グリーン・デスティニー

| コメント(0) | トラックバック(0)

グリーン・デスティニー 
2000年 アメリカ・中国 監督:アン・リー


515n7wcBaqL__SL500_AA240_.jpg  (Amazon)   

 全4巻の武侠小説を名匠アン・リー監督が映画化。  「武侠」とは、中国に語り継がれる不思議な能力をもつ英雄伝説のこと。  名剣グリーン・デスティニーの使い手、リーに扮するチョウ・ユンファを中心に、許されない恋のため、はたまた幻の秘伝書をめぐって、美しき男女が武術を競う。

 屋根の上をぴょんぴょんと飛び回り、壁を駆け上がり、宙を舞い、水の上を滑るように渡っていく。  しかも、その凄い技を見せてくれるのが可憐な女性たちなのだ。  愛のために戦う女性は強く美しい。

 アクション監督は『マトリックス』のユエン・ウーピン。  彼の操るワイヤーワークは、観る者の心をワクワクと高鳴らせてくれる。  特に竹林の中で戦うシーンは、一幅の絵巻物でも見ているかのようだ。  ファンタジー、アクション、ラブストーリのすべてを楽しませてくれる秀作。  第73回アカデミー賞で4部門受賞。(斉藤洋美)
                           Amazon サイトより転載  
  


先日、ラヴァーズを観て何だか急にこの映画が懐かしくなってしまった KiKi。  早速レンタル屋さんで借りてきました。  それにしてもここ何年かは本当にアジア映画が素晴らしい!!  ハリウッドさん、頑張ってね~♪  

それはさておき、この映画の原題は「臥虎藏龍」(Crouching Tiger Hidden Dragon)。  臥虎藏龍って字をそのまんま解釈すると「屈んでいる(伏している)虎、隠された龍」っていう感じですよね。  で、恐らくその意味は「山に潜み伏している虎は一見おとなしそうであっても常に攻撃力を備えている」っていう感じ。  まあひらたく言えば「見かけと中身は大違い」っていうことでしょうか・・・・(ちょっと違うか ^^; )  でも、そう読み解いてこの映画を観てみると、このタイトルってこの映画のメインの登場人物の誰にでもあてはまることのような気がします。

父親の出世のために気乗りのしないまま嫁入りしようとする可憐な貴族の娘イェン(チャン・ツィー)が書物の世界の中の武侠に憧れ、子供の頃から武芸の修行をしていてすでに師匠を超えちゃっているっていうのはまさしく「臥虎藏龍」だし、心の奥底に隠された恋人を熱く思っているっていうのも「臥虎藏龍」。  長年の戦い(& 恋煩い)に身も心も疲れ果て、武侠の世界からの引退を考えて自分の分身とも言うべき名剣を手放す決心をしたリー・ムーバイ(チョウ・ユンファ)がイェンに出会ったことにより、彼女に自分の秘伝を伝えたいと熱望しちゃったり、師匠の仇ジェイド・フォックス(碧眼狐)に再会しちゃうやいなや、やっぱり復讐に燃えちゃうのも「臥虎藏龍」。  過去のしがらみからお互いにお互いを心から思い合っていながらも、ずっとそれを秘め続けているリー・ムーバイとユー・シューリン(ミシェル・ヨー)の静かだけど熱い想いも「臥虎藏龍」。  最愛の弟子に裏切られてしまって、どうしてもそれが許せないジェイド・フォックスの心の葛藤も「臥虎藏龍」。  因みにどうでもいいことではあるけれど、イェンの名前が「玉嬌龍」で、彼女の恋人ローの名が「羅小虎」なんていう小技も効かされていたりします(笑)。

 

 

この映画の場合どうしても美しい映像と派手なアクションに目が向いてしまいがちで、実際この映画で実現されたワイヤーアクションはその後の映像世界にすんごい影響を与えて、二番煎じ的なアクションものの映画やドラマがどんどん世の中に出てきたわけだけど、そういう後続作品と一線を画しているのは、この題名にもこめられた叙情的なストーリーがしっかりと描かれている点ではないかと思います。  誰ですか?  グリーン・デスティニーなんていう冴えない邦題をつけたのは!!  これはやっぱり原題のままの方がいい映画だよなぁ・・・・。  グリーン・デスティニー(碧冥剣)はあっちの虎からこっちの虎へと行ったり来たりしているけれど、その名剣が主人公なワケじゃないし。

この映画、何と言っても女性剣士の活躍ぶりが見ものなんだけど、これって抑圧された中で息を潜めて生きている当時の女性の心境が理解できないと単なる活劇だけで終わっちゃう映画のような気がします。  イェンは家柄ゆえに自分の意志の赴くままに自分の将来を決めることができない閉塞感の中で暮らしていて、だからこそ馬賊に襲われたなんていう非日常的な出来事があると、後先のことを考えずに飛び出して行っちゃったりするんだと思うんですよね。  で、たまたまその馬賊と恋に落ちて自由の蜜を味わっちゃったから、その後家に戻った後の閉塞感は今まで以上に切実なものになってしまったんだと思います。  だから最初の「グリーン・デスティニー盗難事件」は言ってみれば彼女の憂さ晴らし・・・・というかストレス発散だったのではないかと・・・・。  でも自分の婚礼の日に婚家から飛び出しちゃった時は、ある意味ではちょっとイッちゃっている状態で(それまでの全てを捨てたんだもんね)、自分の力を振り回さずにはいられなかったんだと思う。  そんな彼女の抑圧されていた気持ちを炸裂させるのに一役買ってしまったのが天下の名刀グリーン・デスティニー(碧冥剣)。  彼女には目的とか深い思想があるわけじゃなくて、力があるのにずっと使えなかったから、たまたま名刀を手に入れちゃったから、やっと自由になって思う存分自分の力で何物にも挑んでいけるチャンスができちゃったから、それに相手が向うから絡んできたから・・・・と、狂ったように戦い続けてしまう。

秘めた想いを自分の中で押し殺しながら生きてきたシューリン。  KiKi は知らなかったんだけど、当時の中国では1度誰かと婚約して、その婚約者が死んでしまった女性は未亡人と見做され、亡くなったご主人(と言うか婚約者)に貞操を捧げ続けなくちゃいけないという掟みたいなものがあったのだそうです。  誰の妻にもならないうちに未亡人のレッテルを貼られて生涯を送らなくちゃいけない女性・・・・。  そんな彼女だから「家族」だとか「婚姻」に深い想い入れがあるんだと思うんですよね。  だからイェンが「自由に生きたい、好きな相手は自分で選びたい。」と真正面から切りこんで来た時、同じ閉塞感に捕らわれた女性として彼女の気持ちを理解しつつも、それでも彼女に相応しい「結婚」をさせたかったんだと思います。  自分が気持ちを抑えて抑えて生きてきているだけに、イェンの真っ直ぐさや若さがまぶしくもあり、羨ましくもあり、愛おしかったんだろうなぁ・・・・。  最後のイェンとシューリンの女同士の戦いは真剣勝負でありながらも、どこか相手を殺しきれない感情があったように感じました。  だいたい、何のための戦いなのかよくわからない戦いだったし・・・・(笑)。  その相手への想いいれみたいな感情は特にシューリンに顕著で、彼女はイェンとの戦いで受けた傷を治療してもらっている際に、女中さん(?)に「殺すべきでした」と言われて「できないわ・・・。」なんて答えていました。

でも、そんじょそこらの剣ではない、天下の名刀「グリーン・デスティニー」。  当然力任せに振り回せばいいっていうような代物ではないわけで・・・・・。  凄まじい死闘を経た後にそれぞれの人物は、それぞれに何かを得、何かを失って物語は幕を閉じます。  ラスト(ムーバイの死からイェンの飛び降りまで)はちょっと KiKi としては不満が残らないじゃなかったけれど、まあ、素晴らしい映画でした。

で、最後にもう1つだけ・・・・。  この映画の音楽が素晴らしいんですよね~。  全編に流れる深~いチェロの響きと太鼓の音に酔いしれていたのですが、このチェロってヨーヨー・マだったんだぁ!!  なるほど、納得。  それにしてもチェロの響きって、こういうオリエンタルなムードにもぴったりとマッチするもんだねぇ。  ・・・・・と、明日は今年最初のチェロ・レッスンの日だったっけ??  練習しよっと♪  それから映画の主題歌を歌っているのがココ・リーという歌手の方なんですが、この方、「東洋のマライア・キャリー」と呼ばれているのだとか・・・・。 なるほど、さすがの音楽性。  いや~、いい音楽を堪能させていただきました。  

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://poco-a-poco.chu.jp/mt/mt-tb.cgi/116

コメントする

2015年2月

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28

Current Moon

CURRENT MOON

東京のお天気


山小舎のお天気


Booklog



ブクログ

アーカイブ

ウェブページ

Powered by Movable Type 4.261

TrackbackPeople

クラシック・ピープルの Trackback People Site


チェロ ラヴァーズの Trackback People Site


Piano~ぴあの Trackback People Site


ピアノオススメ教本の Trackback People Site


ピアノ教室の Trackback People Site


Book Love Peopleの Trackback People Site


本好きPeople・ぴーぷるの Trackback People Site


今日読んだ本の Trackback People Site


ファンタジーが好き♪の Trackback People Site


この絵本がすごい!の Tackback People Site


児童書大好き♪の Trackback People Site


ハヤカワepi文庫の Trackback People Site


岩波少年文庫応援団の Trackback People Site


薪ストーブの Trackback People Site


週末は田舎暮らしの Trackback People Site


野菜育てPeopleの Trackback People Site


ガーデニングの Trackback People Site


パッチワークキルトの Trackback People Site


あなたの訪問は?


日めくりカレンダー


Real Time News


カテゴリ

ノルンはいくつ?

本が好き!


読書メーター

KiKiさんの読書メーター
KiKiさんの読書メーター

最近読んだ本

KiKiの最近読んだ本

今読んでいる本

KiKiの今読んでる本

読了目標





今やってるゲーム

KiKiの今やってるゲーム

このブログ記事について

このページは、KiKi (Brunnhilde)が2008年4月20日 18:34に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「木を植えた男 ジャン・ジオノ」です。

次のブログ記事は「みどりのゆび モーリス・ドリュオン」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

高速運賃





Edita

ブロガー(ブログ)交流空間 エディタコミュニティ

名言黒板


作家別タグ