長くつ下のピッピ、ピッピ船にのる、ピッピ南の島へ リンドグレーン

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先日、読書メーターを通じてお知り合いになれた四季さんのブログをお訪ねしたら、ピッピ三連作の Review がエントリーされていました。  たまたま KiKi も「この Lothlórien の次の岩波少年文庫カテゴリーのエントリーはピッピシリーズにしようかなぁ・・・・」と思っていたので、何だかとても嬉しくなってしまって、まるで四季さんに後押しされるかのような感じで懐かしいこの三連作を手にとってみました。

長くつ下のピッピ     ピッピ船にのる     ピッピ南の島へ

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作: アストリッド・リンドグレーン  訳:大塚勇三  岩波少年文庫 

 「あしながおじさん」にヒントを得て、作者リンドグレーンの小さい娘が、「ねえ、長くつ下のピッピって女の子のお話を作って」と母に頼んだ。  そこで生れたのがこの世界一つよい少女の物語だった。  自由ほんぽうに生きるピッピに、子どもは自分の夢の理想像を発見し、大人は愛さずにはいられない野育ちの永遠な少女を見出す。

ピッピは友だちをつれて町に買物に行きマネキン人形の手を1本買ったり、久しぶりに学校へ出て皆と遠足に行き、その途中馬をいじめる馬方をこらしめたりします。  ある日「ごたごた荘」に1人のお客がありました。  それこそ行方不明だったピッピの父エフライム船長でした。  ピッピはお父さんと南の海へ行こうとしますが...。

自由な生活を楽しんでいる世界一強い女の子ピッピが、こんどは友だちのトミーやアンニカ、馬やサルもいっしょに連れて、お父さんと南太平洋の島に出かけます。  ゆかいなピッピの第3話。

(岩波書店 HP より転載)

 

小学生の頃に最後に読んだきりず~っとピッピとは疎遠になっていた KiKi なので、正直なところあのピッピの天衣無縫さ・・・というか荒唐無稽さについていけるかどうか、実はおっかなびっくりで手に取ってみたんですよね。  特に KiKi は子供時代、物語のヒロインに自己投影・・・・というか変身願望を持ちながら読むことが多かったにもかかわらず、ピッピの物語に関して言えば「ピッピになりたい」とは思わず(・・・・というより思えず? 苦笑)「ピッピの友だちのアンニカになりたい」と思っていた物語であるだけに不安は一入だったんです。  でもね、四季さんが「相変わらず楽しい! ピッピ、可愛い!」と書いてくださっていたので「これは KiKi もなんとかなるかも?!」と思ったし、それ以上に大人になって再読してみて「やっぱりアンニカになりたい」と思うかどうか、それを確認してみたい・・・・・というのが一番の楽しみでした。

結論から言うとね、大人になってしまった KiKi はあいも変わらず「ピッピにはなれない」のはおんなじで、じゃあアンニカになりたいと思うかと言うと、「なりたいかなりたくないかと聞かれればなりたいけれど、もしもアンニカになったらハラハラし通しで身が持たないかも・・・・」というのが正直なところです。  いえね、多分ものすご~く楽しめると思うんですよ、ピッピと一緒なら。  でもね、毎日ピッピと遊べるかというと一日おきか3日に一度ぐらいが一番楽しめそう・・・・ そんな気分なんですよね~(苦笑)  これはひょっとすると今ではKiKi がピッピが頓着しない「大人の理屈」とか「大人がつくりあげた社会秩序」みたいなものに縛られる側ではなく、その枠組みを作る側にいるからじゃないか・・・そんな風に感じるんですよね~。

KiKi は決して「大人の理屈」や「大人がつくり上げる社会秩序」が絶対に正しいとは思っていないし、それに反するものを徹底的に排除したいとまでは思わない(というより、そう考えることは一歩間違えると危険だとさえ思っている)んだけど、ピッピがすぐ隣の近しい友だちでいられるほどはもう若くないんですよ、きっと。  ピッピの言動に時に眉をしかめ、時に一緒に大笑いする、そんな立ち位置にいるような気がします。  でね、「ピッピ南の島へ」の解説を落合恵子さんが書いていらして、その中でイングリッド・アルビドソンさんという方の書かれた書評を紹介されているんだけど、これがまさにツボを得ている・・・・そんな気がするんです。  落合さんも少し長いけれど・・・・と断り書きをされつつ引用されているその書評をこちらに転載するとね

・・・・・長くつ下のピッピは、1940年代の子供の、すべての限界やしきたりをうち破る向こうみずな天才である。  ピッピは彼女が思う通りに行動し、警察や学校や、社会の秩序にその能弁さと超自然的な力で対抗する。 (略) ここには、子供が常に読みたいと思う魅力的なアナーキズムだけでなく、明るい輝きを放つユーモアと日常のリアリティーあふれるすばらしい冒険がある。 (略) その陽気な思いつきに関しては子供自身の不服従のメカニズム、アナーキズムはけなされることなく、賛美される。 (略) おとながこのような無邪気な遊びに対して道徳的な憤慨をもって反応する社会に子供が暮らすならば、かれらがそれに耐えるためにも、長くつ下のピッピのような本が必要とされる。

 

そうそう、本当にそうだと思うんですよね~。  KiKi の今回の読後感をとっても高尚な文章で書こうとするとこの文章以上のものは1ヶ月かけても書けないと思うんだけど、まさにこの文章に KiKi が感じたことが書かれているんです。  それを KiKi なりの表現で書いてみたいと思います。 

KiKi が子供の頃(さすがに1940年代ではなかったけれど)、子供にはやってはいけないことや我慢しなければならないことがたくさんありました。  それはひょっとしたら古い子供観に支配されたものだったのかもしれないけれど、常に親の目が光っていることによる息苦しさ、閉塞感・・・・のようなものはほとんどの子供の共通した思いだったんじゃないかと思うんですよね。  「子供は早く寝なさい」もそうだし、「お菓子ばっかり食べちゃいけません」もそうだし、動き回りたい盛りなのに「教室やお客さんの前ではお行儀よくしなさい」もそう。  「大人ばっかりズルイ」とか「大人っていいなぁ。  ○○しなさいって言われなくて・・・・」みたいな思いって誰もが持っていたと思うんですよね。  

好奇心満々で物事の善悪の基準を持っていないわけじゃないけれど、さほど確立できていない「幼さ」に対する規制が「親の目」だったあの頃。  「○○しちゃいけません。」「どうして?」「どうしても。」というような会話が日常茶飯事だったあの頃。  自分がやりたいと思うことを理由もよくわからないまま禁止された鬱積。  そんなものをいっぱい抱えていたあの頃。  そんな頃に初めて出会ったピッピはそんな子供のストレスを自分に代わって発散してくれるヒロインでした。  でも、彼女が現実には存在しないこともよ~くわかっていたんです。  だって、ピッピみたいに力持ちの女の子なんているはずもないわけで・・・・・。  

KiKi が子供時代に「ピッピにはなれないけれど、アンニカになりたい。」と思ったのは、ピッピは現実には存在しえない女の子だったからだし、ある意味で自分自身は「いい子」のカテゴリーから逸脱しない(≒怒られない)安全地帯に身を置きつつ、心の中で自分を規制している親に対して見えないところで「あっかんべぇ」をしているようなささやかな抵抗(・・・・抵抗とは言えないような気もしますが ^^;)だったところに彼女の存在感があったんじゃないかと思うんですよね~。  だから子供からするとピッピは「いい子の基準を脅かす存在」には絶対になりえなかったんですよね。  「あれもダメ、これもダメ。  でもそうしたいと思っているのにぃ~!!!」という鬱積を物語の中で晴らしてくれる存在だったんです。  だから彼女は小さい子供たちの素敵なお友達だったんです。

じゃあ、大人になった KiKi の友だちになれるかっていうとね、やっぱり友だちになりたい女の子なんです。  でもね、今の KiKi が彼女に惹かれるのはそんな自分の憂さを自分に代わって晴らしてもらうための女の子ではなくて、彼女のあふれんばかりの生命力とか生活力、そんなものに憧れちゃうんですよね~。  ピッピの生活を成り立たせているいわゆる「資金源」こそお父さんが残してくれたスーツケースいっぱいの金貨だけど、彼女はありとあらゆることを自力で成し遂げる力を持っています。  決してバランスがいいとは言えない食生活だとは思うけれど(^^;)、三度の食事はちゃんと自炊できちゃうし(しかも美味しそう!!)、着るものだって自分で作れるし、大工仕事まがいのことも自分でやっちゃう。  ボディーガードなんて必要ないくらい自力で自分を守ることができるし、木のぼりもできれば植物から縄を編むこともできる。  

「わたしのこと、しんぱいしないで!  わたしは、ちゃんとやっていけるから!」

と言いきることができて、実際にちゃんとやっていくパワーを持っている女の子。  そんなところが本当に凄い!と思う。  腹がすわっている女の子だけが持つことができるパワーなんじゃないか・・・・そんな風に感じるんですよね~。  で、そんなピッピのパワーが大きいだけに毎日一緒にいたら、彼女ほどは腹がすわっていない KiKi の身が持たない・・・・・そんな感じです(笑)  彼女は「ちゃんとやっていける子」ではなく「なんとかやっちゃう子」だし、「今日は面白いことあるかな?と期待して待つ子」ではなく「今日も面白い一日にしてやるぞ!という子」なんですよね~。

それにしても・・・・・・「ごたごた荘」っていう名前はピッピがつけたのかなぁ。  それともナガクツシタ船長なのかなぁ。  いずれにしろ、ナガクツシタ一族の命名センスは凄いものがあると思います。  ピッピの住まいの名前としてこんなにピッタリくる名前は他にないんじゃないかしら。  山小舎にLothlórien(ロスロリアン)と命名した KiKi は逆立ちしてもこんな名前は出てこないから、やっぱり KiKi はピッピにはなれそうにありません。

    

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コメント(2)

KiKiさん、こんにちは。
TBありがとうございます~。
KiKiさんの書かれてることを読んで
うんうんうんうんそうだった、と頷いてる私…
一旦自分の感想を書いても、それがその時の自分の気持ちでも
他の方の感想を読んだら、ああ、そうだったよなあ、なんて思うことが多くて…
結局、自分の読みの甘さを痛感させられることになる私です。(笑)

でもやっぱりKiKiさんとは少し違ってたかな~?
私も今回読む前、大人になった今ピッピを読んだら
ピッピがものすごく痛くて居たたまれないかもしれないと思って
すごく心配してたんですよ。ついていけないかも~?って。
でも、ひょっと手に取ってみたら、全然大丈夫で。
これって、子供の頃の私の方がアンニカ的だったということなのかも。
なんて思ったりもしました。
子供の頃は、ピッピの色んな行動にハラハラさせられ通しで
なんだかそれだけで半分気疲れしてたんですが(笑)
今の私はその頃に比べてあんまり色んなことに囚われなくなってるせいか
その頃よりもすんなりと、一緒に楽しめちゃったんですよね。
もしかして、子供の頃の私の方が良識があったってことなんじゃ…?
と、心配になったりもしますが。(汗)
しかもそうなると「体制に反抗する」という構図にも全然当てはまらないし…

再読する前は、ピッピは子供のものだと思い込んでたんですけどね。
やっぱり実際に読み返すと感じ方が変化してて面白いですね。

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