あしながおじさん ジーン・ウェブスター

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以前に NHK BS で放映されているアニメ番組に感化(?)され、「少女ポリアンナ」と「ポリアンナの青春」を読んだけれど、今回もその第2段(?)  たまたま留守録でなぜか録画されていたアニメ番組「わたしのあしながおじさん」を観たことにより、急遽、懐かしさがこみあげてきて手にとって読み返してみてしまった本をご紹介したいと思います。

あしながおじさん
著:ジーン・ウェブスター 訳:谷口由美子  岩波少年文庫

1140970.gif  (Amazon)

孤児のジュディは、名前を名のらないある人物の援助で大学に入ります。  そのひとを「あしながおじさん」と名づけたジュディは、楽しい生活ぶりをせっせと手紙に書いて報告します。  ユーモアとあたたかい愛が全編にあふれる永遠の名作。  (文庫本裏表紙より転載)

いや~、ホント久しぶりでした。  小学生の頃、少なくとも5回は読んだことがあるような気がする「あしながおじさん。」  訳者の谷口由美子さんがあとがきで「手紙の書き方はすべてこの本で教わった」と仰っているとおり、この本はジュディのあしながおじさん宛ての手紙のみ(冒頭数ページを除く)で構成されています。

KiKi は谷口さんとは異なり、この本から手紙の書き方を教わったという実感はないんだけど(手紙を書くのは全然苦じゃなかったし、どちらかというとスラスラと書けちゃった方なので)、でも彼女の手紙には子供時代も、そしてストーリーを知っている今、再読している間も、ある種翻弄され、ある種魅了されながら読み進めていく・・・・そんな物語だと思います。

とにかくジュディの手紙が面白いんですよ。  文体がコロコロ変わるのも面白いし、トピックもコロコロ変わる。  それにね、女の子の手紙だなぁと思わずにはいられないのは、こんなところ(↓)です。

ジョン・スミスと呼んでほしいというような人に、最大の敬意をはらうといっても、それはなかなかむずかしい注文です。  なぜ、もう少し個性のある名前を選ばなかったんですか?  これじゃまるで「馬のつなぎ杭様」とか、「物干し竿様」に書いているみたいじゃありませんか。  (最初の手紙 初年度9月24日の手紙)

自分を援助してくれている、但し自分のことは詮索されたくないという篤志家の方を相手に最初の手紙でその名前についてとやかく言う(笑)  挙句の果てにどこから出てきたのか「ジョン・スミス」≒「馬のつなぎ杭」 or 「物干し竿」という発想!(笑)  正直なところ KiKi も一応は♀だけど、この発想の転換(と呼べるものなんだろうか?)には唖然としてしまいます。  でもね、もちろん不快感はないんですよね~。

そうかと思うと、こんな手紙もあります。

今日、あたしが習ったことをちょっと聞いてください。  「正角錐台の側面積は、両底面の周囲の和と台形の高さの積の二分の一に等しい。」  うそみたいですけど、ほんとうです ― あたし、ちゃんと証明できますよ!  おじさんには、あたしがどんな服を持っているか、お話していませんよね。  ドレスが6着あって、すべて新しくて、きれいで、あたしのために買ったものです - 誰か、年上の人からのおさがりなんかじゃありません。  おじさんは、おそらくおわかりにならないでしょうね、これが、孤児の人生にとって、まさに画期的なことだということを。  (初年度11月15日の手紙)

数学の話をしたいたかと思うと、いきなりドレスの話!!  しかも、「証明できますよ!」と言うからにはその話が続くのかと思いきや、言いきっておしまい(笑)  恐らく、大人、そして特に男性がこの手紙をもらったら、「数学の証明」から思考回路が離れ切っていない状態でいきなり「ドレス」だから、肩透かし・・・・というか、ガクっとくるというか、そうなっちゃうだろうなぁ(笑)  これはどう考えても女の子の書く文章の特徴のような気がすると可笑しくて、可笑しくて(笑)

これがもっと進むとこんなことまでジュディは書き始めます。

おじさん、シフォンだの、ベネチア風ポイントレースだの、手ししゅうだの、アイルランド風鉤針編みだのということばが、男の人たちにとって、何の意味もないつまらにことばだと思うと、男の人って、なんてうるおいのない人生を送っているのだろう、とつくづく思ってしまいます。  ところが、女の人は、たとえ、興味を持っていることが、たとえば赤ちゃん、細菌、夫、詩、召使い、平行四辺形、庭、プラトン、ブリッジ、とにかく何にしろ ― 基本的に、そして常に服装には興味を持っているものなんです。  (3年目の12月7日の手紙)  

KiKi は正直なところどちらかというとファッションには疎い方だし、服装への興味は♀の割にはかなり薄い方だと思うので、必ずしもジュディのこの意見には手放しで賛同できなかったりもするんだけど、KiKi がジュディの女の子らしさを感じるのは、そこよりも、興味を持っていることの羅列の仕方です。  何で赤ちゃんの次が細菌で、召使いの次が平行四辺形で庭の次がプラトンなんだ????  この発想の回転の仕方はまさに女性的だと思うんですよね~(笑)

 

じゃあ、この物語を読んでいる間、ひたすら唖然としているのか?と問われれば、それがそうじゃないところがまたこの物語の凄いところだと思うんですよ。  ある面、この物語はシンデレラ・ストーリーにカテゴライズされがちな物語だと思うんですよ。  孤児だった女の子を正体を現さずに庇護してくれる素敵なおじさんがいて、そのおじさんと最終的には結ばれてめでたし、めでたし・・・・・みたいな。  でも、実は世によく言うシンデレラ・コンプレックスの女の子とジュディが根本的に違うのは、彼女には自分の人生を切り開いていく覚悟、度胸のようなものが備わっているところだと思うんですよね。  それでいて、女性らしい細やかな愛情も垣間見えます。

人はだれでも、あとで振りかえったときに幸せだったと思える子供時代を過ごす権利がある、とあたしは思うんです。

人の人格が求められるのは、人生で大きな問題がおこったときなんかじゃありません。  だれだって、危機に直面したら、ぱっと立ち上がり、勇気を持って、悲劇におしつぶされそうになっても乗り越えようとします。  でも、日々のくだらない、つまらない出来事に、笑いをもってあたること - それにこそ、精神力が必要だと思うんです。  そんな精神力を持った人になりたいと、あたしは考えています。  人生は、まさにゲームであり、それを巧みに、きちんとやらなくてはならないのです。  もし、ゲームに負けたら、首をすくめて、笑い飛ばしましょう。  勝っても同じようにします。

この世の中に、自分の居場所がちゃんとあり、お情けで生かしてもらっていたのではなかったのだと思えるようになりました。

あたしは、ほかの女の子たちとはちがうんです。  あの子たちは、人からなんの気負いもなくすなおに、贈り物をもらえます。  (中略)  あたしは必要以上のお金をいただくわけにはいかないんです。  いつかお返ししたいと思っているからです。  (中略)  そりゃ、きれいな帽子なんかはほしいですよ。  でも、自分の将来を担保にして、借金をしてはいけないと思うんです。

おじさんのひよっこが自分の力でえさをついばみたがっているからといって、心配しないでください。  すごく元気のある、ぴりっと小粒のメンドリになろうとしているところなんです - とても意志の強い鳴き声と、美しいふさふさした羽のあるメンドリです。

スミスさん、あなたは男性というわからずやさんの性に属している方です。  この男性を味方につける方法には、ふたつあります。  なだめすかすか、さもなくば、いうことをきかないことです。  あたしは自分の望みを通そうとして、男の人にとりいるのを軽蔑しますから、いうことをきかないほうをとるしかありません。

あたしはただ一人の人間 - それもただの女の子です。  それなのに、ぽうっと有頂天になりそうなすてきなものばかりくださって、すっかりうわついた気持ちにさせてしまったら、今後こつこつ勉強して、キャリアを磨くなんて、できそうもないじゃありませんか。

あたしはこれから、中身の濃い人生を過ごそうと思うんです。  一瞬、一瞬を楽しみ、自分が楽しんでいる時、自分が楽しんでいるのが自分にわかるようにしたいんです。  大概の人たちは、生きているというより、競争しているだけです。  地平線の彼方にある、ゴールをめざして、必死で近づこうとしています。  そこへ早く行こうとするあまり、息切れして、ハアハアいっているので、通りがかりの、まわりの美しい、おだやかな景色を見る余裕がありません。  そして、はっとわれにかえったときはもう、すっかり年をとって、くたびれきっていて、ゴールに着こうが着くまいが、どうでもよくなっているというわけです。  

あたしは、自分の自由意思と、自分で何かをやりとげる力をぜったいに信じています - それが、山を動かす信念になるんです。

なんとまあ、きっぱりとした性格だこと!  でも子供時代の KiKi がこの物語を好きだったのは、彼女のこの強い意志と、洞察力、そして逞しさに魅力を感じたから・・・・・だったような気がするんですよね~。  いずれにしろ、久々の「あしながおじさん」でしたが、今の KiKi が読んでも十分読み応えのある楽しい物語でした。

  

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