ジークフリートの考察 その1

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さて、今日は神々の会議の片隅に列席させていただこうと思います。  と言うのも、この物語の英雄・・・・であるはずのジークフリート君はどうも世間の評判があんまり芳しくないようなのですよ。  この物語に触発されて素晴らしい漫画作品を描かれた池田理代子先生にさえ

仮にも自分を赤ん坊の頃から育ててくれた人物に対して、彼が接するその態度は、冷酷であり仮借なきものがあるような気がして、私の感性にはまったく馴染まない。
はっきりいって、英雄という設定にしては"嫌な奴"なのである。

池田理代子先生のHP より転載 こちら

な~んて言われちゃっているぐらいだし ^^;  まあねぇ、確かに・・・・。  KiKi も初めてこの作品を観た時には正直なところ

「こいつのどこが英雄なんだ??  単なるお馬鹿な乱暴者じゃないか??」

と思わないでもなかったし・・・・。  でもね、KiKi は彼を理解するためにものすご~く努力してみました(笑)。  だって、Brunnhilde は Siegfried と2人は1人の間柄でなきゃいけないんだし(「落ちこぼれ会計人の裏ブログ」での KiKi のHNは Brunnhilde でした。)、最後には「あなたの妻が、今こそお迎えに!」と叫びながら至上の愛のうちに一体にならなくちゃいけないのです。  「単なるお馬鹿な乱暴者」であってもらっては困るんです。  てなわけで、これから神々が開かれる「人事考課; ジークフリート (彼は真の英雄かそれともお馬鹿な乱暴者か?)」の会議に特別にお願いして参加させていただくことにしたのです。  正当な裁判には弁護人が必要です。

さて、彼が英雄か否かを論じるためには、まず「英雄とは何ぞや?」という定義がはっきりしていなくちゃいけません。  で、調べてみました、広辞苑。  

【英雄】
 1. 文武の才の特にすぐれた人物
 2. 実力が優越し、非凡な事業を成し遂げる人

なるほど。  まず1.だとすると文武の「文」をどこまでと捉えるかによって大分解釈は変わってくるけれど、とりあえずは「心優しい」はあんまり必要ない・・・・とも言えるかもしれません。  2.だとすると人格はとりあえずどうでもよくてとにかく非凡な事業を成し遂げればいいみたいです(笑)。  (← あ、別に最初から逃げを打ってるわけじゃありませんよ ^^;)

 

 

さて、まず彼が英雄でないとして、どんな罪状が彼にあるのか??  それから見て行きたいと思います。  ま、彼は確かにお世辞にもものすご~く賢い人物とは言い難いとは思うのですが、彼が本当にお馬鹿かどうかは以下の罪状を検討していく中で検証していきたいと思います。

1. 育ての親であるミーメに対する悪口雑言の数々
2. そのミーメに使い物になる剣を鍛えろと熊まで連れてきて脅迫
3. ファフナー殺害の殺人犯  
4. ファフナー宅への家宅侵入  
5. ファフナー宅での窃盗
6. 義理の親、ミーメを殺害
7. そのミーメの死体遺棄
8. グンターの花嫁たるブリュンヒルデのレイプ疑惑
9. 信義違反

こんなもんでしょうか??  (← まだ何かあったら教えてね♪)  ワォ!\(◎o◎)/!  ずいぶんありますねぇ・・・・。  面倒くさいから有罪! と言いたい気分になってきました。  いかん、いかん。  「あなたは Siegfried で、しかも Brunnhilde」 なんだから、彼が有罪だと KiKi(Brunnhilde) も有罪になってしまう ^^;  おや、会議が始まるようです。


【議題1】育ての親であるミーメに対する悪口雑言は正当か否か?

まず本人の言い分を聞いてみましょう。

これでもまだ、大法螺を吹くつもりか?  巨人がどうの、あっぱれな武者ぶりがどうの、突いて必殺、守って無敵だのと?  自慢たらたら、得意の腕によりをかけて俺のために武具や剣を作ってくれるだと?  何かまともなものでも作れるようなことを言って。  お前が作ったものなんか、できそこないばかりじゃないか!

ミーメ、お前は色々教えてくれたし、俺は色々覚えた。  しかし、お前が1番教えたかったこと、そして俺がどうしても覚えられなかったことがある。  どうやったらお前と言うやつを我慢できるかっていうことさ。  (中略)  そうやって、ミーメ、お前を何とか我慢しようと俺は苦労してきた。

やさしく扱っても甲斐がない!  力ずくで脅さなきゃ、お前と言うやつは何もしてくれないんだからな!  言葉だってそうだ!  もし無理やりお前に教えさせなかったら、俺は言葉を覚えることもできなかっただろう。

この剣の欠片だけは信用できる!

やくざな怠け者め!  自分がへぼなくせに、嘘をついてごまかし、言い逃れをする。

あいつの作ってくれた剣を、俺はみんな粉々にこわした。  あいつの作る料理なんか食えるか!

誰よりもよく知っているはずの恐れについてさえ、教えられないのか?  何をやってもまったくへぼな奴だ。

まず彼の言葉遣いです。  お世辞にも美しい日本語ドイツ語とは言えないみたいですねぇ。  でもね、ここで我らがジークフリートは「もし無理やりお前に教えさせなかったら、俺は言葉を覚えることもできなかっただろう。」と言っています。  ミーメとジークフリートは森の奥深く、2人っきりで暮らしていました。  ジークフリートは他の人間と話す必要がありませんでした。  と言うより話す機会さえ与えられませんでした。  そんな中でジークフリートに言葉を教えたのはミーメでした。  だから彼の言葉遣い・ボキャブラリーが乱暴になったのは一概に彼の性格の問題だとは言えないように感じられるのですが、いかがでしょうか?

同時にミーメは確かに彼を養い育ててくれた人間(小人)ではありますが、どうやら「脅かさない限りは」彼が知りたいことを教えてくれなかったようです。  ジークフリートとミーメの会話を聞いていると、ジークフリートが1番知りたいことを尋ねると、ミーメは常に呪文のように「昔、森で生まれた泣き虫のガキが一匹おりました。  ミーメはそれを可愛がり ああたらこうたら・・・・」という決まり文句を繰り返していたようです。  仮にあなたが1ヶ月、たった1人の相手とだけ向き合っているとして、その人間が何を聞いても「お前は悪い奴だ、俺はいい奴だ。」と言い続けていたとして耐えられる自信がありますか??  つまりね、ジークフリートはそのサブリミナル・プログラムと孤独に戦い続け、打ち勝ってきた人物とも言えるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか?  

さらに、ジークフリートは目に映る様々の出来事を介して物事を理解する特質があるようです。  (← こういうのを「洞察力がある」って言います。)  彼は誰に教えられるわけでもなく、森の動物たちを見ているうちに「生命には父親と母親が必要である」ことを理解しています。  そんな彼が「目に見えること(=現実)だけが1番大切で、それが真実である」と考えるようになったことは当然と言えば当然です。  さて、ミーメです。  どうやら彼はジークフリートが幼いときから「お前のために突いて必殺、守って無敵の武具や剣を作ってやる」と言い続けていたようです。  ところがミーメが作ってくれる武具や剣は無敵どころか、ジークフリートの手にかかるとすぐにお釈迦になってしまう代物ばかりです。  恐らくはジークフリートの怪力の方が異常で、有能な鍛冶屋のミーメが作るものはそこそこの品質のものだっただろうと思われます。  でも、哀しいかなジークフリートは自分が異質の怪力の持ち主であることを知りません。  何せ、彼の周りにいるのはミーメと森の動物たちだけなのですから・・・・・。  ここでこの事実から成立するジークフリートの方程式はこうです。

  

ミーメ=嘘つき

 

彼がミーメを嫌う本当の理由は「ミーメが小人で醜いから」ではありません。  彼のことが信用ならないからです。  だから彼はノートゥングの欠片を手にした時、嬉々として叫ぶのです。  「この剣の欠片だけは信用できる!」 と。  信用できないから彼が作る食事は食べたくないのです。  信用できないから彼が用意する寝床では寝たくないのです。  信用できないから一緒にいたくないのです。  (じゃあなぜ彼がミーメの容姿のことをとやかく言うのか??  KiKi はこれを「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」現象だと解します。)  だから彼は不思議でしょうがないのです。  「一緒にいたくないやつのところにどうして自分は毎日帰ってくるのだろうか?」と。  それが「愛」じゃないことはわかっています。  でも、ミーメはそれは「愛」だと言います。  そう言われるたびにジークフリートはますます苛立つのです。

 

結論:  
彼の言動は正当とまでは言えないまでも、情状酌量の余地はありそうです。

 

ちょっと長くなったけれどついでに議題2も片付けておきましょう。

 


【議題2】ミーメに対する脅迫行為は正当か否か

この答えは上で既に出ています。  ミーメは「脅かさない限りは」彼が知りたいことを教えてくれなかった人物です。  逆に言えば、ジークフリートは脅かせばミーメが自分が得たいと思う知識や物を与えてくれるかもしれないことを経験則で知っています。  彼はミーメが以前から常々言っていた「彼のための突いて必殺、守って無敵の武具や剣」は脅かせば手に入るかもしれないと期待しているのです。  相手はやさしく扱っても甲斐がない、力ずくで脅さなきゃ何もしてくれない人物だとジークフリートは思っているのです。  これは過去のミーメの対応にもまったく責任がなかったとは言い切れません。

 

結論:  
彼の言動は正当とまでは言えないまでも、情状酌量の余地はありそうです。


 

その2に続く

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2006年8月15日 17:17に書いたブログ記事です。

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