ジークフリートの考察 その3

| コメント(0) | トラックバック(0)

さて、今日はジークフリートの犯した義理の親ミーメの殺害 & 死体遺棄の罪について検証していきたいと思います。  このエントリーの嫌疑リストの6&7です。


【議題3】育ての親であるミーメの殺害 及び 死体遺棄は有罪か無罪か?

まず殺害に関しては「動機」と「手段」を検証する必要があります。  今日もまたご本人の言い分を聞いてみたいと思います。

たった1人の相棒というのが、おぞましい小人だった。  馴染みではあっても、好きになれる相手ではなかった。  あいつはずる賢いやり方で、俺を罠にはめようとした。  だから殺すしかなかった。

憎しみのつけをノートゥングがついに清算してくれた。  このために、俺は剣を作ったというわけか。

 

どうやら彼は正当防衛を主張しているようです。  凶器もこの殺害目的で持ち出したものではなかったようです。  計画性も認められません。  でもこれはあくまでも彼の一方的な言い分ですから、この彼の主張が真実かどうか確認しなくちゃいけません。  生憎検察官はいないので、弔いも異界送りもしてもらえずにナイトヘーレ界隈を相変わらずウロウロしていらっしゃるミーメの亡霊さんに伺ってみたいと思います。

 

それというのも、お前を心から憎んでいるからだけではない。  又、お前に蔑まれ、恥をかかされた、その仕返しをしたいからだけでもない。  要するにお前を早いとこ片付けにゃならんのだ。  そうしなけりゃ、どうして獲物をものにできる?  アルベリヒだってあんなにご執心なんだからな。

さあ、ヴェルズングの勇士!  狼の息子よ!  ぐっと飲み干して、くたばってしまえ!  2度と、ものを飲むことはないだろうよ!  ヒヒヒ!

 

おやおや、これはいけませんねぇ。  この神々の会議の席で最後のヒヒヒ!は論外でしょう。  それに殺意を最初に抱いたのがミーメさんだったことがよ~くわかりました。  しかもその主たる動機が「宝の強奪」という極めて不当なものだったということも自白なさっています。  さらにお2人に血縁関係がないとも仰っていますし、戸籍制度もない時代のお話ですから尊属殺人にもあたりません。  


結論: 
ミーメ殺害に関しては、ジークフリートさん正当防衛により無罪。

 

 

問題は死体遺棄です。  何て野蛮な行為でしょうか!!  これはさすがにまずいんじゃないかしら??  まあとりあえずはジークフリートさんの言い分を聞いてみましょう。

 

洞窟の中で宝の山と一緒に眠るがいい!  長い間、悪巧みと苦労を重ねてきた憧れの宝だ。  やっとお前のものになったぞ!

そばにこの見張り役も置いてやるぞ、どんな泥棒が来たって、もう安全だ。  奇怪な大蛇よ、ここで寝ていろ!  まばゆい宝を争った敵同士、仲良く枕を並べて、ゆっくり休むがいい!

 

おや??  これは死体遺棄にあたるんでしょうか??  彼が「現実」として多くを学んだ森の中では死んだものはそのままお日様に晒されて干からびちゃうか、肉食獣の餌食になるかのどちらかです。  そんな彼に埋葬の文化を期待するのはそもそも酷と言えるかもしれません。  だけど彼はミーメさんの亡骸を野晒しにしないで洞窟に入れてあげた・・・・と。  ま、言葉遣いはかなり乱暴だけど、これはジークフリートだけのせいじゃないから目を瞑るとして・・・・。  

あれ??  ひょっとしてこれってジークフリートなりの埋葬???  しかもエジプトのファラオのようにお宝とスフィンクス見張りつき???  まあ、現代の法治国家に住む KiKi としては彼の埋葬方法には若干の抵抗がないわけじゃないけれど、どうしようもないほどの悪意を感じるほどでもないのですが、いかがでしょうか??

 

結論:
ミーメ殺害後の死体遺棄に関しては正当とは言えないまでも、情状酌量の余地がありそうです。


さて、次の議題に移りたいところですが、ここでちょっとだけ KiKi は寄り道して、もう少しだけジークフリートさんを分析してみたいと思います。  何をしたいかっていうとね、この一連の殺人事件が起こった場所をゆっくりと見回してみたいと思うんですよね。  舞台は森の中。  ワーグナーが作った音楽の中でも屈指の美しさを誇る「森のささやき」が流れるこの場面。  美しい音楽ですよね~。  特に KiKi はこのエントリーでご紹介したカラヤンの奏でる「森のささやき」なんて本当に美しいと思います。  でも、ちょっと待って!!  何となく背筋に冷たいものが走ります。  何となく恐いです。  恐くありません??  だって、森がささやくんですよ。  

さて、ささやいているのは誰なんでしょうか??

ひょっとするとエントの「木の鬚」?  それともトム・ボンバディル??  (←わからない人は「指輪物語」読んでね♪)

KiKi はね、ささやいているのはジークリンデだと思っているんですよね~。  はい、注目。

 

ああ、ここがいい。  この菩提樹の下で休もう。 

 

ジークフリートがミーメに連れられてファフナーの洞窟に到着して以来、彼が待機している場所は常にこの菩提樹の下!なんですよね。  でね、菩提樹とジークリンデって実はものすご~く密接な関係があるんですよ。  ジークリンデの名前はアルファベット表記にすると Sieglinde なんだけど、これは実は2つの言葉からできている名前です。  Sieg は勝利。  Linde は菩提樹。  こんな偶然ってあると思います??  KiKi はね、ここで母を知らずに育ったジークフリートは、初めて母の懐に抱かれたんだと思うんですよね。  そしてジークリンデもようやく命を賭してまでしてこの世界に生み落とした愛する我が子をその胸に抱くことができたのではないかと・・・・。

だからこそ、ジークフリートはここで母を恋い慕うし、同時に母の愛を心の奥底に感じることにより、「野生児」から人間の女と愛し合うにたる「男」に生まれ変わったんだと思うんです。  ファフナーの胸に剣を突き刺した直後、彼は瀕死のファフナーと語り合いました。  「自分が誰かさえ知らないんだ。」  「死んだ者は何も教えてくれない。」と呟いていたジークフリート。  彼は自身のアイデンティティを求めていました。  でも、ファフナーと対峙しても「恐れ」も「アイデンティティ」も学ぶことができませんでした。  それらをジークフリートに教えることができる存在は、この世界ではブリュンヒルデしかいません。  そんなジークフリートをブリュンヒルデに導く「森の小鳥」。  

KiKi は昨日のエントリーで、「初対面の見ず知らずの森の小鳥」と書いたけれど、実はこの小鳥は見ず知らずの小鳥ではなかったと思うんですよね。  この声は彼が求めてやまない母の声だと思うんです。  だからこそ、この小鳥の声に導かれてブリュンヒルデの岩山にたどり着いて彼女の姿に動揺したとき、彼は母に助けを求めます。

 

お母さん!  お母さん!!  僕のことを思い出してください!!!

  

その4へ続く

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://poco-a-poco.chu.jp/mt/mt-tb.cgi/57

コメントする

2015年2月

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28

Current Moon

CURRENT MOON

東京のお天気


山小舎のお天気


Booklog



ブクログ

アーカイブ

ウェブページ

Powered by Movable Type 4.261

TrackbackPeople

クラシック・ピープルの Trackback People Site


チェロ ラヴァーズの Trackback People Site


Piano~ぴあの Trackback People Site


ピアノオススメ教本の Trackback People Site


ピアノ教室の Trackback People Site


Book Love Peopleの Trackback People Site


本好きPeople・ぴーぷるの Trackback People Site


今日読んだ本の Trackback People Site


ファンタジーが好き♪の Trackback People Site


この絵本がすごい!の Tackback People Site


児童書大好き♪の Trackback People Site


ハヤカワepi文庫の Trackback People Site


岩波少年文庫応援団の Trackback People Site


薪ストーブの Trackback People Site


週末は田舎暮らしの Trackback People Site


野菜育てPeopleの Trackback People Site


ガーデニングの Trackback People Site


パッチワークキルトの Trackback People Site


あなたの訪問は?


日めくりカレンダー


Real Time News


カテゴリ

ノルンはいくつ?

本が好き!


読書メーター

KiKiさんの読書メーター
KiKiさんの読書メーター

最近読んだ本

KiKiの最近読んだ本

今読んでいる本

KiKiの今読んでる本

読了目標





今やってるゲーム

KiKiの今やってるゲーム

このブログ記事について

このページは、KiKi (Brunnhilde)が2006年8月17日 17:47に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「バーバー 弦楽のためのアダージョ Op.11」です。

次のブログ記事は「お仕事再開決定」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

高速運賃





Edita

ブロガー(ブログ)交流空間 エディタコミュニティ

名言黒板


作家別タグ