坂の上の雲(二) 司馬遼太郎

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NHKのHPによると、今年の年末スペシャルドラマ「坂の上の雲」の放映予定は以下のようになっているとのこと。

  • 第1回:少年の国
  • 第2回:青雲
  • 第3回:国家鳴動
  • 第4回:日清開戦
  • 第5回:留学生

で、来年の放映予定は・・・・・といえば

  • 第6回:日英同盟
  • 第7回:子規、逝く
  • 第8回:日露開戦
  • 第9回:広瀬、死す

ま、そんなわけで「日英同盟」までは何とか読み終わっておかなくちゃいけないと思い、せっせと読み進めております。

坂の上の雲 (二)
著:司馬遼太郎  文春文庫

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戦争が勃発した・・・・・。  世界を吹き荒れる帝国主義の嵐は、維新からわずか20数年の小国を根底からゆさぶり、日本は朝鮮をめぐって大国「清」と交戦状態に突入する。  陸軍少佐秋山好古は騎兵を率い、海軍少尉真之も洋上に出撃した。  一方正岡子規は胸を病みながらも近代短歌・俳句を確立しようと、旧弊な勢力との対決を決意する。  (文庫本裏表紙より転載)

 

この第二巻は日清戦争から始まり、日露戦争前々夜まで・・・・という感じです。  列強のそれぞれの思惑と明治日本に暮らす軍人・政治家・俳人の時代感覚の対比がとても面白いと感じました。  この物語の主人公3名(秋山好古、秋山真之、正岡子規)のそれぞれが何を考え、どんなことをしていたのかも楽しく読むことができましたが、それ以上に陸奥宗光だとか小村寿太郎、清国の李鴻章や西太后、さらには悲劇(?)の海将丁汝昌、ロシア帝国のアレクサンドル3世&ニコライ2世、ウィッテ、クロパトキン 等々のそれぞれがどんな立ち位置で何を考えていたのかを司馬さんの記述をベースに想像するのは、実に楽しい時間でした。

この「坂の上の雲」という物語、この巻ぐらいから主人公3名を追いつつも、日清日露の時代のありとあらゆる人たちの全体描写の小説(明治時代という時代を主人公とした小説)という色あいを濃くしていくと個人的には思っているのですが、それでも3人の若者の目線がまだまだ明確に描かれている巻だと思います。

個人的に一番面白かったのは、実は小村寿太郎関連のエピソードだったりするのですが、まあそれはさておき、主役3人に特化して考えてみると、秋山真之の米西戦争観戦のくだりに一番興味を持ちました。  ここでの観戦、そして双方の戦略分析という経験が後の日露戦争での戦略を考える上でとても重要だった・・・・というのが、時のいたずら・・・・とも言えるし、戦略家秋山真之の才能・・・・とも言えるんですねぇ~。  で、本来であれば「日清戦争」にもっと興味を持たなくちゃいけないように思うんだけど、実は KiKi は「日清戦争」について詳細に書かれている部分を読んでいる間中

「地図が欲しい~!!!!」

という渇望感に苛まれ、ある意味、腰を落ち着けて読むことができなかったんですよね~ ^^;  で、ほとんど最後に到達しかかった時、ようやくかなり詳細の地図が巻末にあることに気がついたんだけど、時すでに遅し・・・・という感じ。  

再読にもかかわらず、今回読み直してみて再認識したのが、秋山真之が留学した時代、米国海軍というのは世界レベルで見ると「2級の下」ぐらいだった・・・・・というのがへぇという感じでした。  日本人からしてみると「たったしはいで夜も眠れなくなっちゃった」ぐらいの黒船&ペリーの印象が強くて、世界最強・・・・・とまではいかなくても、もうちょっと優秀だったんじゃないかと思いたいところなんだけど、世界はやっぱり広かった・・・・・っていうことなんでしょうね。

日本史の教科書の中に出てきた「富国強兵」という言葉。  概念的には理解していたつもりでもその実態がどういうものであったのかについては、あまり真剣に考えたことがなかった KiKi なんだけどこの巻の以下の記述でちょっとショックを受けました。

ある日 「どうも、秋山君、日本租界はきたないですな。 (中略) 欧州各国の租界にくらべて、肩身のせまいことです。」  (中略)  「おっしゃるとおり、きたないですなぁ」  (中略)  日本租界は土地が低く、ひと雨ふりと水があちこちにたまり、雨季には湿地帯になる。  かといって下水道をつくるという智恵も金も日本人にはなかった。  南隣りに英国租界があり、北東はフランス租界に接しているが、そこでは石造や木造の大厦高楼がならび、道路はレンガ舗装され、街路樹が風にそよぎ、日本租界に比べると、一目で文明の落差がわかる。  (中略)

「貧なるかな、ですな」  窓外の光景を見ながら、これだけ貧乏な国の納税者が、欧米と似たりよったりの軍隊をもっていることに、あらためてあきれるような思いがした。  「日本とはつらい国ですな」  と、好古は伊集院のほうにむきなおって言った。

まあ、これは租界という一種特殊なエリアの話・・・・ではあるものの、現在の経済大国日本とは大きく異なり、経済及び生活インフラが必ずしも整っているとは言い難い状況であるにも関わらず、司馬さんの言葉を借りれば「欧米と似たりよったりの軍隊をもっていた」ということ、「日清戦争で眠れる獅子清国を打ち破った」ということ、そのことが示唆するある種の異常さ・・・・みたいなものにあらためて気がついたような思いです。  

翻って現代日本に生きる自分を省みた時、「希薄な愛国心」しか持ち合わせず、「利己主義」に走り、「贅沢病に冒されている」ことについて、もっと真剣な反省があって然るべきなのかもしれません。  歴史の鎖の中でこの時代に生れついたのは、もちろん KiKi の選択ではなかったけれども、「どんな苦難の後の今なのか」とか、「日本人とはなんぞや」とか、そういうある種の青臭いこと、でも実はとても大切な何かから無意識のうちに敢えて目をそらしながら生きているのかもしれない・・・・・。  そんな焦りにも似た思いを感じました。  う~ん、読み進めるのがちょっと辛いような気がしてきちゃったなぁ。  でも、たまにはこういう読書も必要なんだろうなぁ・・・・・。

もともと司馬遼太郎さんの作品を読み耽っていたのが学生時代だったから・・・・・ということもあって、学生時代の KiKi が答えを見いだせないまま放置しておいたある種の「哲学的な思索」・・・・みたいなものが少しずつ刺激されているような気がしています。  ひょっとするとヒアルロン酸よりこういう読書の方が若返り効果を期待できるのかも・・・・・(笑)

    

    

 

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2009年11月28日 12:02に書いたブログ記事です。

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