みどりのゆび モーリス・ドリュオン

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春といえばガーデニング・シーズンです。  KiKi は現在群馬県は高山村というところに終の棲家を建築中なのですが、そこのお庭をどんな風にしていけばいいのか日々空想の世界に遊んでいます。  まあ、基本的にはカラフルな一年草主体の花に埋もれた綺麗なお庭・・・・というよりは、どちらかというと雑木林の中・・・・みたいな雰囲気の方が好きなので、勢い「サカタ」とか「タキイ」のカタログを見ても「樹木」とか「山野草」とか「宿根草」とか「シェードガーデン」みたいなページばかりを食い入るように眺めているんですけどね(笑)

ま、それはさておき、・・・・というような日々の生活の中で本日選んだのはこの本です。

みどりのゆび
モーリス・ドリュオン 作
安東次男 訳 

1141010.gif   (Amazon)

 「みどりのゆび」というと一般的には植物を育てるのが上手な人のことを言う時に「あの人は緑の指を持っている」というような使い方をする言葉だと思うんですが、この物語の主人公チトのゆびは「育てる」というよりは「どんな場所であってもそこに眠っている植物の種を見つけ出してたちどころに花を咲かせてしまう」という魔法のような指なんですよね~、これが(笑)。  まあ、個人的にはチトのような「みどりのゆび」よりは一般的に使われるような「植物を育てるのが上手なみどりのゆび」が欲しいなぁ・・・・。

 

 

子供時代にこの本を読んだ時は「なんて美しいお話なんだろう!!」と感動したような気がするのですが、大人になった今読み返してみると、若干の居心地の悪さ・・・・みたいなものを感じてしまいました。  それだけひねくれちゃったということなのかなぁ・・・・・。

でもね、設定がそもそも何となく胡散臭いんですよ。  チトのうちはとっても裕福で(まあ、それはいいでしょう)、お父さんはとってもオシャレで(まあ、それも許すとしましょう)、さらにはお母さんがとっても美しくて(ここまでも許せるとして)いい香りがする(ここまでくるとちょっとねぇ・・・という感じ?)んです。  で、チト本人も金色の髪の毛と青い目とバラ色のほっぺの持ち主。  で、挙句の果てに「みどりのゆび」まで持っているわけです。  「絵に描いたような幸せ」っていう言葉があるけれど、これじゃ「幸せのイメージを絵に描いた」みたいな設定じゃないですか!!(怒)

まあ、これはこの後のチトのショックを際立たせるためのいわば舞台装置みたいなもの・・・・だっていうのはわかるんですけど、裕福でもなく、オシャレとは程遠い容貌の父親と愛嬌はあっても美人というのとはちょっと違う母親の間に生まれ天然パーマで黒髪の KiKi の立つ瀬がないというものです(笑)。  

でもまあ、決して KiKi はチト一家を羨んでいるわけでも、彼らが嫌いなわけでもないんですけどね。  で、そんな「絵に描いたような幸せ」な生活を営んでいるかに見えたチト一家ですが、実はその生活を支えているおとうさんの生業は「死の商人」、つまり兵器を売って儲けている人だったんです。  で、それに気がついちゃったチトがあれをして、これをして、最後の最後は万々歳!みたいな物語。

チトの咲かせる花が環境美化に貢献したりとか荒んでしまった人びと心にうるおいを与えたりとか、戦争まで防いじゃうとか、子供時代はワクワクドキドキしながら読んで「やっぱり美しいものはいい!」で終わってしまっていたんだけど、そしてこれらを描き出す場面場面の描写は本当に美しいと今でも感動できるんだけど、この歳になって再読すると

「本当にそれでいいのか?」

って思っちゃったんですよね~。  そもそも、この物語の舞台となっている「ミルポワル」の人々は戦争を嫌っていたはずなのに、兵器を作って売ることに抵抗はなかったんだろうか?(自分の身に火の粉が降りかからなければそれでいいのか?)とか、戦争をとめたのはすごいことかもしれないけれど、チトのやったやり方は根本解決にはなっていないんじゃないか?(そもそもこの物語でなぜ戦争が勃発するんだ?)とか、武器商人だったとはいえチトのお父さんはチトのことを本当に大切にしてくれていて、優しくて決断力もあって、授業中にどうしても居眠りをしてしまうチトに実地で人生やら何やらを身につけさせようという柔軟性もある人なのに、そのお父さんにこの仕打ちはあり? とか、色々考えてしまいました。

「お花って素敵ね!」と素直に思えた子供時代がよかったのかどうかさえわからず、ちょっと悶々とした読後感を抱えている KiKi なのです。

 

追記) 宮崎駿50選の中での宮崎氏のコメント

ぼくが最初に読んだときは、みどりのゆびの子は、チェストーという名前でした。  この本ではチトになっています。  この本が書かれた頃も、今も戦争は少しもなくなりません。  貧乏も刑務所も増えているほどです。  ぼくらのゆびはみどり色ではありませんが、チトの側にいようと思っています。  (2011年12月15日転記)

  

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