りこうすぎた王子  アンドルー・ラング

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KiKi のライフワークの1つ、岩波少年文庫読破計画の一環でずいぶん前に購入してあった「復刻版全30巻」。  考えてみるときちんと全冊読み通した記憶がありません。  最近のソフトカバーの本とは異なり新書サイズとはいえきちんとしたハードカバーで、小さいながらも本そのものが「愛蔵版にしてね♪」と訴えかけてきているような感じがします。  愛蔵版とは言え、蔵にしまいっぱなしじゃあまりにも可哀想・・・・ということで、これからLothlórien(山小舎)に訪問するたびに一冊ずつ抜き出して読み進めていこうと思います。  その記念すべき第1作は最近東京創元社のシリーズ(「○○いろの童話集」)で読み進めているアンドルー・ラングの自作童話です。

りこうすぎた王子
著:アンドルー・ラング 訳:光吉夏弥  岩波少年文庫復刻版

055.JPG   (Amazon)

さすがに「○○いろの童話集」を編纂した人の作品だけのことはあって、世界童話のコアな部分(訳者のあとがきによると「粹」≒すぐれたもの と「道具立て」)があちらこちらに垣間見え、思わずほほえましい気分にさせられます。  たとえばね、このりこうすぎた王子(プリジオ王子)の住んでいるお城に「夏の間」というお部屋があるらしいんだけど、そこにはたくさんの肖像画がかかっていて、中にはプリジオ王子のひいおばあさんであるシンデレラがガラスの靴を履いている絵もあれば、長靴をはいたネコが玉座の肘に座っているカラバ侯爵の絵もあり、ず~っと祖先にあたる眠りこけたお姫様(眠れる森の美女)の絵もあったりするらしい(笑)  

で、この物語はこのプリジオ王子(待ち焦がれて授かった王子様)の洗礼式から幕開けするんだけど、その洗礼式に仙女を呼ぶとか呼ばないとかいうことが起こってみたり、結局呼ばれていない仙女たちが大挙してお祝いにかけつけて贈り物を授ける・・・・とか、ほんとどこかで読んだことがあるような出来事が目白おしなんですよね~。  この物語では「仙女」となっている単語。  原本を読んでいないから確証はないんだけど、恐らくこの翻訳が今の時代だったらこれはやっぱり「妖精」と訳されるんじゃないかと思うんだけど、そこが敢えて「仙女」となっているのも、結構楽しい♪なぁ・・・と(笑)

  

で、その仙女たちの贈り物のカタログを眺めてみると、これが又様々な童話から持ち寄ったものであることが垣間見えて思わずクスっと笑っちゃうんですよね。  だってね、「使っても空にならない財布」、「一跨ぎで7リーグを走る七里靴」、「被ると誰にも見えなくなる隠れ帽子」、「どんな願いも叶えてくれる願懸け帽子」、「望みのところに連れて行ってくれる魔法のじゅうたん」、「魔法の剣」、etc. etc.  ありとあらゆるお伽噺に出てくる不思議な物体(しかもヨーロッパ製だけじゃないのが凄い! 笑)がゾックゾックと出てくるの。  でもね、これらの不思議な物体がガラクタ部屋に放置されるところがちょっと他の物語とは違うところなんだけど・・・・・。

で、そんな贈り物の中の1つに「りこうすぎるようになる」というのがあって、これがこの王子に災いをもたらすんですよね。  要は「おりこうさん」にありがちな「悪意はないんだけど嫌味っぽい態度」になってしまうわけです。  まあ見下し系とでも言いましょうか。  で、お父さんである王様からも疎まれちゃうんだけど、その決定打となったのが「火龍退治イベント」というのが又いつかどこかで聞いたことがあるようなお話になるわけです。  

で、お伽噺のお約束、3兄弟の長男がこのプレジオ王子なんだけど「お伽噺では3人目が成功すると相場が決まっているから自分は行かない。  3男に行ってもらえば合理的でしょ?」と言ってみたりするのでそこでまたクスリ ^o^ と笑っちゃったり・・・・

まあ、それから、あれやこれやとあって最後は大団円なんだけど、KiKi のお気に入りは終わり方なんですよね~。  あれやこれやの中でこのプレジオ王子は恋をして幸せな結婚をするんだけど、その新妻に頼まれるんですよ。

「あなたを私が愛しているのと同じくらい、みんながあなたを好きであってほしい。  あなたがあまりにもりこうすぎるのでみんなが恐れをなしてあなたを好きになれずにいるのだから、あの願懸け帽子で他の人たちよりりこうでなくなるように願をかけてみては?」       とね。

そうしたらこの王子の反応はね、

「君の頼みなら・・・・」と言いつつも心の中で思うんです。  「誰でも1つぐらいは妻に秘密があるものだ」と。  そして願懸け帽子にかけた願が

「他の人より、りこうでなく見えるようにしておくれ!」

というもの。  結果、プリジオは相変わらずおりこうだったんだけど、誰一人気がつかなくて人気者になるんです。  でも奥さんだけは何とな~くそれには気が付いていて

「あなたはやっぱり本当はおりこうのような気がしてよ!」

と言う  というお話。

何だかイギリス人の好きそうなエスプリの匂いがプンプンしていて、好きだなぁ、この終わり方(笑)  

  

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