2007年11月アーカイブ

カストラート

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カストラート
1994年 フランス、イタリア、ベルギー合作 監督:ジェラール・コルピオ


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18世紀のヨーロッパ、珠玉のボーイソプラノを保つために<去勢>された男たちがいた。  "カストラート"。  その音域は3オクターブ半にも及び、女性歌手でも出すのが難しい高音のパートですら楽々と発声できたという。  当時のスーパースターの代名詞だったカストラートはまた、独特の去勢法のため性生活には何ひとつ不自由なかったばかりか妊娠の心配もないとあって宮廷女性の愛玩物にもなっていたという。

そのカストラートも去勢自体が堅く禁じられた20世紀に入ると完全に姿を消した。  こうして幻の声となったカストラートを大胆な手法で甦らせたのがこの映画である。  まずその声を再現するのに、カウンターテナー界屈指の男性歌手デレク・リー・レイギンと彼の声にあう女性ソプラノ歌手エヴァ・ゴドレフスカ、この2人の歌声を1音ずつサンプリング合成。  またこの映画のモデルとして選ばれたのはカストラート史上最も有名な歌手ファリネッリ。  彼の名はヨーロッパ中に轟き、あらゆる女性の寵愛をほしいままにしていた。

彼の影の半生を通じて "男でも女でもない人間" の悲劇と崇高さをドラマティックに、かつスキャンダラスに描ききったのは「仮面の中のアリア」「めざめの時」のジェラール・コルピオ監督。  最高の映像と音楽を得て、この映画は伝説のカストラートにどこまで迫れただろうか?  
  


この映画、お世辞にも一般的(大衆的)とは言えないと思うのですが KiKi は好きですね~。  いかにも欧州の映画っていう感じの作品です。  この映画を観る以前からカストラートという歌手がいたことは知っていたのですが、彼らの声がどういう声だったのかをどうしてもクリアにイメージすることができずにいました。  だからこの映画が公開された時には長年の謎が解明されるかもしれないという期待感で胸を膨らませ、ワクワクしながら映画館に向かったのを覚えています。  あれからもう10年以上経っちゃったんだな~。  今回この映画をもう1度観てみようと思ったのは KiKi の Blog 「落ちこぼれ会計人の独り言」の中で 「エクスルターテ・ユビラーテ」という曲を紹介した記事を書いて、その中でこの映画についてちょっとだけ触れたので、何となく懐かしくなってしまったから・・・・。  KiKi はこの映画のソフトは LD しか持っていないのですが、久しく LD Player を動かしていないので、その動作確認という意味も含めて観てみることにしました。

肝心のカストラートの声は合成によるもので、この映画を観る前に期待していたものと比べるとちょっとイマイチ感がなきにしもあらずでした。  美しいことは美しいんですが、やっぱりどことなく嘘っぽいんですよね。  それは役者さんの顔と声がマッチしていないという部分もあるとは思うのですが、それより何より、やはり「作り物は作り物」っていう感じがするんですよ。  少年期に去勢する事によって第二次性徴を妨げて強制的に声変わりをなくした声っていうのは、やっぱり女性の歌手の声とはまた違う、独特の声色があったんじゃないかと思うんですよね。  でもこの映画の場合はカウンターテナー + ソプラノの合成だから、高音部はどうしても女声にしか聴こえないんです。  女性ソプラノの声とボーイ・ソプラノの声は「合唱曲集」の CD なんかを聴いてもかなり違うじゃないですか。  まあ現代でこそ私たちはボーイソプラノの合唱団の歌を CD やら TV で簡単に聴くことができるから、あの一時期だけの声を機械の力を借りて永遠に残すことができるわけだけど、そういう技術がなかった時代に、機械の代わりに人間そのものに手を加えちゃったわけだから、凄いよね~。

 

北京ヴァイオリン

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北京ヴァイオリン
2002年 中国 監督・脚本:チェン・カイコー


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中国北部の田舎町で暮らす少年チュンは、ヴァイオリン演奏に天賦の才能があり、顔も知らない母の形見のヴァイオリンで人々の心を慰めていた。  父リウは貧しいながらも、なんとか息子の才能を開花させようと、チュンを連れて北京へと旅立つ。  だが貧しくコネもないためチュンはまともな教師に習うことすらできない。  やがて、昼夜を問わず働く父リウの努力の甲斐もあって、チュンは国際舞台へと羽ばたくための大きなチャンスをつかむ。  だがそれは愛する父との別れを意味していた・・・・。  巨匠チェン・カイコーが、大都会で生きる父と子の絆と、市井の人々の温かさを数々の名曲にのせて描いた感動作。  
  


少し前に購入したきり放ってあった中国映画「北京ヴァイオリン」を観ました。  まずは簡単なあらすじを公式サイトから拾ってみると・・・

豊かに水をたたえた美しい風景と、人々の素朴な温もりが残る中国の田舎町。  そこに息子を一流のヴァイオリニストにする事を夢見て全てを捧げる貧しい父と、父を愛しながらも顔も知らない母の面影を追い求める少年が住んでいた。  少年は母の形見のヴァイオリンを弾くのが得意だった。  二人はコンクールに出場するために北京へ行き、そこで著名な先生の個人指導を受ける事になり、北京で暮らし始める。  急激な変化を遂げる競争社会の大都会は、地方出身の少年の心に影を落としたが、少年が奏でるヴァイオリンの旋律は、彼に関わる人々の心を癒してゆく。  やがて少年は国際舞台に羽ばたく大きなチャンスをつかむが、それは愛する父との別れを意味していた。  そしてその時、少年の出生の秘密が明かされる。果たして少年が選択した道とは...?


実は KiKi は子供の頃「将来の夢はピアニスト」な~んて言っていた時代がありまして・・・。  で、実際この物語の少年同様田舎町から東京の音大の先生のところへ通ってレッスンを受ける・・・な~んていうことを経験していたことがありまして・・・。  もっともこの物語の親子のように田舎での生活を捨てて一家総出で東京に出てくるなんていう生活様式一変ドラスティック方式ではなく、静岡県の実家でそれまでと変わらない普通の生活を送りながら、1週間おきの週末に東海道新幹線に乗って KiKi 1人が東京に出てくるというパターンだったのですが・・・・。  それまで田舎でついていた先生にも引き続き毎週レッスンしてもらいながら、それに追加で東京の音大の先生のレッスンも受けるという生活を数年間送っていました。  そんな経験をしているだけに、音楽で身を立てるためにはそれ相応の時間とお金を使わなくちゃいけないっていうのはすっごくよく理解できるんですよね~。

KiKi の場合は静岡と東京の経済社会がこの映画ほど大きく異なる様相はしていなかったし、幸いなことに KiKi は国際コンクールを目指せるほどには才能に恵まれていなかったので、大都会の消費社会、お金がモノを言う貪欲な拝金主義、音楽界の熾烈な競争主義と正面から対峙しなくちゃいけないような局面はほとんどなかったのですが、恐らく当時の KiKi とこの映画の主人公・天才少年との共通点、それは音楽で成功しようとか音楽で身を立てるということには実は基本的に興味がない・・・というところ。  KiKi は確かに「将来の夢はピアニスト」なんて言っていたけれど、それは何が何でもピアニストになりたかったわけではなくて、学校やそこかしこで「将来の夢は何ですか?」と聞かれ、そんなことを聞かれても別に「これ」っていうものはなくて、でも何か夢が語れなくちゃいけないような気分になって、とりあえず自分にとって1番身近で興味があったのが「ピアノ」だったから「ピアニスト」と言ってみたのに過ぎなくて・・・・ ^^;  ただ単に音楽が好きで、楽器に向かっていると幸せで、他の事よりも夢中になることができて・・・・  でも、音楽以外のことに興味がないわけではなくて、普通の少年・少女なりに他にも興味のあることはいっぱいあって、思春期もあれば反抗期もあって ^^;

主人公の少年が楽譜の間に女性グラビアを挟み持っていたり、駅で出会っただけの女性、そして偶然に近所に住むことになった女性に淡い初恋のような感情を抱くストーリーを見ていて、何となく KiKi は親近感を覚えてしまいました。  実は KiKi がその東京の先生のレッスンを辞める(=音楽で身を立てるという選択肢を捨てる)決心をしたきっかけになったのはその先生の「音楽に一生身を捧げるのは素晴らしいことだと思いませんか?」という一言だったんですよね。  天邪鬼の KiKi がその言葉を聞いたときに思ったこと。  それは「音楽は大好きだしピアノも大好きだけど、一生涯、自分の全てを捧げるのはイヤだ!!  他の選択肢がなくなってしまうのもイヤだ!!」ということだったりしたわけで・・・・。  で、その時同時に思ってしまったのは「でもそれぐらいの覚悟がないんだったら、この先生のレッスン代を親に負担させちゃいけないんじゃないか」ということだったりもしたわけで・・・。  (って言うのもその先生の1レッスン代は田舎の先生の2か月分の月謝よりも高かったんです。  でもこれもその先生が特別高いわけじゃなくて、逆に安かったぐらいでそれは当たり前のことなんですが)  高いレッスン代+ 往復の新幹線代って決して裕福だったわけではない当時の KiKi の両親にしてみると結構な投資だったはずで、別にその先生が拝金主義の悪い先生だったわけではないけれど、KiKi は何となく感じてしまったのです。  「お金儲けとは対極にあると思っていた音楽の道も、お金とは無縁じゃないんだ・・・。」って。  で、結局資本主義の中で生きるんだったら、表面的にはそれとは無縁を装う世界ではなく、資本主義そのままの世界(=ビジネス社会)で生きるほうがややこしくなくていいんじゃないかしらって。

  

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