在し、またいつまでも存在し続けるのである。
(参考図書: 北欧神話物語) 


どうやら北欧神話の神様にはれっきとした親がいるようです。  で、その親は牝牛によって塩の塊から生まれたらしい。  神様よりも先に牛がいるっていうのも不思議なお話ですが・・・・ ^^;  で、この神様は天地人間小人は創造したようです。  でもその創りかたを見てみるとリサイクルというか、エコというか、何というか・・・・。

天地が巨人の遺体からできているっていうのは考えようによっては随分とまた荒っぽいお話です。  しかも脳みそまでとはねぇ(笑)。  でもここで注目したいのは北欧神話の世界では「樹」は神様が創るまでのことはなく、最初から存在していたらしいっていうことです。  さすが森林地帯で生まれた神話だけのことはあります。  これが砂漠の民だったらどうにかして「樹」を創造しなくちゃいけないわけだけど、北欧では森林は最初からそこにあるんですものね。  つまり北欧の神様は天地種族は創造されたんだけど、生命そのものは創造する必要がなかったわけです。  ただ人間が人間たる「魂」だけは神様からの賜物だったようですが・・・・。

だからこそ北欧神話の世界は「神々の黄昏」に向かって一直線に進んでいけるのでしょう。  北欧神話はよく知られているようにラグナロクで神々が終焉を迎え人間の時代が到来します。  世界樹・ユグドラシルはラグナロクにあっても滅びることはなく、ノアの箱舟の役割を果たしてリーヴとリーヴスラシルという2人の人間を大災厄から救い出し、さらには新たな時代の生命を育み続けていくのです。  

 

          

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