リスト 超絶技巧練習曲

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連日のショパンの音楽付けの KiKi の耳を休ませるために、「のだめカンタービレに出てくる音楽を聴いてみる」企画の次の曲に進んでみたいと思いました。  でね、チェックしてみたんですよ。  そしたらねぇ・・・・・うへぇ!  リストかよ!!  しかも超絶技巧練習曲かよぉ!!!  ヘビーですねぇ。  分厚いレアのビフテキ並みのコッテリ感ですねぇ・・・・・。  で、その次は・・・・と言えばドビュッシーの「喜びの島」。  う~ん、今日の気分は「喜びの島」って言う感じじゃないんですよね~。  今日はLothlórien_山小舎へ向かう日なので、「喜びの山」っていう曲ならいいんだけど・・・・。  で、その次は・・・・・と言えばブラームスの「パガニーニ・ヴァリエーション」とこれまた重量級。  ま、こうなったら素直に順番に聴いていこうと心を決めました。  ま、てなわけで本日の KiKi の1曲はこちらです。

リスト 超絶技巧練習曲
PHILIPS 416 458-2 演奏:C. アラウ(pf) 録音:1974-1976

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KiKi がこの曲の存在を知ったのは中学3年生の時でした。  その年のピアノ発表会で KiKi は何としてもリストの「ハンガリアン狂詩曲 第6番」を弾かせていただきたくて、先生にそのお願いをしていました。  すると先生は「それは構わないけれど、発表会当日はもうだいぶ寒くなっているから、いきなりハンガリアン・ラプソディを弾くんじゃなくて、指慣らしに何か持ってこないとねぇ・・・・」と仰いました。  「まあ、リストの前だからやっぱりリストかしら?」と先生はご自分の楽譜棚からリストの楽譜を何種類か引っ張り出していらっしゃいました。  で、最後に残ったのがこの楽譜(↓)でした。

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う~ん、この画像だと「リスト集」の下に書かれている収録楽曲の名前が見えないですかねぇ・・・・。  実はそこの第1曲目にあの恐ろしい「超絶技巧練習曲」という文字が書かれているんですよね。  でね、KiKi はそのタイトルに思わずビビッちゃったんですよ。  だって「超絶技巧」ですよ。  単なる技巧じゃなくて「超絶」なんですよ。  因みに広辞苑で「超絶」を調べてみると

①他よりもとびぬけてすぐれていること
②(哲)→超越②ウに同じ

とあります。  でね、KiKi はこの時この広辞苑の②の意味にはまったく考えが及ばなくてこの「超絶技巧練習曲」≒「超人的な離れ業をやってのけるための練習曲」っていう風に解釈して「うへぇ!  リストを弾きたいな~んてぬかしている KiKi は大馬鹿者かもしれない・・・・・汗」といきなり意気消沈。  で、「あの・・・・やっぱりリストはやめておいたほうがいい・・・・かもしれない・・・・・。」な~んていう会話があったんですよね~。  

ま、余談ながら、結局、その発表会では弾きましたよ、リスト。  「ハンガリアン・ラプソディ」と「パガニーニ・エチュード」から「狩」を・・・・・。 

それはさておき、その最初の「超絶技巧練習曲」という文字との出会いからず~っと10年ぐらいというもの、KiKi にとっての「超絶技巧練習曲」のイメージは相変わらず「超人的な離れ業をやってのけるための練習曲」だったのです ^^;

でね、じゃあ、広辞苑の超越のところの②ウに何が書いてあるかっていうとね、そのまま転載すると

②(哲) Transzendenz(独)
ア: もともとはこの自然的世界を超えるものとしての神についていう
イ: 中世哲学では、範疇を超える概念のこと。  存在・もの・あるもの・一・真・善・美など
ウ: カントの用語。  あらゆる可能な経験をこえる形而上学的対象およびそれに関する認識を超越的(Transzendenz)と呼び、超越論的(先験的)と区別した。
エ: 現象学では、意識のうちにあるものを「内在」といい、意識の外にあるものを「超越」という。 
オ:  実在哲学では、実存することは現存の自己を超えることであり、それを「脱自」あるいは「超越」と呼ぶ。

とあります。  この中の(ウ)だから、カントの用語なんですよね~。  で、哲学専攻ではない KiKi にはこの広辞苑の説明はさっぱり理解できないんだけど(^^;)、要するに表層的な技巧がどうたらこうたらという類の練習曲ではないらしいっちゅうことですわ。  確かにこの練習曲は技巧的にもそんなに安易なものじゃなくて、あのシューマン博士をしてこんな風に言わしめています。

この曲は巨匠による演奏で聴かなければならない。  できる事ならば、リスト自身による演奏がいいだろう。  しかし、たとえリストが弾いても、あらゆる限界を超えたところや、得られる効果が、犠牲にされた美しさに対して、充分の償いとなっていないようなところでは、耳障りな箇所がたくさんあるだろうと思う。

嵐の練習曲、恐怖の練習曲で、これを弾きこなせる者は世界中探してもせいぜい10人くらいしかあるまい。  へたな演奏家が弾いたら、物笑いの種になる事だろう。

ま、とは言うもののリストがこの曲のタイトルに込めた意味っていうのは、指先の卓越したテクニックを磨くためのものではなく、演奏家はこれらの曲を演奏するに際し、自我を超越してその先にある深遠なものを表現する努力をしなくてはならないし、聴衆にも演奏家が紡ぎだすそれを聴き取ってもらいたいっていうことだったんだろうと思うんですよね。

なんで、こんなことを長々と書いてきたかって言うとね、KiKi は皮相的な技巧だけでCDを選ぶなら、この曲の鑑賞には今日ご紹介している「アラウ盤」は選ばなかっただろうから・・・・なんですよ。  多分「キーシン盤」か「横山幸雄盤」、そうでなければ「ベルマン盤」とか「シフラ盤」かもしれません。  でもね、そんな中で KiKi のこの曲の一番の愛聴盤 & スタンダードはやっぱりこの「アラウ盤」なんですよね~。    

まあ、KiKi のアラウ好きには年季が入っていて、まずはベートーヴェンで惚れ込んで、その後ショパンでその思いがさらに募り、シューベルトで固まって、そこからは「信仰」と呼んでもいいくらいにアラウに傾倒しちゃっているので「アラウ様の演奏だ、ありがたや、ありがたや・・・・・」という部分が無きにしも非ず・・・・なんですけど、やっぱりアラウの演奏はすごいと思うんですよ。  

ただね、たとえば第4曲「マゼッパ」(ドラマののだめちゃんが Rui に触発されてちょっといっちゃって弾いていた曲)とか第5曲「鬼火」だけだったら、キーシンや横山さんの演奏のほうが技巧を堪能できて、聴きやすい演奏のような気もします。  でもね、アラウのこの演奏の場合は、なんていうか、ゴツゴツしているというか、荒いというか・・・・・そんな印象は否めないと思うんですよね。  でもね、その音の荒さの向こうにかすかに見えるような気がする成熟した耽美・・・・・というようなもの、う~ん、どう表現すればいいのか言葉が浮かばないんですけど・・・・、それが KiKi にはたまらないのです。  

今、KiKi の手元に「アラウとの対話」という本があります。  これは長らく絶版だったものが KiKi もお世話になっている「復刊ドットコム」というサイトでの投票により復刊された本です。  この本の中でアラウは面白いことを言っています。

41B9AKWDP6L__SL500_AA240_.jpg (Amazon)

シラーやリストは抑制しながら演じたり弾いたりということはできないのですよ。  耐え難いものになりますよ。  シラーの劇やリストの音楽は「作る」ことが必要です。  (中略)  「マゼッパ」は作らねばなりません。  「夕べの調べ」も作らねばなりません。  それというのは、通俗ぎりぎりの作品だからです。  たとえばあのアルペッジョはともすればつまらない響きに堕ちる可能性があるのです。

(リストの評価が一時期あまりにも低かったとの話題において)  

それは演奏家に咎があります。  自分の指を見せびらかすためにリストを利用してきたからそういうことになったのです。  もっとも、リストの音楽には、ショパンやシューマンの音楽よりも、指さばきを誇示できる要素が多いのです。  (中略)  私にしたところが、リストを、バッハ、モーツァルト、ベートーヴェン、あるいはシューベルトと同等の高みにおくつもりはありません。  しかし、ウェーバー、ショパン、シューマン、ブラームスとは並べますね。

 

なるほどね~。  なんとなくアラウという演奏家のリストとの距離感、リストを演奏する際の姿勢・・・・みたいなものがわかるような言葉だと思います。

    

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アラウ!大好きなピアニストの一人です。
バッハ、ベートーヴェン、シューベルト、ショパン、そしてリスト。
それだけに、アラウの考える作曲家別の評価、興味のあるところです。リストの評価は、演奏を聴いていて漠然と理解できるのですが、ショパンが同ランクに位置していたとは、ちょっと意外な感じがしました。

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2010年3月 5日 12:36に書いたブログ記事です。

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