ジークフリート伝説 (ワーグナー「指環」の源流) 石川栄作

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先日もこのエントリー(↓)でお話したとおり、今年の年初はワーグナーのリングで幕開けした KiKi。  そもそも KiKi が長らくネット落ちしていたにも関わらず、このLothlórien_Blog を再開しよう、しかもこれまでバラバラといくつかの Blog で書き分けてきたものを統合して1つの Blog にまとめようと考えたいきさつは・・・・と言えば、もちろんいろいろな理由があるわけだけど、やっぱりその軸にあるのは文学と音楽を統合して扱えるサイトにしたい・・・・・という想いがあったからということが挙げられます。  となるとやっぱり触れないわけにはいかないのが「ジークフリート伝説」と「リング」の関係というトピックです。  ま、てなわけで今年は年初から「ジークフリートづくし」で手にした書物も今のところこ~んな感じです。

ニーベルンゲンの宝 著:G. シャンク 訳:相良守峯  岩波少年文庫(復刻版)
ニーベルンゲンの歌 (前編) (後編) 著:不明 訳:相良守峯  岩波文庫
「ニーベルンゲンの歌」を読む 著:石川栄作  講談社学術文庫
ジークフリート伝説 著:石川栄作  講談社学術文庫
ニーベルンゲンからリルケまで ゲルマン神話   吉村貞司  読売新聞社

今日はその中から「ジークフリート伝説」をとりあげたいと思います。  

ジークフリート伝説
著:石川栄作  講談社学術文庫

612DZ97J00L__SL500_AA240_.jpg  (Amazon)

ワーグナーの楽劇「ニーベルングの指環」は、多くの音楽ファンの心を烈しく揺さぶる一大傑作である。  その主人公ジークフリートのルーツはどこにあるのか。  古代ゲルマンの「竜退治」「財宝獲得」の英雄伝説や北欧の伝承「歌謡エッダ」「サガ」などの系譜を辿り、また、主人公の人間像と楽劇の魅力を徹底的に読み解き、ドイツ文化の特質とその精神の核心に鋭く迫る。
       (文庫本裏表紙より転載)

KiKi の又のHNはご存知の方はご存知だと思うんだけど、Brunnhilde を名乗っています。  この Brunnhilde は決して「ニーベルンゲンの歌」のプリュンヒルトから取ったものではなく、ワーグナーのリングから取ったものです。  パソコン通信時代には別のHNを使っていたんだけど、インターネット時代に入った際に Brunnhilde に改名しました。  どうしてこんな長ったらしい、ついでにあまりメジャーとは言えないHNにしたか・・・・と言うと、一応 KiKi は♀なので「こわ~いインターネットの世界」を生き抜くためのある種の防衛反応(?)が働いて、あまり可愛らしい感じのするHNは避けたいなぁ・・・・な~んていうことを考えてこの名前を使い始めました。  

そうしたらこのHNの効力(?)たるやすごいものがあって、「ワーグナーのリング」を知らなくて、「ニーベルンゲンの歌」は知っているというような方から、「そんなに怪力なの?」とか「意外と嫉妬深いの?」みたいな質問をいただいたことがあったりなんかして・・・・・(苦笑)  ま、過去に KiKi が公開していたHPのプロフィールでは「趣味」のところに定番の「音楽鑑賞」「読書」以外に「腕相撲」な~んていうことを書いていたせいもあると思うんだけど・・・・^^;  (趣味:腕相撲 は決して嘘ではなくて、20代の頃は仲間内で腕相撲をよくやっていました)    

ま、この逸話でもわかるように、ジークフリート伝説・・・・・と一口に言っても登場人物だけは同じでも、少しずつお話が違ったり、人の名前もちょっとだけ違ったり、有名なジークフリートの暗殺の場面がベッドの上だったり森の中だったりと色々ヴァリエーション(?)があるんですよね~。  KiKi が最初に出会った「ジークフリートの物語」は恐らく岩波少年文庫の「ニーベルンゲンの宝」だったんじゃないかと思うんだけど、「ニーベルンゲンの歌」はともかくとしてその後色々な本を読んでいく中で「ジークフリートの物語」が出てくるたびに「あれ?  これは KiKi の知っているジークフリートの物語と少し違う・・・・・??」と感じることも多かったし、ましてやもっとず~っと後に接することになった「ワーグナーのリング」では人の役割自体が大幅に変わっちゃっていたりするんですよね~。  で、KiKi の老後の暇つぶしテーマの1つにこの「ニーベルンゲン伝説の変遷をたどってみる」というものがあったりするわけです。  

で、この KiKi の老後の暇つぶしのテーマにもっとず~っと真剣に取り組んでいらっしゃるらしいのがこの本の著者、石川栄作徳島大学教授です。  ドイツ語ができない KiKi に変わって(?)、原典を色々と研究された成果をこの本ともう1冊の「『ニーベルンゲンの歌』を読む(講談社学術文庫)」にまとめられていらっしゃいます。  ま、この2冊以外にこの石川先生は「ニーベルンゲンの歌 構成と内容(郁文堂)」という本も出していらっしゃるようなのですが、こちらはちょっとお高め・・・・なので KiKi は未だに入手できていないし、読んでもいません。  せっかくだから学術文庫でこちらも出していただきたいものです>講談社さん。  

で、この本なんですけど、簡単に言ってしまうと「ニーベルンゲン伝説を、その源流からワーグナーに至るまでをサラリと流してみました」っていう感じでしょうか。  そして、その大きな流れの中でその支流とも言うべき北欧のサガに関しても触れられているのですが、そこはかなりあっさり感があるように感じました。  どちらかというと16世紀の民衆本だとか戯曲に流れていった路線に関しての記述の方が詳しいように思います。    

 

KiKi 的に結構ツボだったのが、ニーベルンゲン伝説の原型が「ブリュンヒルト伝説」(6世紀頃)と「ブルグント伝説」(5世紀頃)にあり、その原型が口頭で9世紀頃に北欧に伝えられ、エッダ・サガに書き遺された(その代表作が「ヴォルスンガ・サガ」)というくだり。  そしてこれとは別の流れとしてドイツで新たな展開もあってこちらが「ドイツ中世騎士物語_ジークフリート」に繋がりその代表作が「ニーベルンゲンの歌」になるということ。  なるほどね~、物語が語り継がれていくっていうことはこういうことなんだなぁと感無量です。

そうそう、ちょっと本題から外れるんだけど、この本を読んでいる中で「ミンネ」という言葉についても改めて考えさせられました。  

ミンネ(Minne)

中世ヨーロッパの騎士道精神に基づく恋愛である。  ドイツ以外の国々では、宮廷愛、宮廷風恋愛(仏:Amour courtois, 英:Courtly love)と呼ばれる。

騎士は身分の高い女性(既婚の場合も多い)を崇拝し、奉仕することを誇りとした。これをミンネを捧げるといい、またその女性をミンネともいった。  女性のために決闘を行うこともあった。  ドイツ宮廷で騎士の恋愛歌;ミンネザング(Minnesang)を歌った吟遊詩人はミンネゼンガー」(Minnesänger)と呼ばれた。  ミンネゼンガーは中世フランス>のトゥルバドゥールやトゥルヴェールに相当する。
   (Wikipediaより転載)

 

ドイツ中世騎士文学に流れていった「ジークフリート」は「高きミンネ」によってクリエムヒルトに求婚し、グンテルの手助けをするのも「高きミンネを求めての試練」という位置づけになる・・・・とのこと。  なるほど、なるほど  chirol_memo1.gif  いえね、KiKi はこのエピソードって「情けないグンテル vs. 頼れる男ジークフリート」みたいな捉え方をしていた部分もあったんだけど、実は中世騎士文学の伝統にのっとっていた・・・・っていうことだったんですねぇ。

う~ん、この本は実は再読だったんだけど、情けないぐらい KiKi の頭の中にはここに書かれていたことが残っていなくて(^^;)、初めて読むのと同じくらい「へぇ」の連発になってしまったのが情けないやら楽しいやら・・・・・。  老後の暇つぶしのテーマの1つにしては思っていた以上に奥深そうです・・・・。

追記: このエントリーは2010年1月7日、四季さんのブログの関連記事に TB させていただきました。

 

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コメント(2)

KiKiさん、こんにちは。
岩波少年文庫に「ニーベルンゲンの宝」なんて本があったんですか!
それは読んでみたかった… 今はきっともう絶版なんでしょうけど。
と思ったら、アマゾンではデータすら出てきません。(涙)
私が後生大事にしてる「勇士ルスランとリュドミーラ姫」も岩波少年文庫なんですが
これもアマゾンでは出てこないんですよね。(元々父のなので、すごーく古い本です)
本の裏に載ってる当時の岩波少年文庫の目録を見てみると
今は読めないような本もいっぱいあって、改めてびっくり。
色々と復刊して欲しくて堪らなくなっちゃいます。良さそうな本がいっぱい!

KiKiさんは、ワーグナーから入られたんですね。
私は神話とか口承文学の方からなんですよ。
大学の時にイギリスの中世騎士文学を専門にやってたこともあって
その流れも入ってるんですが。
全く… というほどではないけど、違うところから入ってきて
その中で出会うのって、なんだか面白いですね。
あ、でもきちんと体系的に捉えてじっくり考えてらっしゃるKiKiさんに比べて
私はほんと楽しんでるだけなのですが~。(^^ゞ
これからのエントリも楽しみに拝見させて頂きますね。^^

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