ワーグナー ニーベルングの指環 ジークフリート(レヴァイン盤)

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さて、もはや「リング熱」の罠にはまりつつある KiKi ですが、本日も引き続き「行けなくても我慢するもん!  勝手に1人バイロイト音楽祭」シリーズ第4弾を敢行したいと思います。  今日は「ジークフリート」です。  一応英雄・・・・らしいんだけど、そこはかとなくお笑いボケ芸人(相棒:ミーメがいると時に突っ込み担当になるけれど)の雰囲気を醸し出しているジークフリートが主人公です。  彼はあの近親相姦カップル、ジークムントとジークリンデの間にできた子供です。  でもねぇ、蛙の子は蛙とでも言うべきか、彼もなかなかぶっ飛んだ行動を取ってくれちゃうので KiKi のお目々は真ん丸くなったり広がっちゃったり瞑っちゃったりとなかなか忙しい・・・・(笑)。  ま、てなわけで本日も張り切ってご紹介、今日の KiKi の1枚はこちらです。

ワーグナー ニーベルングの指環 ジークフリート
DG POBG-1004/5 演奏:レヴァイン指揮 & メトロポリタン歌劇場管弦楽団 収録:1990年4月 & 5月

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ジークフリート:      ジークフリート・イェルザレム(T)
ミーメ:          ハインツ・ツェドニク(T)
さすらい人(ヴォータン): ジェイムズ・モリス(Bs.Br)
アルベリヒ:        エッケハルト・ヴラシハ(Br)
ファフナー:        マッティ・サルミネン(Bs)
エルダ:          ビルギッダ・スヴェンデン(A)
ブリュンヒルデ:      ヒルデガルト・ベーレンス(S)
森の小鳥の声:       ドーン・アップショー(S)


で、恒例の KiKi のお気に入りのベーム盤のご紹介はこちらです。

PHILIPS 412 483-2 演奏:ベーム指揮 & バイロイト祝祭管弦楽団 録音:1967年

21CFRBV5RAL__SL500_AA130_.jpg    (Amazon)

さて、起承転結の「転」にあたるこの「ジークフリート」。  ここまでくるとようやく物語の全貌が見えてきます。  ワルキューレのヴォータンの苦悩のモノローグからも何となくうっすらと何がどうしてどうなっているのか伺えないこともないんだけど、やっぱりファフナー(巨人族)、アルベリヒ(ニーベルング族)、ヴォータン(神)の役者が揃わなくちゃ、オペラタイトルにもなっている「ニーベルングの指環」がどうなっちゃったのかはわかりにくい・・・・ ^^;

で、そのお話に行く前に、ここでの主役は一応「ジークフリート」なので彼についてもちょっとだけ触れておきたいと思います。  ↑で KiKi は「蛙の子は蛙とでも言うべきか、彼もなかなかぶっ飛んだ行動を取ってくれちゃう」って書いたんだけどそのお話をしておきますね。  実はコイツ、英雄の仮面をかぶっていますがお笑い芸人不道徳なワルなんですよね~。  だって養父(ミーメ)殺しの殺人犯だし、その死体遺棄犯だし、ついでに親の真似して近親相姦までするし・・・・ ^^;  ある種の人権擁護団体がそれだけ聞いたら、真っ赤になって文句を言いそうな罪状ばっかりでしょ。  ま、少なくとも法治国家である現代日本でこんなことしていたら、どんな事情があろうともさすがに「英雄」とは呼んでもらえないでしょう。  最後の近親相姦は彼1人じゃできないから、ブリュンヒルデも同罪だけどね(笑)。  でもそういう部分には比較的寛容なのが「神話」や「伝承」の世界なんですよね~。  おかげでジークフリートはタイトル・ロールとしてどで~んとデカイ顔をしていられるのです。  ま、詳細はこちらのあらすじで読んでやってくださいまし~(笑)


(注)「近親相姦」だけはあらすじには書かないのでちょっと補足。  ジークフリートは火に包まれて岩山で眠るブリュンヒルデを目覚めさせて妻にするんだけど彼らの家系をたどってみると・・・・・。  ジークフリートはヴォータンと人間のヴェルズング族の女性との間にできた不義の子である、ジークムントとジークリンデの忘れ形見(つまりヴォータンの孫)。  対するブリュンヒルデはヴォータンと智の女神エルダの間に産まれた娘。  つまりこの2人の関係は甥と伯母さんっていうわけ。


さて、では指環がどうなっちゃっているのかをここで整理しておきましょうね。  まず「ワルキューレ」ではヴォータンの独白の中にしか出てこなかったこの諸悪の根源とも言える「力の指環」が「ラインの黄金」でどうなっていたのかと言うと・・・・。

ラインの川底で「指環」の原材料が「ラインの黄金」として眠っていた
   ↓
愛を諦めたニーベルング族のアルベリヒがその黄金を強奪、「指環」を完成、所持、覇権掌握
   ↓
神々の長ヴォータンがアルベリヒから謀略によってかっぱらう
   ↓
巨人族が神々の居城であるヴァルハラ城建築の対価として譲り受ける
   ↓
巨人族の兄弟喧嘩の末、ファフナーが生き残り宝を独占

つまり、このジークフリートが始まる時点では巨人族のファフナーが持っているわけです。  で、その後ジークムントとジークリンデの不倫の恋があったり、ワルキューレであるブリュンヒルデが父親の命令に背いて罰を受けたりということがあったわけだけど、その間アルベリヒやヴォータンが指環のことを忘れちゃっていたのかと言えばさにあらず・・・・。  だって「権力の指環」だもん。  愛を諦めたアルベリヒは再びそれを手にすれば世界征服できちゃうわけだし、ヴォータンはそんなことが起これば自分たち「神々」の覇権が覆されて滅ぼされちゃうわけだし、巨人族のファフナーは労働に対する正当な対価だから手放したくないわけだし・・・・。

で、どうなっているかというとね、

 

ファフナー:  

契約に守られた正当な対価(権利)として得た全ての宝を守るために大蛇(竜とも言われる)に変身!  宝の上にどっかと乗っかり泥棒が近づいたら一口で食べちゃったり、絞め殺したりしている。  
← そこまでしないと権利が守れないほど混沌とした世界だったっていうことですよね。

アルベリヒ:  

何とか自分の手で取り戻す機会を狙いつつ、「愛」ではなく「金」の力で女性をたぶらかし、自分の無念をはらす次世代の育成にも励んでいる。
← ニーベルング族の威信にかけても何世代かけてでも絶対に取り戻すという気迫が感じられます。

ヴォータン:  

「ヴァルハラ城建築請負契約」による対価として巨人族への支払いを指環でしたヴォータンは自身は指環には手を出せない。  (混沌とした世界だけど契約の力はヴォータンを縛るのには有効らしい ^^;) で、考え抜いた賢い神様は自分の代わりに指環を奪還してくれる「愛を諦めないもの」育成に夢を託すことにした。  要は神々の意思や保護・援助とは無関係に、自分自身の意思でヴォータンの希望を叶えてくれる種族を育てれば、少なくともアルベリヒに渡す必要はなくなるので、そうなったらその先のことはまたその時考えよう・・・・っていう感じかな?  で、自らヴェルズング族の女性と関係をもってジークムントを産んでもらって彼に夢を託そうとしたのだけど、フリッカの怒りによってジークムントには死の運命を与えなければいけなくなっちゃったし、挙句に最愛の娘ブリュンヒルデまで失わなければならなかったという間抜けぶり・・・ ^^;  だからこの時点では「絶望感」を心の友としながらも、孫にあたるジークフリートに一抹の望みを託している状態。
← かなりまどろっこしいやり方だけど、自分が手を出せない以上仕方ない・・・・っていうところでしょうか?

 

で、「指環争奪戦」の役者がこの3人だけだったらまだシンプルでいいんだけど、ここに伏兵が1人いるんですよ。  それがアルベリヒの弟のミーメ。  兄貴にこき使われていたこのニーベルング族は運命のいたずらで、ジークフリートを身篭った逃亡中のジークリンデと行き会い彼女を助け、出産と同時に息を引き取った彼女からジークフリートとノートゥングの破片を引き継いでいたんですよね~。  で、当然彼は「指環」の威力を知っているわけで、ついでに未だに独り者(愛を諦めた?)状態だから指環が欲しくて仕方ない・・・・ ^^;  で、ジークフリートを利用して指環強奪を画策中。

KiKi はこの「ニーベルングの指環」が大好きなんだけど、この物語って下手な歴史書よりずっと面白いと思うんですよね~。  まだ若かりし頃にこのオペラに夢中になったとき、KiKi がこのオペラから学んだ真理(? 教訓?)はね、

「正義というのは立場が変われば変わるもの」

ということ。  この物語に登場する人(?)たちは決して誰しも「絶対の善」を体現した存在ではないけれど、それぞれがそれぞれなりの「理由」があって指環が欲しいんですよね~。  太古の時代から現代に至るまで人間が演じ続けている様々な紛争とこの「指環争奪戦」は「理由」や「利権」こそ違えども全部一緒なわけですよ。

「絶対的な正義」なんてどこにもない・・・・。  

子供時代に読んだ「御伽噺」の世界や、為政者の立場で書かれた「歴史書」には必ずと言っていいほどある「善と悪の対立軸」がこのオペラにはないんですよね~。  そこが素晴らしいと思うのです。  さすがワルのワーグナーが書いただけのことはある!!(爆)  しかもそこに付された音楽の何と心を揺さぶることか!!  「綺麗ごとではない音楽」の魅力みたいなものにも満ち溢れた作品だと思うんですよね~。

 

「ワルキューレ」と異なりこちらは「泣ける物語」ではありません。  ミーメとジークフリートのやり取りはお笑い漫才みたいなところがあるし、自然児ジークフリートの立ち居振る舞いはどこか滑稽だったりします。  物語の進行が面白いのは第1幕と第2幕、音楽的な聴きどころは第3幕に集中しているんじゃないかしら。  (あ、第2幕の「森のささやき」は忘れちゃいけませんね ^^;)  ヴォータンとエルダの二重唱はいかにも神話世界っていう厳かさがあり、宿命的なものを感じさせて素晴らしい。  でもね、絶品なのはブリュンヒルデの目覚め以降最後までの音楽なんですよね~。  ブリュンヒルデが目覚めるところの音楽は荘厳にして清らかっていう感じだし、それに続く「太陽に祝福を」は神々しい。  その後の会話の中でちょこっと「ジークフリート牧歌」のメロディが出てきたりして思わず引き込まれるし、さらには2人が愛を誓い合う二重唱の高らかで美しいことといったらもう!!  どこか能天気(?)なジークフリートと神から普通の女性に変わっていくブリュンヒルデの対比がまたいいんですよね~。

そうそう、どうでもいいことではあるんだけど、第1幕でジークフリートがノートゥングを鍛えるところでジークフリートが「♪ホーハーイ♪」と歌うところがあるんだけど、KiKi は初めて聴いたときこれを「♪ポ~パ~イ♪」かと思ったんですよね~。  まさか関係ないよね~。  でもね、オリーブがポパイを呼ぶときの「♪ポ~パ~イ♪」と何となくシンクロしちゃうんですよ。  (← って、最近の人はポパイなんて知らないか?)      

あと個人的に好きなのは、第2幕「森のささやき」の美しい音楽に続く、ジークフリートの間抜けな「葦笛の音楽」。  ここは結構笑えます。  いかにも自然児。  いかにもいたづら小僧っていう感じ。

それからこの映像の中で特記しておきたいのが大蛇ファフナーの姿。  一応このディスクでは「蛇」ということになっていて、別のレコードの解説では「竜」ということになっている「欲望の洞窟の化物」なんだけど、この映像の姿はどこからどう見ても(ってちょっと暗いから見えにくいんだけど)あれは「蜘蛛」だろう!!っていう感じ。  KiKi は映画「ロード・オブ・ザ・リング」の「王の帰還」でシェロブを観た時にデ・ジャヴ感があったんだけど、そっくりですよ、この2つ(笑)。

さて、明日はいよいよ「神々の黄昏」です。

 

 

 

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2006年7月29日 13:20に書いたブログ記事です。

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