マーラー 交響曲第8番「千人の交響曲」

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ついこの間、KiKi は岩波少年文庫で「アラビアン・ナイト(千一夜物語)」を読みました。  この物語はとある我儘&残酷なサルタンにとあるお姫様が千と一夜の寝物語を語って聞かせたお話・・・・・かと思っていたら、実は実際には千と一夜ではなく、「ものすご~くたくさん」という意味で「千一夜」という数が使われているのだそうです。  同じように「千」という数字が出てくるのがこの曲です。  題して「千人の交響曲」!!  でもまあ、アラビアン・ナイトの方の「千一」も「ものすごくたくさん」という意味だったし、こちらもご同様かしら・・・・・と思っていたらさにあらず。  何でもこの曲の初演(1910年 指揮:マーラー本人 @ミュンヘン)では250名ずつの混声合唱2組、350名の児童合唱、8名のソロ歌手、146名のオーケストラ という実際に千人を超すオケで演奏したのだとか・・・・・。  で、興行主が広告キャッチ・コピーに使ったのが「千人の交響曲」という名前で、以降、その名が定着しちゃっているらしい・・・・・(笑)

でもね、じゃあ、スコア上に「何人以上で演奏しなさい」という指示があるのかと言えばそれは書いてないのだそうです。  でも作曲者本人が演奏したときがその規模だったということは暗にそれぐらいの人数(↑)で演奏してほしいということなのかなぁ。  まあ、KiKi は都響の演奏会でマーラー8番の生を何回かは聴いているんだけど、舞台に何人乗っかっているのかを数えたことはないし、下手をすると必ずしもすべての奏者が舞台の上にいるとは限らないわけだし・・・・・。  

ま、何はともあれ、千秋君がシュトレーゼマンのCDに感動し、派手好きの龍 & 清良 コンビが R☆S オケで演奏したがった曲を本日は聴いてみたいと思います。

マーラー 交響曲第8番「千人の交響曲」
Brilliant 92005 演奏:インバル指揮 & フランクフルト放送響 北ドイツ放送合唱団 録音:1986年10月

51aQV1ZohRL__SL500_AA240_.jpg    (Amazon)

この曲はねぇ、KiKi にとっては「交響曲」というよりは「カンタータ」っていう感じがするんですよね~。  全体は2部に分かれていて、ハイドン・パパががっちりと骨組みを作った交響曲の「楽章」という概念をまったく無視しちゃってるの!(笑)  で、ベートーヴェンさんが交響曲に声楽を持ちこんだのに追随して(?)か、マーラーさんはこの曲の前にも2番から4番の交響曲で声楽を用いているんだけど、それらの交響曲とこの第8番は明らかに違うんですよ。  何て言ったらいいんだろう。  2番から4番の交響曲の中の声楽はオケが主で声楽が従、登場するのも後半になってからだったのが、この第8番ではいきなり二組の合唱団が高らかに歌い出すんです。  

私は、今しがた8番を完成させたところです。  それは、私が今まで書いた最大の作品であるばかりでなく、内容・形式ともに類のないものなので、言葉では言い表せません。  宇宙が震え、鳴り響くさまを想像してください。  それはもはや人間の声ではなく、運行する惑星や太陽のそれなのです・・・・・

マーラーさんご本人の言葉です。  確かに・・・・・。  これは内容・形式ともに類のないものですよねぇ。  でもね、これが交響曲カテゴリーにいるのにはそれなりの理由があってどうやら作曲当初のスケッチとしては4楽章構成の交響曲になる予定だったらしいのです。  諸説あるらしいんだけど、有名なところで2つ。

(スケッチ その1)
    第1楽章 讃歌『あらわれたまえ、創造主 聖霊よ』
    第2楽章 『スケルツォ』
    第3楽章 『アダージョ・カリタス』
    第4楽章 讃歌『エロスの誕生』

(スケッチ その2)
    第1楽章 『あらわれたまえ、創造主 聖霊よ』
    第2楽章 『カリタス』
    第3楽章 『子供とのクリスマス遊戯』
    第4楽章 讃歌『エロスによる創造』

 

まあ、本当のところがどうだったのかはよくわからないけれど、結局は上記スケッチの中の第2~第4楽章がゲーテのテキストに基づく、長大な第2部となった・・・・・ということのようです。  現在のCDなんかのカタログでは2部構成の楽曲として説明がなされ、だいたい以下のような説明がなされているようです。

第1部: 賛歌「来たれ、創造主なる聖霊よ」
第2部: 「<ファウスト>からの終幕の場」

タイトルからして歴然としているけれど、第1部はどっかのえら~いお坊さんがラテン語で書いたありがた~い賛歌をベースにしていて、第2部はゲーテの「ファウスト」の第二部のうち「隠者たち」から「神秘の合唱」までをほぼ丸ごと(多少のカットやら入れ替えはあるらしい)テキストとして用いているのだそうです。  まあ、第1部は宗教的な世界、第2部はドロドロした人間現世っていう対比になっているんでしょうね。  第1部と第2部では正直なところだいぶ感じが異なる音楽なんですよね~。

KiKi はね、この曲、決して嫌いじゃないんだけど、ものすご~く正直に言うと、何度聴いてもこの曲の第1部と第2部の繋がりがよく理解できないんですよね~。  この二つのテキストが一つの作品のなかで、どのようにして有機的なつながりを持っているのかがさっぱりわからないのです。  語学の問題なのかなぁと思った時期もあるんだけど、訳詞をいくら読んでもやっぱりわからない。  文学的な素養の浅さなのかなぁとも思うんだけど、一応文学部の出身だしぃ・・・・・・ ^^;

第1部で神を賛美し、第2部で人間の諸々の罪悪からの救済を歌っている・・・・というのはわからないじゃないんだけど、何となくしっくりこないというか、要するにわからんというか・・・・・。  やっぱり信仰心というベースがないせいなのかしらん????

 

因みにこのエントリーでご紹介したバーンスタイン盤のライナーノーツを読むと、マーラーがこの曲の初演のリハーサル中にマーラーが妻アルマにあてた手紙について触れられています。

ソクラテスとの対話の中で、プラトンは彼の哲学を述べています。  これは、今日まで何世紀も影響を及ぼしてきた「プラトニック・ラブ」です。  その本質は、すべての愛は発生的、創造的であり、そこにこの「エロス」の発散である肉体的・精神的発生があるというゲーテの思想です。  あなたは象徴的に表されているファウストの終幕にそれを感ずるでしょう・・・・・。

う~ん、「すべての愛が発生的&創造的」 ということと 「来たれ、創造主なる聖霊よ」 ということで「創造繋がり」っていうことなのかなぁ・・・・・。  音楽的にもスコアを見れば何かわかることがあるのかもしれないけれど、無理やり説明しようとすれば、第1部がソナタ形式の第1楽章っぽく、第2部がアダージョ - スケルツォ - フィナーレ チック(あくまでもチック)と言えなくもないかなぁ・・・・ぐらいの感想しか持てないしなぁ・・・・・。 

ま、それはさておき、もうちょっとだけ音楽に関して触れておくと、第1部はヴェルディのレクイエムの向こうをはったような音楽です。  すごい迫力の壮大な宗教曲っていう感じがします。  (だから、カンタータね♪)  で、第2部は、「ファウスト」を下敷きにしたエロスの誕生賛歌ということで、どちらかというとオペラ風。    

第1部の聴きどころ(?)は独唱と合唱の対比だと思います。  独唱が人間で合唱が全宇宙を支配している神っていう雰囲気があると思うんですよね。  第2部では独唱者たちがあたかもオペラの登場人物みたいにそれぞれの役割を演じるんですよ。  主役は当然テノール(≒ ファウスト)ね。    

ま、全体的に無理やりまとめちゃうと、ところどころにマーラ特有の弦で奏でられる甘美な音楽が顔を見せ、高みから聞えてくる歌声なんかがものすご~く高貴な精神を表していて、とは言うもののところどころにやっぱりど~しようもない俗っぽさが顔を見せ、(← KiKi のマーラー評には常についてまわる表現だけど ^^;)よくわからないうちに終曲に向かってぐいぐい上り詰めて行く圧倒的な高揚感に陶酔させられちゃう音楽っていう感じでしょうか?

この作品は人民への贈り物であり、これまでの私の交響曲はすべてこの曲への前奏曲にすぎなかった。  これまでの作品はいずれも主観的な悲劇を扱っていたが、この交響曲は偉大な歓喜と栄光をたたえたものである。 (by マーラー)

  
せっかくの贈り物なのに何度聴いても消化不良の KiKi なのです・・・・・。

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