「ニーベルングの指環」の水を考える その1

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さて、今日は「ニーベルングの指環」に出てくる水について考えてみたいと思います。  以前書いたこのエントリーの「だいじなものリスト」には載せていないのですが、「水」はこの物語の中では「ものすご~くだいじなもの」なんですよね。  同じように「火」も「ものすご~くだいじなもの」なんですが、あちらにはローゲ君がいるので、別のエントリーの中でもチョコチョコ触れる機会があると思います。  ところが「水」はちゃんと独立したエントリーを立ててあげないことには触れずに終わってしまいそう・・・・なんですよね。  てなわけで今日は「水」です。

「水」がいかに大事か?  それはワーグナーさんに聞いてみれば一発で答えが出ます。  もしもし、ワーグナーさん。  この物語の中で「水」ってどのくらい大事なんでしょうか??

 

「ラインの黄金」

一筋の川が流れている。

遠目には動くとも見えぬほど悠々と、しかし強い流れが水面に波を押し立てている。  ライン川である。

(「ラインの黄金」 新書館 高橋康也・宣也訳 より転載)

そもそもこのオペラが幕を開けたとき、最初に目に飛び込んでくるのはライン川です。  そして最初の登場人物はと言えば、ヴォークリンデ(波)、ヴェルグンデ(大波)、フロースヒルデ(河)の3人のラインの乙女たちです。  で、このエントリーでも考察したように彼女たちのお父さまはライン川であると考えられます。  始めよければすべてよし。(いや、ちょっと違うか ^^;)  いずれにしろ最初に水を観るっていうのは結構大事なポイントです。

 

 

さて、時間がないのでビュビュビュっと15時間が過ぎたとして、「神々の黄昏」の最後の場面です。

 

見れば、3人のラインの乙女たちが波間を泳ぎまわっている。
今しも、彼女たちの姿は積薪の上あたりにある。
さきにジークフリートの屍体の腕に威嚇されて以来、
ブリュンヒルデをじっと見守っていたハーゲンは、ラインの乙女たちの出現に大いに狼狽し、
槍も兜も投げ捨てて、狂ったように水中に身を躍らせる。

彼はわめく。
「指環に触れるな!」

ヴォークリンデとヴェルグンデはハーゲンの首に腕を回し、泳ぎながら水底に引きずりこむ。
やや離れて泳いでいたフロースヒルデが高々と腕をさしあげる。
その手には指環が光っている。

地平線の雲の狭間から紅の光がさしはじめ、あたりは徐々に明るくなっていく。
ラインの乙女たちが輪を描いて泳ぎ回りつつ、指環を互いにやりとりして戯れている姿が見える。
洪水はいつのまにかおさまって、ラインの流れは平常のおだやかさに戻っている。

(「神々の黄昏」 新書館 高橋康也・宣也訳 より転載)

 

最後に舞台で姿を見るのも(演出にもよりますが)ラインの乙女たちです。  もしも15時間のこの作品が1本のビデオだったとして、あまりにも長すぎるので途中は早送りしたとして、最初と最後に出てくる人物が捨てキャラだったらそれはあんまりと言うものです。  どんなドラマでも映画でも、最初はともかくとして最後に場面に出ている人はエンドクレジットで最初から2番目か3番目、もしくは最後か最後から3番目以内と相場が決まっています。  

でもね、これは登場人物から見た場合・・・・。  これが楽劇だということを忘れちゃいけません!!  じゃあ、と音楽に目を向けてみると・・・・。

原始状態の動機 → 自然の生成の動機 → 波(水)の動機 → ラインの乙女たちの動機

とラインの乙女が登場する前に波(水)の動機が流れるんですよね~。  KiKi はね、ここ好きなんですよぉ。  原始状態の動機なんてボリュームを絞っていると聴こえなかったりするぐらいのところから音楽なんだか地殻変動なんだかよくわからないようなコントラバスの低い響きで始まって、上昇音型のホルンがすこ~しずつかぶさってよくわからない何かが姿を見せ初めて、今度はそこに弦のアルペジオの波(水)が低音から順次高音に移行しながらかぶさって・・・・。  暫くはメロディなんてなくて、揺ら揺らしているだけ。  初めてこのオペラを何の予備知識もない状態で聴いたときは

「なんじゃこりゃ??  いつまで続くんだ??」

って思ったけれど、ああ、これは天地創造なんだってわかってからはここを聴くとワクワクするんですよね~。  混沌から少しずつ何かが形をとり始め、光が差してきて、水が漂い始めて・・・・。  そしてラインの乙女が歌いだす。  う~ん、たまらんぜよ~!!!  

この前奏曲の部分をワーグナーは「世界の揺籃の調べ(要するにゆりかごの歌っていうことです)」と名づけました。  でも KiKi にはゆりかごっていうよりは羊水の中っていう感じがします。  で、これは天地創造なんだから、これは大地の女神、エルダの羊水ですきっと。

水は生命の源です。  そして資源の源です。

 

その2へ続く

 

 

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2006年8月10日 21:30に書いたブログ記事です。

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