魔女の宅急便(その6) それぞれの旅立ち 角野栄子

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ついにこの日を迎えてしまいました。  KiKi の大好きなこの「魔女の宅急便」シリーズの最終巻をとうとう読了してしまいました・・・・(ため息)  思えばこの作品に映画(ジブリアニメ)で初めて出会ってから20年余りの年月が過ぎているんですよね~。  当時はこの作品が児童小説をベースにしていることを知らず、セルDVDを購入した際にパッケージに印字されている情報から原作の存在を知りました。  でも、その頃の KiKi は物語の世界からは若干遠ざかっていて、購入したり図書館で借りたりして読む本は実用書ばかり・・・・・。  結局、この年齢になるまでこの小説を読む機会を逸してしまっていました。  

それが、「岩波少年文庫全冊読破!」という企画を思い立ち、このブログの前身である「落ちこぼれ会計人の本棚」というブログを作ったときから、「岩波少年文庫ではないけれど、いずれはこのシリーズは全冊読もう!」と思って Wish List に書き連ねてありました。  今日はその締めくくりの日です。  では本日の KiKi の1冊、魔女研究本第8弾のご紹介です。

魔女の宅急便(その6) ~それぞれの旅立ち~
著:角野栄子 絵:佐竹美保  福音館

51NrrddQfNL__SL500_AA300_.jpg (Amazon)

前作から15年がたち、「魔女の宅急便」の主人公キキは30代半ばになりました。  ずっと好きだったとんぼさんと結婚して、いまではふたごのおかあさんです。  キキの子どもたち、お姉さんのニニと弟のトトはふたごなのに性格は正反対です。  元気で活発なニニは魔女にあまり興味がなさそうで、物静かで魔女になれないはずのトトは魔女に興味津々です。

13歳になって旅立ちのときをむかえるふたりと、見守るキキをはじめおなじみのコリコの町の人たち。  それぞれの新たな旅立ちまでがさわやかに描かれます。  本の扉を開けて、キキと一緒に新たな旅立ちに出かけませんか。  奇抜でゆかいなエピソードの中に、少女の心をいきいきと描いた物語は、宮崎駿監督によりアニメーション化もされ、年齢・世代を超えたたくさんの人々に大好評をいただいています。

初めて「魔女の宅急便」の物語を読む方も、このシリーズを読みながらキキと一緒に大きくなった方も、この機会に「魔女の宅急便」の世界をまるごとお楽しみください。  (Amazon より転載)

映画で最初に出会ったキキは13歳。  当時の KiKi は・・・・xx歳。  ふと気がつくと彼女もこの本では30代半ば・・・・とのこと。  この作品をリアルタイムで読んできたわけではないのだけれど、老眼鏡のお世話になるようになってしまったこの年齢でこの号を読めたということで、あたかも彼女の成長をリアルタイムで見守ってきたかのような錯覚を覚えます(笑)

すべての号を読み通してきてみて、この作者の作品は自立しようとする世代の揺れ動く想いを描かせたときに一番の魅力が出てくるように感じました。  この号でも主役はおそらくキキなんだろうけれど、KiKi の関心は常にキキの双子の子供、ニニとトトに向けられていたように思います。  特に半分魔女の血をひいていながら「男の子」であるがゆえに「魔法は使えるかもしれないけれど、魔女にはなれない」トトの葛藤には思わず目頭が熱くなってしまったこと、数え切れず・・・・ ^^;

そのトトがいろいろな意味で頼りにしている存在があの「ケケ」であることが、不思議といえば不思議なんですけど「半分魔女」ということで、トトとの対比が面白くもあり、KiKi の目には「ケケ」のこの物語の中での一番大きな存在意義はこの最終巻のためにあったかのようにも感じられました。

キキの使い込んだほうきを2つに分けて、双子のために2つのほうきをつくってあげたとんぼさんには、感動でした。  キキもニニも最初から「魔女は女の子。  トトは男の子だから魔女にはなれない」とある意味決めつけて(でもそれが普通だけど)いて、トト自身さえもが「常に家族の注目の的になるのはニニでニニが魔女になるかならないかにみんなの興味が向いている」とある種の諦観みたいなものを持っている中で、とんぼさんだけはトトの中に眠っている想いをちゃんと受け止めてあげているんだなと思いました。  もっともこれは「魔女になるかならないか」というよりは、自分自身も「キキのように飛べたらいいのに!」と思っていたとんぼさんのある種の夢だったのかもしれませんけれど・・・・。  自分は普通の人間だったから、どんなに想いが強くても空を飛ぶことはできなかったけれど、魔女の血をひくトトだったらひょっとして・・・・・みたいなね。

そんなほうきに愛着をもって、一人で飛ぶ練習をしようとするトトの姿には思わず「頑張れ!」と声援を送っちゃったし、結局、トトには飛ぶことができなかった描写を読んだ時には、ひょっとしたらトト以上に KiKi はがっかりしていたかもしれません(笑)。 

 

ニニに関してはある種「やっぱりね」的な展開だったように思います。  ニニが初登場したシーンでは「え?  これがキキの娘?」と思っちゃうような、現代っ子ぽさ全開のはじけた女の子なのかなぁと感じないでもなかったけれど、ある意味ではキキよりももっと魔女らしい女の子だなぁと思うんですよね。  だって、キキは魔女修行1年目が終わって初めての里帰りのときにようやく「コキリさんのくすりぐさの技」を身に着けようとし始めたわけだけど、ニニは口でこそなんだかんだと言いつつも、ちゃ~んと毎年キキのくすりぐさのイベントのお手伝いを続けているんですもの。  KiKi は表面的に見える部分と根っこの部分の違い・・・・みたいなことをニニには感じました。

家族だけではなく町の誰もが「二ニはやっぱり魔女になるのよね」という期待のような、決めつけのような目に娘らしい反発、抵抗を示しているだけで、キキは「飛ぶことが楽しいから魔女になる」という割とシンプルな思考回路で魔女になる道を選んだわけだけど、ニニはキキよりはもうちょっと複雑で、「自分が何者なのか」を一生懸命探そうとしている女の子という印象でした。  それにね、多分・・・・なんだけど、おそらくニニは双子の弟トトに「自分以上の魔女っぽさ」みたいなものを薄々とは感じていたんじゃないかと思うんですよね。  それとわかる描写があるわけじゃないんだけど、いろいろなシーンで KiKi にはそんな風に感じられたんですよね。  

キキも文中で言っているように

ふたりともキキの子供なのに、ニニは頷くだけで簡単に(魔女に)なれて、トトは望んでいるのになれないというのは、あまりにも不公平

というのはキキだけが感じていたことではなく、ニニも本人にその自覚があったかどうかはともかくとして、やっぱり感じていたような気がするのです。  だからこそ、ニニはなかなか自分から「私、魔女になる」とは言えなかったんじゃないかと・・・・。  トトが何者になるか決めかねているうちに自分だけがキキの娘で誰もがそうなると期待していて、たまたま13歳になるから決める・・・・という気分にはなれなかったんじゃないかと・・・・・。

それにね、誰もが「ニニも魔女になるのよね」と思っている中、一度でも「魔女になってみようかな」な~んていうことを言ってみて、万が一うまくいかなかった場合、自分の存在価値・・・・みたいなものを失うのが怖い・・・・っていう思いもあったように思うんですよね。  「キキの娘のくせに魔女になれないなんて、きっとどこかおかしいのよ」みたいな風に人が思ったり、自分が自己卑下する姿を見たくない・・・・というか。

トトがゾイさんと出会って、はじけちゃったのを見てニニがようやく「もう、そろそろ魔女の練習してもいいかなって、ニニちゃんとしては思ったわけさ」と言ったというのは、とんぼさんに「魔女になる約束破って途中でやめたりしたらどうなっちゃうと思う?」と聞いてみて、その返事がニニを安心させるものだったというのもあると思うんだけど、それ以上にトトが何かを見つけたことを敏感に感じ取ったから・・・・・のような気がします。  そういう意味ではキキがよく言う「見えないものを大切にする心」はニニはちゃ~んと持っている女の子なんじゃないかなぁ・・・・と。

ニニの魔女修行への旅立ちの日、トトも乗り物こそほうきじゃないし、目的こそ違うもののやっぱり旅立ちをします。  KiKi にはニニの煮え切らない態度はこの「トトと一緒に旅立ちをしたい(目的地やすべきことは違っても)」という、それこそ目に見えない思いの表れだったような気がするのです。  

さて、これでこのシリーズも完結してしまいました。  KiKi はねぇ、できることなら、トトのその後を知りたいなぁと思うんですよね。  ニニは結局のところ、コキリさんや、キキと似たり寄ったりの生活になるような気がするんですよね。  だいたいにおいて魔女っていう存在はそんなにアバンギャルドな変身をしちゃうような存在ではないと思うし・・・・・。  でも、「魔女になりたかったけれどなれなかった、魔女の血をひく男の子」であれば、どんな風になれるのか、楽しみも多いような気がするんですよ。  

ということで、KiKi のお願いです。  角野さん、一段落したらトトを主人公にした「魔女になれなかった男の子のお話」を書いてもらえませんかねぇ・・・・・(笑)  

 

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2010年4月 8日 12:49に書いたブログ記事です。

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