シルバー湖のほとりで ローラ・インガルス・ワイルダー

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今週末のLothlórien_山小舎は雨とみぞれにたたられ、その前の週の暖かさがウソのような冷え込みでした。  寒さに震え、ひたすら薪を消費し続けていると、インガルス一家がギリギリの生活を送ってきた時代の不安感・・・・に似たような(とは言え、インガルス一家の厳しさと比べれば、おままごとのようなものですが)ちょっとした渇望感に苛まれます。  そんな中、ようやくローラの物語第4作を読了しました。

シルバー湖のほとりで
著:ローラ・インガルス・ワイルダー 訳:こだまともこ 渡辺南都子
講談社青い鳥文庫

21S6MCCTWHL__SL500_AA140_.jpg (Amazon)

思うような小麦の収穫がないまま、インガルス一家はプラム川をはなれることにしました。  妹グレースの誕生、姉メアリーの失明、愛犬ジャックの死・・・・・・。  ローラはもうすぐ13歳。  西へ西へとのびる鉄道工事の会計係をしながら、父さんは農地をさがします。  多感な少女ローラの目を通して描く「小さな家」シリーズ第4作。  (文庫本裏表紙より転載)

さすがチャールズ父さん!  ここまで色々なことがソツなくできる器用な人は滅多にいないのじゃないでしょうか?  大工さんとしても一人前、農夫さんとしても一人前、狩人さんとしても一人前、おまけに人事総務担当者(上記、文庫本の裏表紙の記載では会計係となっていますが)としても一人前。  ついでに言えば、音楽家としても一人前ときているんですから!!

いったいぜんたい彼はどんな教育を受けてきた人なんでしょうか?  ローラ以上に KiKi はこのチャールズ父さんに興味がわいてきてしまいました(笑)  

もっとも、いかに頼りがいのある父さんが率いるインガルス一家といえども、やはり様々なご苦労のツケ・・・・かもしれない事件がこの「シルバー湖のほとりで」の冒頭で発生してしまいました。  ローラと父さんを除く家族全員が猩紅熱に罹患し、その結果として姉のメアリーが失明してしまうなんて・・・・・。  これはやはり衛生状態・・・・とか、栄養不足・・・・とか、不安定な生活のツケかもしれないと思うと、なんともやりきれません。

でもね、インガルス一家がかなりの変わり者で、当時のアメリカ人として異例中の異例だったわけではなくて、ホント多くの開拓民がいたことを思うと、インガルス一家が特別不幸だったわけではないのだろうし、チャールズ父さんよりも頼りない父さんが率いていたもっと生命力の乏しい家族もいたんだろうな・・・・と思うと、何だか複雑な気分です。  今の日本で普通に暮らしている限りにおいては「生命の危険」を感じることは滅多にないわけですが、それがどんなに素晴らしいことなのか、あらためて考えさせられました。      

 

「失明したメアリーの目になる」という父さんとの約束をローラは守り続け、自分が見たものを常に言葉にしてメアリーに語って聞かせる生活が始まります。  この習慣が彼女の観察眼、表現力を鍛えたのであろうことは疑う余地はありません。  彼女が移動する先々で、そして散歩に出た先々でメアリーに説明する言葉は実に生き生きとし、色彩感にもあふれ、空気の色や音、そしてあたりの温度までもがありありと伝わってくる素敵な表現にあふれています。

話は変わるけれど、KiKi は、最近の若い人たちのメール通信文っていうやつがどうにもこうにもあまり好きにはなれません。  何となく単語の羅列にすぎないように見えてしまうし、もっと言えば言葉の省エネとでもいいましょうか・・・、言葉に生命感や躍動感、そして色彩感に欠けているように感じてしまうのです。  でもローラの言葉は違います。  彼女は自分の5感をフルに働かせ、持てる限りのボキャブラリーを駆使して語ります。  そしてその言葉からは、自分が感じていることを相手に現実感をもって感じてもらいたいという強い思いが伝わってくるような気がするのです。  こういう言葉を読んでいると

「ああ、言葉っていうのはこういう風に使うべきものなんだな」

と感じずにはいられないのです。  仮に随所随所で母さんやメアリーに言葉遣いを直されたとしても・・・・です。

ところで・・・・

この「シルバー湖のほとりで」で久々にキャロライン母さんのインディアン嫌いが顔を覗かせます。  

「インディアンの血が混じっているものは信用できないってよく言っているじゃありませんか。」

子供の頃は KiKi 自身がインディアンを得体の知れない人種だと思っていたし、自分が属する黄色人種が差別の対象になることがあるな~んていうことは考えも及ばなかったので、こんなキャロライン母さんの言葉がひっかかることはなかったけれど、白人社会で生活をしたり仕事をしたり・・・という経験を経てきた今は、キャロライン母さんの言葉がこんな風に聞こえてしまいます。

「イエロー・モンキーの血が混じっているものは信用できないってよく言っているじゃありませんか。」

生きるのに必死だった時代、そうであったが故に、馴染みの薄い他人種や生活風習や文化が異なる、異質なものに対する恐怖感・不信感を持つことを責めることはできないけれど、これは決して過去のことではなく、今でも「生き抜くのが厳しい土地」であれば、同様のことがありうるということを忘れてはいけないと思いました。

さて、ようやく、岩波少年文庫のローラ物語全集の舞台であるドゥ・スメットに辿り着いたインガルス一家です。  でもこの後も決して順風満帆というわけではなく、あの「長い冬」や「大草原の小さな町」や「この楽しき日々」や「はじめの四年間」の苦労が続くんですよね~。  ホント、キャロライン母さんの言葉じゃないけれど「生きることは闘い」なんですね。

さて、ここまで楽しんできたローラの物語も残すところあと1冊です。  残りの1冊「農場の少年」はインガルス一家のお話からちょっと離れて、後のローラの夫、アルマンゾの少年時代のお話・・・・・ということで、その他の物語とはちょっと毛色が異なっていたような記憶があります。  いずれにしろ、もうすぐインガルス一家とさよならかと思うと、何だかとっても名残惜しい気分です。

 

 

  

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