ワーグナー ニーベルングの指環 神々の黄昏(レヴァイン盤)

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さて、今日も引き続き「行けなくても我慢するもん!  勝手に1人バイロイト音楽祭」シリーズ第5弾をお送りしたいと思います。  いや~、長かった!!  でも、終わって欲しくない!!!  でも、疲れたぁ~。  全編鑑賞するのに4日も要するって言うのも改めてすごいことだと思うし、さらには1つ1つが他のオペラと比べてもかなり長いんですよね~ ^^;  でもね、あまりにも雄大な一大叙事詩だし、このディスクの映像がとってもオーソドックスな演出なので物語の世界に入り込むのには充分で、神話世界を堪能させてもらいました。  やっぱり好きだなぁ、「ニーベルングの指環」。  ま、この「リング・シリーズ」の最初にも書いたように音楽そのものはどことなくアメリカンで、若干の不満が残らないじゃなかったけれど、KiKi はDVD鑑賞した後このブログエントリーを書いている間はベーム盤のCDをBGMで流していたので、2度楽しむことができたんですよね♪  (← おかげで生活リズムはメチャクチャです ^^;)  ま、何はともあれ、今日も張り切ってご紹介させていただきたいと思います。  今日の KiKi の1枚はこちらです。

ワーグナー ニーベルングの指環 神々の黄昏
DG POBG-1006/7 演奏:レヴァイン指揮 & メトロポリタン歌劇場管弦楽団・合唱団 収録:1990年4月、5月

615NzB2jQaL__SL500_AA240_.jpg   (Amazon)

ジークフリート:  ジークフリート・イェルザレム(T)
グンター:     アンソニー・ラッフェル(Bs)
アルベリヒ:    エッケハルト・ヴラシハ(Br)
ハーゲン:     マッティ・サルミネン(Bs)
ブリュンヒルデ:  ヒルデガルト・ベーレンス(S)
グートルーネ:   ハンナ・リソフスカ(S)
ヴァルトラウテ:  クリスタ・ルートヴィヒ(Ms)


で、KiKi のお気に入りのベーム盤のCDはこちら。

PHILIPS 412 488-2 演奏:ベーム指揮 & バイロイト祝祭管弦楽団 録音:1967年

11XX1Q8T4WL__SL500_AA130_.jpg   (Amazon)

 

 

 

さて、起承転結の「結」にあたるこの「神々の黄昏」。  ここまででも登場人物の人数こそさほど多くはないものの、色々な種族が出てきてかなり入り乱れちゃっているわけだけど、最後のまとめであるこの第3夜にして又々新たなメンツがご登場でますますゴチャゴチャになっていきます ^^;  でね、ここまではずいぶん色々な種族が出てきたと言えども1幕1幕の登場人物の人数は案外限られていて、とっても広いメットの舞台にポツンポツンといる感じだったのが、ここではドドドッと群集が出てくるんですよね~。  その雰囲気はご紹介している DVD の画像で感じ取ってくださいね♪

では、今日はまずこの「神々の黄昏」のあらすじからいってみることにしましょう。  こちらです。


いや~、救いのないお話ですね~。  まずは指環の去就をもう1度まとめてみると・・・・

ラインの川底で「指環」の原材料が「ラインの黄金」として眠っていた
   ↓
愛を諦めたニーベルング族のアルベリヒがその黄金を強奪、「指環」を完成、所持、覇権掌握
   ↓
神々の長ヴォータンがアルベリヒから謀略によってかっぱらう
   ↓
巨人族が神々の居城であるヴァルハラ城建築の対価として譲り受ける
   ↓
巨人族の兄弟喧嘩の末、ファフナーが生き残り宝を独占
   ↓
ジークフリートがファフナーを殺害、指環を入手する
   ↓
ジークフリートからブリュンヒルデが「愛の証」として指環を贈られる
   ↓
ブリュンヒルデからジークフリートが力づくで奪う
   ↓
ジークフリートの亡骸からブリュンヒルデが抜き取り、炎の中に共に飛び込む
   ↓
ラインが増水し、灰になったブリュンヒルデが水に沈み、指環はラインの乙女の手に戻る

4夜、14時間超をかけて指環(力)を巡って色々な種族が命がけで色々なことをするわけだけど、結局最後はぐるっと回ってもとの状態に戻るだけ・・・・・。  でも、その過程で巨人族は滅び、ニーベルング族の象徴たるアルベリヒやハーゲンも滅び、神々も滅び、人間の象徴たる(もっとも狼族でもあるから人間ではないのかな?)ヴェルズング族もみ~んな仲良く(?)滅びちゃう・・・・。  考えてみるとアルベリヒがラインの黄金の秘密を知らなければ、愛を諦めなければ、そして指環を作らなければ起こらなかったかもしれない「悲劇の環」なんですよね~。  うん、やっぱり1番ダメなのはラインの黄金をちゃんと守り抜けなかったラインの乙女たちに違いない!(笑)

「愛を諦めた者」の物語から始まり、「永遠の愛を誓うジークフリートとブリュンヒルデ」で終わるっていうのもなかなか象徴的だと思います。  ま、KiKi 自身は「愛の絶対性」みたいなものは本音の部分では「信じたいけれど信じきれない」人間なんだけど(何せ煩悩の塊なので ^^;)、色々考えさせられる物語であることは事実です。  又、「指環」が「権力の指環」であるのと同時に「ジークフリートとブリュンヒルデの愛の証」であるっていうのもなかなかシニカルな設定だな・・・と。  昔とあるドラマでとある人が「愛と憎しみは仲の良いお友達」な~んていうセリフを吐いていたことをちょっと思い出してしまいました。

「火」と「水」に覆われた世界から再生してくるのはやっぱり人間なんだと思うけれど、結局その人間も又ぐるぐると同じ事を繰り返すんでしょうね~。  「火」も「水」も滅びの象徴でもあれば再生の象徴でもある。  やっぱり環っかなのかな・・・・。

昨日、KiKi はこの物語には「善と悪の対立軸」がないと書いたけれど、まあ、見方によればアルベリヒやハーゲンは悪に属するのかもしれません。  でもね、アルベリヒは「崇高な愛を諦める対価として力を欲した」弱いものにすぎないと思うんですよね。  陽気でも容姿に恵まれているわけでもなく、地底に這いつくばって労働しなくちゃいけない立場に生まれたくて生まれてきたわけじゃない。  でも、彼も少しでも「輝かしい」方にいきたくて頑張ったんだと思うんですよね。  で、真剣に愛を求めたりもしたんですよ。  でも、頑張っても頑張っても欲するものには手が届かなくて、結局愛を諦めざるを得なかったとも言えるわけで・・・・。  ハーゲンはそんな「闇」を受け継がざるを得なかった被害者にも思えるのです。 

KiKi はこの Review でヴォータンやジークフリートのことをかなりケチョンケチョンに書いているけれど、実はどちらも好きなんですよ。  ヴォータンは私たち人間と同じように「悩んで迷って何かを選択してその結果をあるがままに受容する」姿の体現者だし、ものすご~く深いものを感じさせる情愛にあふれた人だと思うし(若干溢れすぎかも・・・・ ^^;)、ジークフリートは能天気と言えば能天気だけど、彼はだからこそ「勇気の人」だし、「力の指環」なんてなくても「力」を得られる人なわけで・・・・。  そしてジークフリートとブリュンヒルデは2人で1つなわけだから、「力と勇気担当:ジークフリート」「智恵と別の種類の勇気担当:ブリュンヒルデ」っていうことだと思うし・・・・。  だいたい容姿端麗・頭脳明晰・人格完璧なんていうヒーローは嘘っぽくて鼻白んじゃう。  ま、彼が作り上げた刑事罰犯罪カタログはちょっとね~・・・・っていう感じもなきにしもあらずですが。  でも誤解を招いちゃうかもしれないけれど、「愛すべき可愛い無鉄砲なお馬鹿さん」っていう感じがするんですよね~。  ああいうジークフリートだからこそ元は神の一族のブリュンヒルデの母性本能をくすぐったともいえるような気がするし・・・・(笑)。

あとね、KiKi はこの物語の中に「血(血統)」の物語があるような気がします。  色々な種族が出てくるのもそうだし、ジークムントとジークリンデが近親相姦でなくちゃいけなかったのは「真性の血」に対する拘りだと思うし、ハーゲンが人間とニーベルングの「混血」であることにも意味がある。  さらには「血の盟約」があって、「血の償い」もある。  漠然となんだけど「血の歴史」・・・・みたいなものを感じます。

最後に音楽のお話を。  (ここまでだと物語の Review になっちゃうし・・・ ^^;)  「神々の黄昏」の聴きどころはやっぱり「ジークフリートの死から葬送行進曲」あたりと「ブリュンヒルデの自己犠牲」でしょうね~。  個人的にはノルンたちのレチタティーヴォも結構好きなんですけどね。  でもやっぱり上記2つに軍配をあげたいかなぁ・・・。  特に「ブリュンヒルデの自己犠牲」は第2夜の「ジークフリート」最後の2人の二重唱と並んでブリュンヒルデの最大の聴かせどころじゃないかしら。  これまで出てきたありとあらゆる示導動機が現れて物語を劇的に盛り上げてフィナーレに突入・・・・っていう感じ。  うわ~っと盛り上がっていたのがヴァルハラが炎に包まれるあたりでは浄化されていくような音楽になるのも素晴らしい!!  これが今時のハリウッド映画だったらCG使いまくりで盛り上げるんだろうけれど、人の心を揺さぶるのにそんなものは必要ないことをこの場面は教えてくれます。  

ワーグナーの楽劇というと「示導動機」というキーワードが必ず出てくるけれど、このオペラではその活用がとにかくすごい!!  全編のあちらこちらに「あれ?」と思う形で、時には歌として、時には管弦楽として、さらにはちょっと変奏曲風になったりとそれこそ縦横無尽に現れます。  だから初めてこのオペラを聴く人も同じモチーフ(示導動機=ライトモチーフ)を2度3度と聴かされているうちに否応なく覚えちゃう・・・・というより実感せずにはいられないと思うんですよね。  やれやれ、ワーグナーさんもすごいもんを作ったものです。  ま、これだけの超大作で、4日もかけて聴かされ続けて、色々な種族が入れ代わり立ち代りそれぞれの思惑で登場するのだから、全体の統一感を保ったり、ちょっと忘れかけていたエピソードを脳裏に蘇らせるための苦肉の策とも言えるんだろうけれど・・・・。

このオペラを観ると、「オペラは総合芸術」っていう言葉が本当にしっくりくると思います。  文学、演劇、音楽が見事に融合した一大叙事詩の世界、堪能してみませんか??  かなり疲れるけれど・・・・ ^^;  できれば変てこな「時代置き換え演出」をしていないものをオススメします。  ま、これは KiKi が頑固なだけかもしれないけれど、神だの大蛇だのドワーフだの聖剣だのっていう世界観の物語を変な解釈で見せられるのはちょっとね~。  神話世界だからこそ強調される普遍性みたいなものを大事にした演出の方が素直に楽しめるように思います。

 


 

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2006年7月30日 13:39に書いたブログ記事です。

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