ノルウェーの民話 アスビョルンセン&モー

| コメント(0) | トラックバック(0)

先日読了したばかりの「太陽の東 月の西」。  久々のノルウェー民話の世界にもう少しだけ浸っていたい気分にかられ、まったく同じ路線(?)なんだけど、これまた久々に本棚の奥から引っ張り出してみました。  

ノルウェーの民話
編纂:ペーター・クリステン・アスビョルンセン & ヨーレン・モー  訳:米原まり子
青土社

51HXPB0H5ML__SL500_AA240_.jpgのサムネール画像     (Amazon)

 

原典となる民話そのものは例の「あおいろ」「あかいろ」更には「太陽の東 月の西」と同じプロットの物語なんだろうけれど、こうやって立て続けに読み返してみると、本当に少しずつ少しずつではあるものの本ごとに発生するテイストの微妙な違いに改めて気がつかされます。

このエントリーでは KiKi が感じたちょっとしたテイストの違いを「翻訳の違い」 & 「元本の言語の違い」じゃないかと思ったんだけど、今回この本を読み返してみて、どうやら「元本の言語の違い」同様に「元本を編纂した人の思想の違い」とか「その元本を編纂した人たちが生きていた時代環境の違い」というのもあるのかもしれない・・・・・  そんな風に感じました。

と言うのはね、これまで読んだ「あお」「あか」「太陽」ではただ単に「人間」という表現が使われていたところがこの本ではやたらと「キリスト教徒」という言葉に置き換わっているんですよね~。

 

「人間」が「キリスト教徒」に置き換わるのは多くの場合、トロールにとらわれているお姫様を助けにいった騎士(or 青年)がトロール館に隠れ潜んでいて、帰宅したトロールが抜群の嗅覚を働かせて「くんくん、誰かが俺の家にいるぞ」という場面。  この誰かが「人間」になったり、「キリスト教徒」になったりしているんですよ。  でね、トロールと言えば北欧系の民話によく出てくる妖精(・・・・とはちょっと違うような気もするけれど)の一種・・・・なわけで、言ってみればキリスト教が伝来する以前の北欧の民間信仰というか、古代信仰の産物に近い存在なんだろうと思うんですよね。  そのトロールの口から「キリスト教徒」という言葉が出てくるところに、ほんの少しだけ・・・・ではあるけれど土着古代信仰 vs. キリスト教 という対立軸を感じてしまうんですよね。  

でね、ちょっとだけ調べてみました、ノルウェーの歴史。  まだまだ調査としては不十分なんで、エントリーに書いちゃっていいものかどうかちょっと迷うんだけどこのサイトの情報によればノルウェーにキリスト教が伝来したのは1030年ごろのことで、国家の統一とほぼ同時期だったようです。  因みにこの本の「訳者あとがき」によれば以下のような記述がありますから、まあまあこの時期であったことは確かなようです。

11世紀半ばにヴァイキング時代は終焉を迎える。  それは北欧がキリスト教化されていく過程でもあった。  幾多の異国と接したヴァイキングたちはしだいに文化的な影響を受けることになり、紀元千年あたりを境にしてキリスト教を受け入れていく。

で、時代はぐ~んと下ってアスビョルンセンとモーの二人が民話集の第一巻を出版したのが19世紀の半ばです。  デンマークの統治下になったりスウェーデンの統治下になったりと様々な変遷を経たうえで目覚めた「民族意識の高揚」を背景として、自国語の創造とあいまって始められた民話・伝承の採集活動の一環だったと評されているわけです。  KiKi は不勉強のため、アスビョルンセンとモーがどんな信仰の持ち主だったのかは知らないんだけど、時代からしても恐らくクリスチャンだったんじゃないかと思うんですよね。  で、古代信仰を信じて・・・・というよりは、古代信仰をベースにしてそこからインスピレーションを受けた作品に興味を持ったのは、今の KiKi と同じようにそこに流れる「ロマン」みたいなものをこよなく愛したからじゃないかと思うんですよ。  もしもそうだとすると、アスビョルンセンとモーが著した彼らの言葉による「ノルウェー民話集」ではこの「誰か」の部分ははたして一般的な「人間」という言葉だったのか、はたまた「キリスト教徒」という言葉だったのか、と~っても気になります(笑)。

因みにこの本の元本のテキストは訳者あとがきによれば以下のようなことになっているらしい。

本書は青土社により出版された「スウェーデンの民話」と同じく、「パンテオン妖精物語、民話双書」の一冊であり、パット・ショー・イヴェルセンとカール・ノーマンによって現代風に英訳された版に沿っている。

う~ん、ここで又新たな登場人物が出てきちゃっていますねぇ。  この2名はどこの国のどの時代の人でどんな信仰を持っていたんだろうか・・・・・。  まあ、間に色々な人が入るとどんどん脚色が入っちゃう可能性が高いわけだから、アスビョルンセンとモーの著した本を読むのが一番確実なんだろうけど、ノルウェー語はわかんないしなぁ・・・・・。  あれ?  でも口承伝説っていうのはそもそもそういう不確実性に満ちているところが味わいだったんじゃなかったっけ????  

ま、てなことをツラツラと考えております。  こうなってみるとこれに続いてもう一冊、これを読んでみる必要があるのかも・・・・・・。

61pKMiKM43L__SL500_AA240_.jpg  (Amazon)

これもどこかにあったはずなんだけど、どこにしまい込んじゃったんだっけ??

    

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://poco-a-poco.chu.jp/mt/mt-tb.cgi/362

コメントする

2015年2月

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28

Current Moon

CURRENT MOON

東京のお天気


山小舎のお天気


Booklog



ブクログ

アーカイブ

ウェブページ

Powered by Movable Type 4.261

TrackbackPeople

クラシック・ピープルの Trackback People Site


チェロ ラヴァーズの Trackback People Site


Piano~ぴあの Trackback People Site


ピアノオススメ教本の Trackback People Site


ピアノ教室の Trackback People Site


Book Love Peopleの Trackback People Site


本好きPeople・ぴーぷるの Trackback People Site


今日読んだ本の Trackback People Site


ファンタジーが好き♪の Trackback People Site


この絵本がすごい!の Tackback People Site


児童書大好き♪の Trackback People Site


ハヤカワepi文庫の Trackback People Site


岩波少年文庫応援団の Trackback People Site


薪ストーブの Trackback People Site


週末は田舎暮らしの Trackback People Site


野菜育てPeopleの Trackback People Site


ガーデニングの Trackback People Site


パッチワークキルトの Trackback People Site


あなたの訪問は?


日めくりカレンダー


Real Time News


カテゴリ

ノルンはいくつ?

本が好き!


読書メーター

KiKiさんの読書メーター
KiKiさんの読書メーター

最近読んだ本

KiKiの最近読んだ本

今読んでいる本

KiKiの今読んでる本

読了目標





今やってるゲーム

KiKiの今やってるゲーム

このブログ記事について

このページは、KiKi (Brunnhilde)が2009年10月 6日 09:06に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「「落ちこぼれ会計人の Music Diary」 データ移行ほぼ完了!」です。

次のブログ記事は「ケルト妖精物語Ⅰ ジョーゼフ・ジェイコブズ」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

高速運賃





Edita

ブロガー(ブログ)交流空間 エディタコミュニティ

名言黒板


作家別タグ