坂の上の雲(一)  司馬遼太郎

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先週末、大河ドラマ「天地人」が最終回を迎えました。  今回の大河ドラマは結果として KiKi にとってはあまり面白いものではなかったけれど、子供時代からの習性(?)で何となく「大河ドラマ」だけは観ずにはいられない KiKi (苦笑)。  最終回が終わっての感想としては

「どうせだったら上杉景勝が主役のドラマの方が面白かったんじゃないだろうか?」

というものでした。  ま、この感想には多分に「北村一輝ファン」という要素も後押ししているような気がしますが・・・・。  色っぽいよね~、北村一輝。  特に目がいい!  

ま、それはさておき、最終回が終わったあとは来年の大河の予告編が流れました。  来年は「竜馬」だということは知っていたんだけど、竜馬役は福山雅治かぁ。  この配役も KiKi のイメージとはちょっと違うなぁ。  KiKi の妄想の中では「新撰組」の時の江川洋介の方がなんとなく竜馬のイメージにはピッタリくるんだけどなぁな~んていうことを考えていたら、来年の大河の紹介と並んで、もう一つのドラマの紹介がありました。  スペシャルドラマ「坂の上の雲」です。

まあ、2年ぐらい前(?)から本屋さんで、いきなり「坂の上の雲」が平積みされて、「ドラマ化決定!!」な~んていう POP が踊るようになって、ず~っと昔、読んだことがあるもののPOPと一緒に KiKi も踊らされて文庫本を揃えなおしたぐらいだから、ある種この放映を楽しみにしていた部分はあるんだけど、びっくりしたのは3年がかりで放映するのだとか!!  確かに長いお話だけど同じように長い(ひょっとするともっと長い?)「翔ぶが如く」は1年の大河ドラマだったのに凄いなぁ~と妙なところで感動してしまいました。  で、NHKのサイトで調べてみたところ、3年がかりで放映・・・・とは言うものの、今年の年末から始まって、毎年年末スペシャルという形で3年がかりで放映するらしい・・・・・。  なるほど、そういうことですか。  でも、この放送スケジュールだと正直なところ第2部(2010年秋)を放送する頃には第1部(2009年11月~12月)の内容を、第3部(2011年秋)を放送する頃には第1部と第2部の内容を忘れちゃいそうだ!

とは言うものの、司馬作品は数あれど、KiKi にとってこの「坂の上の雲」はベスト3にランクインする作品なだけに期待度は半端なものじゃありません。  日清・日露の両戦争を描かなくちゃいけないわけだし、それだけで映画になっちゃうような「旅順の攻防」やら「二百三高地の激戦」やら「日本海海戦」がどんな風に描かれるのか、とっても楽しみです。  そう言えばずいぶん前に「二百三高地」という映画を観たけれど、豪華キャストだったよなぁ。  今回の「坂の上の雲」も当代としては超豪華キャストなんだけど、あの映画に比べると何となく小粒感が否めませんが・・・・・(苦笑)

ま、いずれにしろ、そんなこんなで今週末には放映される第1回放送の予習を兼ねて、久々に読み返してみたくなっちゃいました。  たまたまこのLothlórien(Blog)では「司馬遼太郎カテゴリー」は作ってあるものの、肝心要のエントリーの方が現段階では皆無・・・・というのも前からちょっとだけ気になっていたことですし・・・・・(笑)

坂の上の雲 (一)
著:司馬遼太郎  文春文庫

9784167105761.jpg    (Amazon)

明治維新をとげ、近代国家の仲間入りをした日本は、息せき切って先進国に追いつこうとしていた。  この時期を生きた四国松山出身の三人の男達 - 日露戦争においてコサック騎兵を破った秋山好古、日本海海戦の参謀秋山真之兄弟と文学の世界に巨大な足跡を遺した正岡子規を中心に、昂揚の時代・明治の群像を描く長編小説全八冊    (文庫本裏表紙より転載)

この第一巻は「青春群像物語」っていう印象がものすご~く強いんですよね。  この物語の三役、秋山好古、秋山真之、そして正岡子規の3名が世に出る前(もしくは出たとしても未だ暗中模索時代)が丁寧に描かれています。  現代を生きる KiKi たちと価値観の大転換があった維新直後の明治期の彼らでは、当然環境も異なれば道徳観やら義務感やらも異なるわけだけど、それでも「青春というのは、ひまで、ときに死ぬほど退屈で、しかもエネルギッシュで、こまったことにそのエネルギーを智恵が支配していない。」という言葉に代表される若者特有の悶々とした感じ、「自分は何者であるのか?」「自分は何をなしとげるべき人間なのか?」を真摯に考える青年たちの姿(特に真之 & 子規)に、すがすがしさと羨ましさがないまぜになったような感慨を持ちます。  まあ、好古さんの場合は「考え込んでいる暇はない。  なりゆきの中で最善を尽くすのみ!」というタイプだったみたいですけどね・・・・・(笑)

  

この小説は世間で言うところの「司馬史観」の代表作とされています。  「司馬史観」がなにものなのか、KiKi は正確に理解できているのかどうかあまり自信はないのですが、ものすご~く端的に言ってしまうと、「日露戦争以前の日本を積極的に評価し、対照的に日露戦争から大東亜戦争までの約40年間の日本は暗黒時代のように扱っている」ような作風に対する命名だと理解しています。  

ず~っと昔、初めてこの「坂の上の雲」を読んだとき、KiKi はこの物語がちょっと意外だったんです。  KiKi が習った世界史や日本史の授業ではどちらかというと明治期に起こった「日清」「日露」の戦争は日本の帝国主義的な侵略戦争という位置づけの考え方の方が色濃かったと思うし、これに続く大東亜戦争に至ってはいわずもがな・・・・的な感覚が植えつけられていたような気がします。  これに伴って感覚的に感じていたのは「明治以降太平洋戦争終結までは日本の暗黒時代」というような空気を勝手に想像していたような部分があったように思うんですよね。  でもね、この物語を読むと司馬遼太郎はどうやらそうは思っていないらしい・・・・・。  そこが意外でもありショックでもありました。

で、司馬遼太郎という人に興味を持って、いろいろなインタビュー記事なんかを読んでいたら、詳細ははっきりと覚えていないんだけど、こんなこと(↓)を話していらっしゃる書き物に接したことがあるんです。        

終戦間近の頃、司馬さんは徴兵されていてどこかの部隊にいらしたんだけど、その時、東京方面から大八車を引いて普通の人々(兵隊ではない人々)が街道を逃げてくるのに行きあったのだそうです。  で、逃げる人たちでうずめられている街道を見て、「これでは戦車は南下できそうにない。  どうすればいいでしょうか?」と上官に質問したら、「人々をひき殺してでも前進せよ。」との命令を受けたのだそうです。  この時の経験が司馬さんに「日本民族とはこんなつまらない民族だったのか?」「日本人とはどんな民族なのか?」という疑問を持たせ、それが終生の作家活動のテーマになった・・・・のだとか。  で、司馬さんの思考としては「昭和の日本人はダメっぽい。  でも、明治は違うんじゃないか?」「世界史では血なまぐさい革命を経ているような政治の大転換期を無血開城という形で果たすことができた幕末は違うんじゃないか?」となっていき、「誇れる大和民族」を探すために歴史を遡っていく過程で幕末、維新、明治期の青年群像を描くという落ち着き先を得た・・・・ということだった。  記憶がはっきりしていないので、この通りかどうかまでは自信がないんだけど、その結果として KiKi が理解した司馬史観というヤツは上記のように「日露戦争までの~」という形で腑に落ちた・・・・そんな感じです。

で、だから・・・・というわけではないのでしょうけれど、「竜馬がゆく」も「翔ぶが如く」もこの「坂の上の雲」も本当に楽しめる作品になっている(言ってみれば「日本人に生まれてよかった」的な感覚を持ちつつ、歴史の鼓動を感じられる)と思うんですよね。

歴史っていうのは子供の頃は暗記する科目という印象が強く、そこに何だか割り切れないものを KiKi はず~っと感じていました。  受験のための歴史の勉強でひたすら暗記をしつつも心の中のどこかで「こうやって一所懸命覚えたってどうせ大人になったら忘れちゃうのに・・・・」とか、「こんなことを覚えて将来何の役に立つんだろう?」と悶々としていました。  1つ1つの事件の背景にどんなことがあったのかは聞いたり読んだりするとワクワクしたけれど、実際の受験勉強は「火(1)縄(78)く(9)すぶるフランス革命」な~んていうことだったし・・・・・。  

でね、当時も大学生時代も暗記科目となっている歴史の勉強に批判的だった KiKi だけど、最近はちょっと違うことを考えています。  それはね、今になって思うと「歴史を勉強する」ということは教科書では下手をすると一行ぐらいでしか書かれない事柄の裏にある、その時代の人びとの様々な動き、それを支える考え方や背景を理解しようとする営みなんだと思うんですよね。  だとすると、中学生や高校生程度の人生経験でそういうことを考えたり理解したりすることができるかといえば、「人間」にそこまでの興味を持つことは難しいんじゃないか・・・・と。  およそ自分のこと、せいぜいが自分の家族とか親しい友人ぐらいまでが何かを考えるうえでの許容範囲で、自分が経験もしていない時代のましてや自分とは異なる境遇に生きる為政者、軍人、一般庶民がどんな想いを抱えていたのかは想像するのさえ難しいのではないか・・・・・と。

じゃあ、その後大人になって、様々な人生経験を積んできた中で過去のある時代に生きる人々の様々な動き、それを支える考え方や背景を理解しようとする営みを自分がどの程度真剣に行ってきたか・・・・・といえばそれはそれで情けない限り・・・・・のような気がします。  受験が終わってしまった瞬間に KiKi にとって「歴史」は「歴史小説を楽しむ娯楽」以上でも以下でもなくなってしまった・・・・・そんな風に感じています。  そんな自分にガツンとショックを与えてくれた最初の歴史小説家が司馬遼太郎さんでした。  

司馬遼太郎さんの作品に出会ってからず~っと感じてきたことの1つとして、KiKi は自分の中に「愛国心なる思いが希薄である」という自覚があります。  30歳ぐらいの頃、なぜ、自分にはその感覚が希薄なのかを考えてみたことがあるんだけど、その時点で KiKi が出した結論めいたものは、KiKi は司馬遼太郎さんのように「日本民族とはこんなつまらない民族だったのか?」と切実に感じたこともなければ、逆に「日本民族と言うのはこんなにも素晴らしい民族だったのか?」と感じたこともなく、そもそも「日本人とはどんな民族なのか?」というような疑問を感じたことがなくてその結果として「誇れる大和民族」を探そうとしたことがないんですよね。  日本史上の著名な一個人に対して「英雄伝」的に「凄い人だなぁ」と思うことはあっても、名もない国民をもひっくるめての「民族」に対する意識じゃないんですよ。  そして、歴史的な出来事に対して常に傍観者というスタンスから離れたことがないんですよね。  

○○史観がどうのこうの・・・・ということは KiKi にとってはあまり意味を持ちません。  ただ歴史という長い鎖の中で、自分たちがどこに位置し、どこに向かおうとしているのかに興味を持つうえでは、歴史的な様々な事実(とされている事柄)に対し自分なりの立ち位置を考える癖をつけることは、実はかなり重要なことなのかもしれません。  まして、明治以降の歴史に関しては KiKi が子供の頃の学校教育ではかなりはしょった授業しか行われていませんでした。  だいたいにおいて戦国時代に時間をかけすぎるきらいがあり、3年生の3学期というのは受験体制の真っただ中で授業さえちゃんと行われないことが多い時期でもありました。  その時期に歴史の授業のカリキュラムでは「近代史」が扱われます。  つまり KiKi は自分が生きているこの時代のことを、自分の両親や祖父母が生き抜いてきた時代のことを、彼らの「思い出話」をベースにある程度わかったつもりにはなっているけれど、実はほとんど何も知らないのかもしれません。  

この本を手に取ったのを機会に、もう少し「歴史カテゴリー」エントリーにも力を注いでいきたいような気分がムラムラとわきあがってきました(笑)。

 

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2009年11月25日 09:29に書いたブログ記事です。

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