耳をすませば

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耳をすませば
1995年 日本 監督:近藤喜文


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雫は中学3年生。  両親と大学生の姉とともに東京近郊の団地に住む、ごく普通の読書好きの女の子だ。  そんな雫が親しくなった同級生の少年は、中学を卒業したらすぐに、バイオリン職人になるためにイタリアに渡ると言う。  進路について深く考えていなかった自分に気づいた雫が、自分のやりたいこととして選んだのは...。
脚本とプロデュースを宮崎駿、監督は数々のジブリ作品でキャラクターデザインや作画監督を務めた近藤喜文が担当。  思春期の迷いや焦り、そして出会いがもたらす成長を、変わりゆく季節の様子とともにみずみずしく描き上げた。

特筆すべきは、背景の描き込みの細やかさ。  団地の階段や学校の廊下、街なかの看板に至るまでリアルに、しかし温かみを持って描写され、これが「特別な人の物語」ではないことを示しているようだ。  これから巣立ち、自分の道を歩む人たちにふさわしい歌として原曲を大胆に翻案したテーマソング「カントリーロード」も印象的。  見終わるころにはコンクリートでできた街並みに不思議な郷愁を覚える、そんな秀作である。(安川正吾)
                                  Amazon サイトより転載         
 
  

宮崎アニメは決して嫌いではない KiKi ですが、ここ何年かの作品は観ていません。  「千と千尋」はアカデミー賞にノミネートされたというニュースを見たり、巷ではかなりの評判らしいという話を聞いてレンタル屋さんで借りて観てみたのですが、正直なところ KiKi の心の琴線に訴えてくるものはあまりありませんでした。 ^^;  すご~く正直に言うと、KiKi は宮崎アニメの最高傑作は「魔女の宅急便」だったと思っていて、それ以降の作品については世間様が騒ぐほどには「ああ、この作品はいいなぁ~」とは思ったことがないんですよね。  だからちゃんとリアルタイムで観ていたのは「紅の豚」ぐらいまでで、その後の作品は何かきっかけがあれば観る・・・・・という程度のスタンスになってしまっています。

ところがこの「耳をすませば」に関しては、前から1度は観たい作品だと思っていました。  と言うのも、さほど深くはないけれどちょっとした理由があったんですよね~。  その理由というのは、この物語の登場人物の1人がヴァイオリン職人になりたいと思っている人らしい・・・・・ということ。  クラシック音楽をこよなく愛している KiKi としては、ヴァイオリンだとかチェロだとかピアノに関係する映画や小説には目がないんですよ(笑)。  でもそんなことを言いつつも今日まで観ていないのにも理由があって、


1. アニメだから
2. この映画のセル DVD が高くて滅多にセールにならないから
3. KiKi の自宅近くのレンタル DVD 屋さんのこの作品のパッケージがちょっと汚いから

というなんとも情けない理由だったりします。

さて、その「耳をすませば」を 2006年3月10日の日本 TV、金曜ロードショーで放映されるというニュースを小耳に挟み、今回ようやく念願かなって観ることができました。

う~ん、悪くはないんだけど、「あ、そう。」っていう感じのお話だなぁ・・・・・というのが見終わった直後の KiKi の感想です。  Amazon サイトのこの作品に関するコメントにもあるように、物語背景になる舞台の描きこみの細やかさは素晴らしいと思いました。  でもね、KiKi の年齢になると「進路に悩む中学生」のお話というのはさほどピンとこないんですよね。  それに、中学生で自分の進む道を見つけなくちゃいけないなんて誰が言ったんだ???  KiKi なんてこの年齢になって尚、進路変更をしようなんて考えているぐらいなのに・・・・・ ^^;

もちろん中学生が自分の進路について何も考えなくていいなんていうことを言うつもりはありません。  でもね、生きるっていうのは「自分とは何者か」を探求することだと思っている KiKi にしてみると「何となく1日が過ぎちゃう」ことに親のスネかじりの中学生ごときが焦ったりする必要はないと思うわけでして・・・・・。  それに生きること = 生命を維持できる程度に衣食住を賄うことでもあるわけで・・・・・。  そんな現実的なことを言うと「夢がない」とか言って声高に批判する人がいるけれど、KiKi はそれって「夢が絶対必要だと思い込んじゃう症候群」じゃないかと思うんですよね。  第一、今の日本のように物や技術や食料に恵まれているわけではない世界に生きている人たちにとっての切実な夢は「1日でも長く、健康に、そして平和に生き延びること」だったりもするわけで・・・・・。

 

もちろんどんなに若くても幼くても「自分とは何者か」を考えることは必要だと思うし、時に中期・長期の目標やら夢・・・のようなものを持つことも大切なことだと思います。  でも若い頃に見つめることができる世界というのはとっても限られていてちっちゃくて、その中で見つけることができるものが世の中のすべてじゃないし、その頃に見えている世界だけが世界のすべてじゃない。  KiKi なんてこの年齢になるまで、ずいぶん色々なことに手を出してきたけれど、それでも日々新しい発見があり、新しく興味を持つことが増えているわけで・・・・。  これはきっと死ぬまで続くんだと思うんですよね。  その一瞬一瞬で「これ」と思うものは変わっていくものだと思うんですよね。  もっともこの映画の雫ちゃんを観ていて感じたのは「彼女のこの焦りこそが若さなのかもしれない。」・・・・とも感じました(笑)。  そして、恋を知らなかった頃の雫ちゃんと恋を知った後の雫ちゃんでは精神的に大きな成長があったように感じるので、彼女のあの悩みは決して無駄ではなかったけれど・・・・・(笑)。

でもね、KiKi は雫ちゃんに言ってあげたいような気がします。  きっとあなたは初恋の相手が常に自分より何歩も先を歩いているような気がして焦っちゃったんだよね。  確かに聖司クンはあなたよりも常に先にあなたが読みたいと思う本を借りていたかもしれない。  そして今はヴァイオリン職人になるという夢を強い意志をもっていて、中学 - 高校 - 大学という決められた(と言うか一般的な)レールの上を歩く人生を捨てようとしているかもしれない。  そういう決められたレールに乗るのがいいのか、そこからはずれるのがいいのか、そんなことは一人一人の資質やら、「これ」という思い入れのあるものに対する思いの強さが異なる以上、一般論としてどっちがいいなんて言えるものじゃない。  でも、あなたが聖司クンと同じように「これ」という何かを見つけるに至らなかったとしても、それはあなたが彼についていけていない・・・・っていうことではないと思うんですよ、おばさんとしては。

KiKi が思うに、彼はおそらくもっと前に雫ちゃんが知らないうちに別の夢に敗れた人のような気がするんです。  彼はきっと、もっともっと小さいときには「ヴァイオリニスト」になりたかった人なんじゃないかなぁ。  で、ある意味では英才教育が当たり前のあの世界の中で一生懸命練習して頑張っていたんだけど、彼はどこかの時点で自分の才能に見切りをつけた(つけざるをえなかった)んだと思うんですよね。  「自分と同じ程度ぐらいに弾ける人間は、他にもウジャウジャいる。」って。  で、大好きな音楽とヴァイオリンの近くで生きていきたいという思いがとっても強い彼は幸いにも物づくりにも興味のあるタイプで、ヴァイオリンを演奏するほうじゃなくてヴァイオリンを作ったり調整したりするほうに方向転換した人なんだと思うんですよね。  で、彼は挫折を知っているからこそ、「ヴァイオリン職人」という道への想いが、普通の読書好きの女の子には信じられないくらい強いんだと思うんですよね。

だから雫ちゃんも彼と同じように強く「これ」と思えるものが欲しいと思うんだったら、1度は挫折も経験しなくちゃいけないと KiKi は思うんですよ。  「挫折はできればしないほうがいい。」なんていうことを言う人がいるけれど、KiKi はそれはまやかしだと思います。  人は挫折の数だけ強くなれる生き物だと思っています。  ・・・・・・・・って何だか説教臭い Review になってきちゃったなぁ ^^;。  

宮崎アニメって「自分探し」とか「生きる力」とか「生命賛歌」みたいなテーマが多いと思うんですよね。  でも「自分探し」とか「生きる力を身につける」っていうのは、映画で描かれるほど奇麗事じゃないと思うし、何よりもまず夢物語ではなくて現実だっていうことを忘れてはいけないような気がします。  だからこそ、まずは自分ひとりの力でできるところから実際にやってみることが肝心なんだと思う。  そして多くの場合は、空想していたようにはうまくいかなくて、失敗して、挫折して、悩んで、悔し涙をかみしめて・・・・・というおよそカッコ悪いことを否が応にも経験させられることになるんだと思います。  でもそんなおよそカッコ悪い状態に陥っても「諦めない」と思えるかどうかがポイントで、そう思える場合にこそ、その夢は本物の夢としてその人の人生の中でキラキラと輝くんだと思います。  そしてそのおよそカッコ悪い状態の中でそれでも踏ん張るための理由は、これまたおよそカッコ悪いんだけど「食う為」「寝床を確保するため」だったりするんだと思うんですよね。

KiKi が「魔女の宅急便」を最高傑作だと思っているのは、あの物語の主人公のキキが魔女界の掟によって、独り立ちをしなくちゃいけない境遇に陥って、自分が持っている才能を生かして何とか「生活」することを考えるところからスタートしている物語だから・・・・というのもあるんですよね。  彼女は「生きるために」宅急便屋さんをやってみることにするのであって、別に子供の頃からず~っと「宅急便屋さん」になりたいと思っていたわけじゃない。  彼女はとにかくまず「自活」しなくちゃならなかったんです。  で、必要に迫られてその仕事を始めた彼女(そういう意味では「夢」とは程遠い)が、今自分にできることを精一杯やって、そしてお客さんと触れ合っているうちに彼女はその仕事に「やり甲斐」だとか「自分の存在価値」を見出していく物語になっているんですよね。  で、ちゃんと挫折も経験するし、そこから立ち直りもする(笑)。  あの映画を観ると、大きな夢を抱くのも大切なことだし素敵なことだけど、彼女のようにその時の自分にできることを一生懸命やりながら「自分探し」をするのも素敵なことだと思うんですよね。  「大きな夢」がないことは悪いことだ・・・・なんていうのは、KiKi はまやかしだと思うんです。  (因みに KiKi の Blog の HN (KiKi) は、このキキちゃんから拝借したものです。)

 

ちょっと余談)

図書館で自分が借りようとしている本を、まるで自分に先回りするように借りている「天沢聖司」クンに興味を持つ「月島雫」ちゃんという設定にはちょっとレトロな匂いを感じてキュンとしてしまいました。  KiKi にもちょっと覚えがあるんですよね、そういう状況って。  KiKi も雫ちゃんと同じように「本好き」だったから図書館通いは日課みたいなものだったし、学校の図書館の図書委員なんていうものに立候補したりしたっていうこともあって、ある時自分と同じような本を読んでいる人を見つけたことがあるんですよね。  で、その人が過去に借りている本を調べあげて、自分との嗜好の類似点を見つけて何となく嬉しくなっちゃったり、その人が読んだ本だったら自分も真似して読んでみようと思ったりしていたことがありました。  まあ、残念なことに KiKi の場合はその人に対して「恋心」を抱くまでには至らなかったけれど、でもある種の連帯感とか普通の友人に対するよりははるかに強い興味とかは感じていたし、そのことを自分でも自覚していました。  この映画を観ながらそのことをふと懐かしく思い出したとき、「初恋」を思い出したときと同じくらいちょっと切ない感覚に自分が包まれて、不思議な気分になりました。  今までそんな風に感じたことも考えたこともなかったけれど、あれも「不器用だった時代の恋」と限りなく似たような経験だったのかな・・・・。  (あ、念のために書き添えておきますが、KiKi は図書館でその人を待ち伏せしたり、わざと近くの席に座ったりなんていうストーカーチックなことはしていませんでしたから!)

 

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2008年3月15日 23:04に書いたブログ記事です。

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