ベートーヴェン 交響曲第3番「英雄」 Op. 55

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KiKi の読書の趣味の中にいわゆる「英雄伝・騎士物語」というジャンルがあります。  そもそもこの「英雄伝」というジャンルに魅せられたきっかけは・・・・・と言えば、あの「プルターク英雄伝」があるわけですが、子供時代に初めてこの物語を読んだ時、KiKi は「英雄って男ばっかり。  女ってつまんない・・・・」と思ったものでした。  その後、様々な英雄物語を読むようになってからも「女」が登場するのは英雄の添え物的な扱いの「お姫様」ばかりで、レースひらひら衣装とかリボンとか、凡そ女の子らしいコスチュームを持っていなかった(持っていなかったばかりではなく、当時の KiKi は年中真黒に日焼けしていたので、多分まったく似合わなかっただろうと思う・・・・ ^^;)KiKi にとってそんな「お姫様」は憧れの対象にはなりえず、「生まれ変わったら絶対男になるんだ!  男になって英雄になるんだ!」と思っていました。

そうそう、子供時代の KiKi が両親と一緒に珍しく外食(しかもそば屋!)に行った時、色黒・短髪・パンツスタイルという KiKi を見たお店のおばちゃんが KiKi に声をかけた時「○○だよ、ボク」とボク呼ばわりされたことがありました。  普通だったら傷つくべきところだったのかもしれませんが、KiKi は何故かその時「ボクって呼ばれちゃった~♪」と超ご機嫌だったらしい・・・・・ ^^;    

ま、そんな KiKi ですから、ベートーヴェンの交響曲の中で、しかも標題付き音楽の中でこの「英雄」というのは一種特別な存在でした。  初めてこの曲をLPで聴いた時、レコードの針を落とすのももどかしく「♪ ウッキ ウッキ チャップ チャップ ランランラン ♪」という感じでした(笑)  で、何度も何度もまるでのだめちゃんの「プリごろ太 フランス語版」のように繰り返し繰り返し聴いていたものだからしまいには父親に「頼むからいい加減にしてくれ~!!!」と言われちゃったのが懐かしい思い出です。  ま、てなわけで、今日の KiKi の1曲はこちらです。

ベートーヴェン 交響曲第3番「英雄」 Op. 55
ARCHIV 439 900-2 演奏:ジョン・エリオット・ガーディナー(指揮) & オルケストル・レボリュショネル・エ・ロマンティク

8d58d0b28fa05d6536e56110_L__SL500_AA240_.jpg  (Amazon)

 

このCDはね、いわゆる古楽器演奏ブームの頃、「古楽器演奏っていうのはどんなもんじゃ?」と思って購入したベトヴェン様の交響曲全集です。  当時、購入したいくつかの「古楽器演奏」のCDはその大半を今では手放しちゃったんだけど、これだけは大事に大事にCD棚の奥の奥の奥の方にとってあったのを久々に取り出してみました。  

初めてこの全集を聴いた時には「おお!  これがベートーヴェン様の耳に響いていたこの大傑作群の音なのか!!」とものすご~い感動を覚えました。  ベートーヴェンの音楽に色濃く反映している形式美・・・的なものと、ガーディナーのテンポ感、各楽器の音の絡み合いにより描かれる細密画みたいな緻密性ががっちりと握手している。  そんな風に感じたんですよね。  ただね、何度も何度も聴いているうちに(なんせお値段も高いCDなので、大事に大事に聴こうとあまりに聴きすぎた?)、当初の感動は薄れ、そのうちに「すご~く安心して聴ける演奏だし、ある意味で音楽がすっきりしている感じがして曲の構成もはっきりわかって面白いんだけど、何かが足りない・・・・・」と思うようになっちゃったんですよね。  で、いつの間にか KiKi にとってこのCDはベートーヴェンの交響曲をBGMにして何かをする時の音楽・・・・・と化していったのです。

ま、でも、いつもいつもブロムシュテットの演奏ばかりじゃちょっとつまらないので、今日は久々の「英雄」だし、こちらを聴いてみようと思ったという次第です。

 

久々に聴いてみると、やっぱりわかりやすい演奏で決して嫌いじゃないなぁ。  まあ、少なくともフルトヴェングラーのどこか聴く前に「覚悟」が必要な演奏よりは、気楽に、そしてハミングでもしながら曲を楽しみつつ聴ける演奏だと思います。  楽器の音1つ1つも明確に聴きとることができるし、ものすご~く上手い演奏だとも思います。  でもまあ、やっぱり聴き終わって何が残ったか・・・・と言われると「結構なものを聴かせていただきました・・・・」で終わっちゃうっていうのも事実かなぁ・・・・。

KiKi はね、ベートーヴェンの交響曲の分岐点はこの「英雄」にあると思っていて、表現のスケールが壮大化した音楽だと思うし、ある意味でこの曲の登場によって交響曲というジャンルの音楽がサロンなどで特権階級に向かって演奏される音楽から、コンサート会場で大衆に向かって演奏される音楽に変わった画期的な曲だと思うんですよね。  

この背景には当然のことながらあのフランスの「革命」があったし、ベートーヴェン個人として見てみてもあの「ハイリゲンシュタットの遺書」があるわけです。  自分の音楽家としての存在意義が問われる耳の疾患に苦しみ、アイデンティテイの危機に苦悶し、それと格闘し、現実を受容するしかないことを悟り、耳の疾患を隠そう隠そうとしていた過去と決別する決心をし、新たなアイデンティティを構築する必要があった。  それが彼の作曲家としての精神の復活で、その非常に個人的な事情とフランス革命の精神に類似性を見出したんだと思うんです。  彼は自分の身に降りかかった運命を乗り越える決意をして、その決意が苦難を乗り越えて初めて到達できる境地とは何ぞや?という方向に向けられ、結果的に「この世の人々全員」を聴衆とした音楽を創るという姿勢に向けられていったのではないかと思うんですよね。

因みにこの曲、急 - 緩 - 急 - 急 の4楽章構成なんだけど、かのわが敬愛するワーグナー先生曰く、「活動」「悲劇」「寂境」「愛」と名づけられたのだとか。  で、この「愛のテーマ」はベートーヴェン先生のお気に入りだったようで、この「英雄」のみならず、「バレエ音楽 プロメテウスの創造物 Op. 43」にも顔を出せば、「ピアノ曲 エロイカ変奏曲 Op. 35」にも顔を出しています。  

ま、ワーグナー先生に敬意を表して KiKi も単語(?)でそれぞれの楽章を表現してみると・・・・・

第1楽章:不屈の精神  第2楽章:葬送行進曲  第3楽章:喜びの幻想  第4楽章:精神の解放

っていう感じかな。  不屈の精神を高らかに歌いあげておいて、葬送行進曲って何でよ?と思わないでもないんですけどね(笑)  この曲を聴くとベートーヴェンって本当に音楽を彼が理想とする「聖なるもの」に到達するための手段だと思って曲を作り続けた作曲家だったんだなぁとあらためて思うのです。

    

 

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この全集、確かレコ藝主催のアカデミー大賞をとったディスクでしたよね。その一年後に、行きつけだったCD店のワゴンセールで、新譜一枚分の値段で売っていた輸入盤を購入しました。

私はフルトヴェングラー、クレンペラーといったベートーヴェン演奏を愛好する者ですが、その一方でガーディナーやジンマン等の演奏を、気楽な気持ちで楽しんでいます。それだけ幅広い解釈にも対応できる懐の深い音楽なのかなぁ、と考えているのですが…。

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2009年12月13日 11:59に書いたブログ記事です。

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