ケルト妖精物語Ⅰ ジョーゼフ・ジェイコブズ

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「ケルト」という言葉に興味を持つようになってはや○年。  興味だけはどんどん募っていってちくま文庫の「ケルト・シリーズ」(W.B. イエイツ & 井村君江 コンビ)には何度も挑戦しつつも、いつもどこかで躓いて(^^;)なかなか読み通せずにいる KiKi。  いわゆる「つまみ読み」だけはしていて、正しく認識できているかどうか定かじゃないんだけど、恐らく一応は一通り読んでいる自負はあるんですけどね(笑)  まあ、そんな KiKi がようやく読み通すことができた「ケルト妖精物語」を再読したので今日はその本をご紹介したいと思います。

ケルト妖精物語Ⅰ
編:ジョーゼフ・ジェイコブズ 訳:山本史郎  原書房

51QSN5DTGPL__SL500_AA240_.jpgのサムネール画像     (Amazon)

いや~、久々に読み返してみたんだけどやっぱりこの本だと躓くことはほとんどなくて、ちゃ~んと頭から最後まで物語の世界に没頭できちゃうんですよね~。

 

 

 

この本のウリは「オリジナル・ゲール語から採取された物語」を集めて編纂されている・・・・ということなんだけど(帯にもそう書いてある!)、序文を読むと帯に書いてあった文章に続いて出てくる言葉が 「このように方針をたてはしたものの、そう言った舌の根もかわかぬうちに、わたしはそれを破りにかかった。」 というもので、要するにゲール語の何かしらの原典を元にしつつもジェイコブズさんオリジナルの切って貼ってという作業がかなり行われているようです。  以下に帯に書かれている文章と序文にあるポイントとなりそうな文章を引用しておきます。 

 

<帯の文章>

ケルト妖精物語を編むにあたって、とくに心がけたのは、もとの土着の味をそのまま残そうということであった。  「グリムの妖精」をケルト風に味つけした登場人物でいっぱいにするつもりなら、とても簡単にできただろう。  それは舌に心地よいかもしれないが、それだけでは食傷する。  そこで私は、おとぎ話文学のお馴染みの「定式」を、できるだけ排除することにした。  スコットランドでもアイルランドでも英語を話す地域を避け、むしろ英語を知らないケルト農民から採取した物語のみを採用することにしたのである。

<以下は序文から>

「このように方針をたてはしたものの、そう言った舌の根もかわかぬうちに、わたしはそれを破りにかかった。」

(中略)

ロマンチックな物語については、そのほとんどの部分をゲール語のものに拠った。  わたしのゲール語の知識はといえばアイルランド国民党の議員さん程度のものなので、翻訳者の手をわずらわせざるをえなかった。  しかし、翻訳者はいっぱんに元来の字句にこだわりすぎる傾向があるのにたいして、わたしはもっと自由に元の作品を変形させ、省略し、修正させうる立場にあると感じた。  しかしわたしの恣意はそれにはとどまらなかった。  集めた物語にケルト的特徴がよく現れるようにとの配慮から、ノース海峡(スコットランドと北アイルランドの間)のどちら側にも存在する物語にとくに注目した。  そして、それらをわたし流の物語にする過程で、たとえば、アイルランド側の物語をもとにしながらスコットランド側の物語に出てくる出来事をはさみ込んだり、その逆のことを行ったりということを、平気で行った。  従来の翻訳は民話学者を対象にしていた。  それに対してわたしがめざすのは子供の笑顔なのだ。

う~ん、要するに KiKi は民話学者的じゃなくて子供に近いから、この本なら読み通せる・・・・っていうことなのかなぁ(苦笑)  あ、だから井村さんの文章はどことな~く苦手なのかな?  

ま、それはさておき、今回久々に読み返してみて再認識したのは、グリムやらアスビョルンセンの収集した数多くの物語の原型がそこかしこに表れている・・・・ということ。  人間が物語を語り継ぐということ、語り継ぐうちに少しずつ変形していくということ、そしてその変形は時代や世相、そして宗教の影響を受けていくということが感覚的に・・・・ではあるけれど理解できる そんな物語集だと思いました。  

ところで・・・・・この本の編者であるジェイコブズさん。  イギリス人かアイルランド人かスコットランド人かと思いきや、オーストラリアの方なんですねぇ・・・・。  まあ、オーストラリアの方々のルーツをたどれば先住民であるアボリジニ系の方々なんかを除けばイギリスやスコットランドに通じるから不思議でもなんでもないのかもしれないけれど、ほんの少しだけ意外な感じがしました。

最後に・・・・・訳者あとがきの前のページに可愛い挿絵があって、そこにこんな言葉が書かれていました。

大人も子どももこれを三度読めば、百年の眠りに落ちるだろう。

 

あちゃ~!  KiKiはこれが二度目だったんだけど、次に読み返すと「眠れる森の美女婆さん」になっちゃうかもしれないってこと???  それともその時はそろそろ「あの世行き」ってこと????  冗談にならないような気がして不気味な気が~~・・・・・。  妖精さん、三度ではなくせめて十度ぐらいに延長をお願いできないものでしょうか?  でもまあ、物語の世界では「三度の法則」みたいなのがあるから、やっぱり「三度目の正直」なんでしょうかねぇ・・・・・。

 

P.S.

引き続き「妖精物語Ⅱ」(要するにこの本の続編です)に読み進みたいと思うのですが、実は KiKi は今日から実家に里帰りしなくちゃなりません。  で、この本のようなハードカバー本は持ち歩くにはちょっと重いので文庫本に逃避することになりそうです。  予定としてはこちらも「再読」になるんだけど「ギリシア・ローマ神話 付インド・北欧神話」  作:トマス・ブルフィンチ 訳:野上弥生子 岩波文庫 になる予定です。  どうしてこの本を再読する気になったかを含め、次のエントリーでお話させていただくことになると思います。

 

      

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2009年10月10日 12:38に書いたブログ記事です。

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