ゴッドファーザー Part III

| コメント(0) | トラックバック(0)

ゴッドファーザー Part III
1990年 アメリカ 監督:フランシス・フォード・コッポラ


41BKZJ8HYYL__SL500_AA240_.jpgのサムネール画像    (Amazon)   

ファミリーの存続のため、実の兄まで殺したマイケル。  老境にさしかかったマイケルは、ファミリーのさらなる繁栄のため、バチカンとの連携を模索する。  そして新たな後継者を考慮していた...。

前作から20年後の79年から物語は始まる。  ファミリーの血の絆のためには妻をも犠牲にしたマイケル。  さらなる野望を実現しようとしたマイケルの進む道は、これまで以上に血塗られたいばらの道だった。

アル・パチーノが老境に達したマイケルを重厚に演じ、アンディ・ガルシアがその後継者としてはつらつとした演技を見せる。  トリロジーの最終章にふさわしく、ダイアン・キートンほか豪華なレギュラー俳優陣に、コッポラ監督の愛娘ソフィアが加わっている。(アルジオン北村)

                                Amazon サイトより転載 
  

傑作の誉れ高い前2作と比較すると「駄作」とか「蛇足」という評価の多いこの作品ですが、KiKi はこの作品が嫌いではありません。  完成度という意味では Part II にははるかに及ばないとは思うけれど、「老い」の境地に達すれば見てくれはある程度醜くなるのは普通だし、弱気にもなっていくものだと思うんですよね。  逆に時代が生んでしまった怪物・マイケルが老境の域に達してようやく少しずつ失ったものを取り戻す・・・・・と言うか、取り戻すための努力をしてあがくというのは説得力のあるシナリオだと思いました。  Part II の Review にもちょっと書いたけれど、やはりこのシリーズは「アメリカ版平家物語」なんだと思うんですよね。

トムが出てこないのは残念だったし、監督の愛娘はどう贔屓目に見てもミスキャストだったと思うし、シチリアでヴィンセント(アンディ・ガルシア)が雇ったボディーガードはあまりにも軟弱だったけれど、全体としてはそこそこよくまとまった作品だと思います。  それにね、KiKi はこの映画が公開されたぐらいの頃、アンディ・ガルシアが結構好きだったんですよね~。  「アンタッチャブル」のアンディは本当にカッコよかった  難点を言えば、そのヴィンセントとメアリー(ソフィア・コッポラ)の近親相姦的恋愛って必要だったのかなぁ・・・・・という疑問が後々まで残ったということ。  お断りしておきますがこれは決してアンディが好きだった KiKi の嫉妬でも何でもありませんからね(笑)。  まあ、今作では敵が仕掛けてきた陰謀の作りこみがかなり雑で、その陰謀の全容が露見するためには誰かがそれを発見しなくちゃいけなくて、そのためにはヴィンセントが敵の懐に飛び込む必要があって、敵にそんなヴィンセントを受け入れさせるためには、「ドンの娘とどうにかして結婚したい」という相談をもちかけるという必要性があって、それで無理やり2人をくっつけちゃった・・・・・みたいな安っぽさを感じちゃうんですよね。

まあ、それはさておきこの映画の Review です。  現実の世界でもマフィアが街中で拳銃をバンバンぶっ放していたのは随分昔のことで、今では「どこかの一流会社の重役です。」とか「没落貴族の末裔です。」なんて言われても「へぇ、そうなんだ。」と思えてしまうようなご時世です。  マフィアの世界の変貌を見事に捉えている作品だと思いました。  コルレオーネ・ファミリーが「財団運営」しているのもとっても自然な流れだと思ったし、Part II ではせいぜいネバダ州出身の議員相手に偽善ごっこをしていたのが、今作では伝統あるバチカンを相手にしているのも説得力のある展開だったと思います。  (法王庁から文句は来なかったんでしょうか??)  そして、何よりも説得力があると感じたのは、あの計算高い冷血漢だったマイケルのあまりにも大きな変貌です。  「老い」とか自分の「死」を意識するようになって自分の行ってきたことのツケが回ってくるというのは、若いうちは絶対に認めたくないことだけれど、これは事実だと思うんですよね。  だからこそ、人はがむしゃらに頑張っている時期を通り過ぎると「名誉」を欲しがったり、「慈善事業」に邁進したりするわけだし・・・・・。

 

 

この作品で KiKi が一番好きだったシーンはマイケルの懺悔のシーンです。  Part II でいみじくもコニーが言っていたように、「マイケルは強くあろうとしただけ」で血も涙もない根っからの冷血漢ではなかったということ、彼が若かりし日にはファミリー・ビジネスを嫌悪していた人物だったことをもう1度思い出させてくれる作品だと感じました。  それにね、マイケルに懺悔させる枢機卿が素晴らしいなぁと思ったんですよね。  「悔い改めもせず懺悔してどんな意味が?」と躊躇するマイケルに枢機卿は言います。  「君は計算に強い人間だとか。  じゃあ、懺悔してどんな損があると言うのかね?」

「兄を・・・。  人に命じて私に背いた兄を殺させました。  私の母の息子を・・・・。  私の父の息子を・・・・・。」

この言葉とともに積年の涙を初めて人前でこぼすマイケル。  Part I でも Part II でもマイケルの涙なんて見たことがなかった(ような気がする)だけに、胸にぐっとくるものがありました。  懺悔をした後でコニーと語り合う場面でマイケルは「(懺悔をして)何かが変わった。」と言うけれど、今まで人に自分の弱みを決して見せなかった人間が告白をし、これまで流したことがなかった涙を流したのですから、それだけも大変化です。  それにあの言葉にはマイケルの家族への愛情や血への愛着が溢れていると思うんですよね。  フレドはもともと優しい子だったから、子供時代にはマイケルの面倒だってよく見てくれたような気がするんですよね。  やんちゃ坊主のソニーが幼いマイケルにちょっかいを出して、マイケルが泣きべそでもかこうものなら、フレドがそっと慰めてくれた・・・・・みたいなシーンが想像できちゃうんです(笑)。  ところが、自分の子供たちが遊びに来たりもする自分とケイの寝室を襲撃されるなんていうおぞましい事件が起こり、その首謀者とフレドに繋がりがあったことが発覚して、マイケルはどうしても彼を許せなかった。  それは恐らく過去の過ちを許せなかったというよりは、人間的に弱いフレドがいつ何時また別の勢力に取り込まれ、同じ事を繰り返さないとも限らない・・・・・という危惧もあったように感じます。

印象に残ったシーンの1つがマイケルの息子のアンソニーが「パパの仕事には関わりたくない」と言って音楽家の道を選ぶシーン。  さもないシーンなんだけど、Part II の銃撃事件の直後に幼いアンソニーは「僕がパパのお仕事を手伝ってあげる。」と言っていたことを思い出すと、とても切なくなってしまいました。  そしてそれと同時に、若かりし日のマイケルがファミリー・ビジネスに背を向けていたことを思うと、やっぱり親子なんだなぁ・・・・なんていうことをしみじみと感じます。

シチリアの滞在先、ドン・トマシーノが殺害され、その棺の傍らにひざまずいてのマイケルの独白は二重、三重の意味で印象に残りました。

「俺は恐れられ君は愛された。  なぜなのか?  君に劣る人間だったとは思わない。  人を助けようと努めてきた。  心が俺を裏切ったのだろうか?  俺は自分を呪う。  子供たちの命に賭けて誓います。  贖罪のチャンスをお与えください。  二度と再び罪は犯しません。」

彼は自分が歩んできた道を振り返って後悔しているんだけど、かと言って何が間違っていたのか、自分の選択のどこがいけなかったのかはどうしてもわからないんですよね。  彼はとにかく「家族とファミリー」を守るために最善と思われることを冷静に着々とやってきただけで、じゃああの時点でこの時点で別の選択をしていたら・・・・・と考えても、何をどうやっても今より悪い結果が想定できちゃうだけなんだと思うんですよね。  でも、ここで「子供たちの命に賭けて誓った」ことを後々のマイケルはさらに深~く後悔することになったような気がして、胸が痛みます。

二度と再び罪は犯さないことをマイケルが誓った直後に、今回の陰謀の全容が明らかにされます。  でも、マイケルは「私にはもうできない。」と言ってコルレオーネ・ファミリーの現状と未来をヴィンセントに託します。  で、感動物だったのは後継者への引継ぎを終えて全ての重責から解放されたマイケルが、すご~く表情豊かになったこと。  この3部作を通じて、あんなに屈託のない笑顔を見せるマイケルは Part I でファミリー・ビジネスに反発しながら、ケイとイチャイチャしていた時以来です。

マイケルが息子のオペラ公演を観終わったあとで「ここにいる連中は "コルレオーネ" と聞いたら(マフィアの自分ではなく)トニーのことを思い浮かべるのだろうな。」と言ったのもとても印象に残りました。  実際、コルレオーネ・ファミリーの次のドン、ヴィンセントの初仕事は黒幕たちの粛清・・・・には成功したけれど、コルレオーネ家の警護には必ずしも成功したとは言えず、結果としてマイケルから彼のもっとも大切な宝物である愛娘を失わせてしまうのですから・・・・。  娘が凶弾に倒れたことを知ったその瞬間から暫くの間、かすかな音楽と周りの人の声のみでマイケルの声がほとんど聞こえてこないシーンは迫力満点です。  それまではオペラ「カヴァレリア・ルスティカーナ」と同時進行で溢れる音の中で様々なシーンが映し出されていたのに、ここで急に静寂に包まれるあの演出は本当に素晴らしいと思いました。  彼の失ったものの大きさがあの無音の数秒間(?)に凝縮されているような気がしました。  そしてどこか遠くから聞こえてくるかのように響き始めるマイケルの慟哭。  その声はコルレオーネ・ファミリーが崩れていく音のように聞こえました。

最後はシチリアに隠遁したマイケルが周りに付き添う人もなく、犬だけに見守られて息を引き取ります。  もちろんそれは非道の限りを尽くしてきたマフィアのドンのあまりにも哀しい最期ではあるけれど、何となく・・・・ではあるのですが、人は死ぬときには誰もが1人ぼっち・・・・・というメッセージにも見えました。  

かなり象徴的だと思ったのは、この物語の黒幕ジョン・ルケージ(シリーズの中でもっとも存在感のない黒幕でした ^^; )が「信頼は泥のように脆い」とあっさりと言ってのけるという点です。  ヴィトー・コルレオーネの時代には何よりも大切だった「信頼」の価値がどんどんなくなっている・・・・・。  これって現実問題にあてはめてみても、その兆候がそこかしこにあるような気がして、ちょっと空恐ろしいような気分になりました。


 

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://poco-a-poco.chu.jp/mt/mt-tb.cgi/119

コメントする

2015年2月

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28

Current Moon

CURRENT MOON

東京のお天気


山小舎のお天気


Booklog



ブクログ

アーカイブ

ウェブページ

Powered by Movable Type 4.261

TrackbackPeople

クラシック・ピープルの Trackback People Site


チェロ ラヴァーズの Trackback People Site


Piano~ぴあの Trackback People Site


ピアノオススメ教本の Trackback People Site


ピアノ教室の Trackback People Site


Book Love Peopleの Trackback People Site


本好きPeople・ぴーぷるの Trackback People Site


今日読んだ本の Trackback People Site


ファンタジーが好き♪の Trackback People Site


この絵本がすごい!の Tackback People Site


児童書大好き♪の Trackback People Site


ハヤカワepi文庫の Trackback People Site


岩波少年文庫応援団の Trackback People Site


薪ストーブの Trackback People Site


週末は田舎暮らしの Trackback People Site


野菜育てPeopleの Trackback People Site


ガーデニングの Trackback People Site


パッチワークキルトの Trackback People Site


あなたの訪問は?


日めくりカレンダー


Real Time News


カテゴリ

ノルンはいくつ?

本が好き!


読書メーター

KiKiさんの読書メーター
KiKiさんの読書メーター

最近読んだ本

KiKiの最近読んだ本

今読んでいる本

KiKiの今読んでる本

読了目標





今やってるゲーム

KiKiの今やってるゲーム

このブログ記事について

このページは、KiKi (Brunnhilde)が2008年7月20日 18:57に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「グリム童話集(上)(下)」です。

次のブログ記事は「コーラス」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

高速運賃





Edita

ブロガー(ブログ)交流空間 エディタコミュニティ

名言黒板


作家別タグ