NHK「坂の上の雲」第1回 Review

| コメント(0) | トラックバック(0)

楽しみにしていたNHKスペシャルドラマ「坂の上の雲」の第一回を視聴しました。  過去に KiKi はドラマレビューサイトみたいなものを開設していたことがあったのですが(そこで扱っていたのはほとんど海外ドラマばかりでしたが・・・・・ ^^;)、久々にこのドラマに関してはあの頃を思い出して(?)感想をアップしていきたいと思います。  まあ、何といってもこのドラマ、3年がかりの放映なので、来年第2部を視聴する際には第1部を、再来年第3部を視聴する際に第1部と第2部を、思い出すヨスガになる何かが欲しい・・・・という気持ちもありまして・・・・・(笑)

第1回 少年の国 2009年11月29日(日) 放映
 【総合テレビ】 午後8時00分
 【デジタル衛星ハイビジョン】 午後5時30分
 【衛星第2】 午後10時00分

260年続いた幕藩体制を倒して、日本には「明治」近代国家が誕生した。  その国は、帝国主義まっただ中の西欧列強という「大人」たちに囲まれた「少年の国」であった。  四国・伊予松山に三人の男がいた。  後に明治日本が直面した最大の危機「日露戦争」において、大きな役割を担うことになる秋山好古(阿部寛)・真之(本木雅弘)兄弟と日本の近代文学を代表する正岡子規(香川照之)である。  三人の主人公は松山の人々とその風土の中で育ち、やがて東京へと旅立って行く。  後年、そろって帰郷した三人は、松山城を背に記念写真に納まる。

明治16年(1883年)、好古は東京の陸軍大学に入学。  その年の6月、自由民権運動の熱弁をふるっている子規に妹の律(菅野美穂)が手紙を持ってくる。  東京の叔父から上京を促す手紙だった。  喜び、すぐさま東京へ。

松山に取り残されたような複雑な心境の真之のもとにも好古から面倒をみるとの手紙が届く。  真之は好古の下宿で暮らし始め、子規の後を追うように神田の共立(きょうりゅう)学校に入学、大学予備門を目指すことになる。

そんな、ある日、真之と子規は、共立の英語教師・高橋是清(西田敏行)の誘いで横浜にくり出した。  そこで、二人は最新鋭の巡洋艦「筑紫」を目の当たりにし、その威容に圧倒される。  そんな二人に、高橋は日本が紳士の国になるべきことを説くのだった。

pic_story01_01.jpg  

pic_story01_02.jpg

NHK松山放送局のHPより転載)

この第1回を観てのもっとも大きな感想は「価値観の大変換が起こったばかりの明治という時代を本当に丁寧に描いているなぁ」というものでした。  米作りと養蚕しか産業らしい産業のなかった時代の貧しさ、武士階級が率先して起こした幕末の動乱期&明治維新という動きではあったものの、その機動力であったはずの武士が滅び去る必要があったという時代のジレンマ。  「国家」「国民」という考え方を試行錯誤しながらも育んでいた時代。  そんなものがヒシヒシと伝わってきました。  子規の断髪のエピソードは小説を読んでいた時には特に心にひっかかることもなくさらっと過ごしてしまったのですが、ドラマでは妙に心に残りました。  あれって「新しい時代への希望」であるのと同時に「古いものとの惜別」だったんですねぇ~。  明治という時代が抱えていた2つの相反する価値観・・・・のようなものの中から己の核心をベースに何かを選びとっていく時代だったんですねぇ~。

散切頭(ザンギリあたま)をたたいて見れば文明開化の音がする 総髪頭(そうはつあたま)をたたいて見れば王政復古の音がする 半髪(はんぱつ)頭を叩いてみれば因循姑息の音がする

小学生の頃、この(↑)前半だけは教科書(or 参考書)にも載っていたし、断髪令やら廃刀令との絡みで暗記したけれど、そんな中、子規のおじいちゃんのような人もいたし、おじいちゃんの没後、なかなか断髪に踏み切れなかった孫もいた。  それが明治という時代だった・・・・というのが、初めて KiKi のおなかにストンと落ちたような気がしました。      

もう一つ、KiKi にとって印象的だったのが、風呂焚きのバイトをしている信さん(好古さん)が淳さん(真之さん)に語りかけるシーン。  福沢諭吉の「学問のすすめ」を語っているんだけど、実は KiKi は慶応大学の出身でもないし、この歳になるまで「学問のすすめ」も読んだことがないので、

天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず

という言葉だけはそれこそ丸暗記していたけれど、その後にどんなことが語られているのか興味を持ったことさえありませんでした。  でも、この後のどこかに

一身独立して一国独立す

という文言があったらしい・・・・・ ^^;  これを知った時、KiKi は「遅かれながら、『学問のススメ』をよまなくちゃ!」という気分になりました。  実はね KiKi は大学3年生の頃、専攻を英文学からもっと実学の学問に変更しようか、はたまた大学院へ進もうか、はたまた一刻も早く社会人になるべきかについてものすご~く真剣に考えた時期があるんですよね。  で、あれやこれや色々なこと(単なる進路という以上に自分の生き方、自分という人間の核の作り方、人生哲学の基盤を何に求めるか等々)を切羽詰まって考えたその結果として導き出した答えが

まずは独立することだ。  独立とは自分の生活を自力で建て、それが維持できるにようになること。  仮にそれが親であっても経済的・精神的に親に依存している間は独立とは言えない。  独立できていない癖に一人前のつもりになって唱える主張はある種戯言であり、説得力に欠ける。  自立できていない状態で唱える自由は我儘と大差ない。  自立して初めて自分の哲学・考え方を確立させるスタート地点に立つことができる。

というものでした。  だから、大学3年からは実学系の勉強は大学の講義とは別のところで独学で身につけようとし(ほとんど身に付かなかったけれど・・・・苦笑)、これ以上親の経済援助を得ながら夢物語の世界に没頭しているわけにはいかないと考え英文学の大学院に進む道は捨てたし、早く社会に出て、早く自分の生計を成り立たせられるようになろうと躍起になってきました。  それが正しかったかどうか、最近では少しずつ疑問を持ち始めている KiKi ではあるものの、それでも「方向転換する必要があるんじゃないか?」ということを臆面なく言うことができる自分の立ち位置の基礎にあるのは、「自分で自分の選択に最終的な責任を負うことができる」という自負があればこそ・・・・・という部分はやはり否めません。

明治という時代は、このドラマのそこかしこで強調されていたように、ある種の「亡国ヒステリー的な焦燥感」に冒されていた観のある時代だと思うし、事実日本をとりまく環境は決して生易しいものではなかっただろうと思うんですよね。  でも、そんな外的環境・内的環境以上に大変だったのは、何はともあれ「新興国家」として「国家が独立」しなくちゃいけなかったわけだけど、それは棚ぼた的に欧米列強に与えてもらえるようなものではなく(もしもそうだった場合にはそれは「独立」ではなく「隷属」になってしまう)という、国民の力で勝ち取っていくものであるというある種のパラダイム・シフトを起こすことが一番の大事だったんだろうと思うんですよね。

「国家の独立」は1人日本国が「私たちは独立国家です」と宣言すれば得られるほどシンプルなものではなかった時代。  それが明治期の世界環境だったのだと思うのです。  だからこそ、福沢諭吉先生はその日本国の喉を振り絞ったような宣言に説得力を与えるために「一身独立して一国独立す」を唱えたし、それに感化された信さん(好古さん)は「男子は生涯一事をなせば足る」「身辺は単純明快でいい」「一個の丈夫が金というものでひとの厄介になれば、そのぶんだけ気が縮んで生涯しわができる」「いまやっと自立し、齢も20代の半ばを数年過ぎ、そのこと(人はいかに生きるべきか)を時に考えることがある。  が、俺の得た思案は、お前(真之)の参考にはならぬ。  わしは日本陸軍の騎兵中尉秋山好古という者で、残念ながら漠然とした人間ではない。」という考え方に帰結しているんだと思うんですよね。

KiKi はこの小説の初読の時から今に至るまで、この「秋山好古さん」に強烈に惹かれているんだけど、その彼が軸としていたものをもっと知るためにも福沢諭吉先生の「学問のススメ」は読んでおく必要があるように感じました。  幸い、「現代語訳 学問のすすめ」という新書本を買ってあるので、このあたりでその本に寄り道してみたいと思います(笑)。

現代語訳 学問のすすめ
著:福沢諭吉 訳:斎藤孝  ちくま新書

 

41JxEYDGqGL__SL500_AA240_.jpg  (Amazon)

 

  

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://poco-a-poco.chu.jp/mt/mt-tb.cgi/400

コメントする

2015年2月

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28

Current Moon

CURRENT MOON

東京のお天気


山小舎のお天気


Booklog



ブクログ

アーカイブ

ウェブページ

Powered by Movable Type 4.261

TrackbackPeople

クラシック・ピープルの Trackback People Site


チェロ ラヴァーズの Trackback People Site


Piano~ぴあの Trackback People Site


ピアノオススメ教本の Trackback People Site


ピアノ教室の Trackback People Site


Book Love Peopleの Trackback People Site


本好きPeople・ぴーぷるの Trackback People Site


今日読んだ本の Trackback People Site


ファンタジーが好き♪の Trackback People Site


この絵本がすごい!の Tackback People Site


児童書大好き♪の Trackback People Site


ハヤカワepi文庫の Trackback People Site


岩波少年文庫応援団の Trackback People Site


薪ストーブの Trackback People Site


週末は田舎暮らしの Trackback People Site


野菜育てPeopleの Trackback People Site


ガーデニングの Trackback People Site


パッチワークキルトの Trackback People Site


あなたの訪問は?


日めくりカレンダー


Real Time News


カテゴリ

ノルンはいくつ?

本が好き!


読書メーター

KiKiさんの読書メーター
KiKiさんの読書メーター

最近読んだ本

KiKiの最近読んだ本

今読んでいる本

KiKiの今読んでる本

読了目標





今やってるゲーム

KiKiの今やってるゲーム

このブログ記事について

このページは、KiKi (Brunnhilde)が2009年11月29日 23:11に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「坂の上の雲(二) 司馬遼太郎」です。

次のブログ記事は「坂の上の雲(三) 司馬遼太郎」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

高速運賃





Edita

ブロガー(ブログ)交流空間 エディタコミュニティ

名言黒板


作家別タグ