夢の守り人 上橋菜穂子

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いやはや、人間というものは勢いがついている時はスゴイもんですねぇ。  KiKi はこんなブログを書いているぐらいだから当然の事ながら昔から「本好き」でどちらかというと「活字中毒」に近いところもある・・・・という自負はあったんですけど、それでも今回の久々の「やめられない、止まらない状態」というのは正直、自分でもビックリ!(苦笑)です。  まあ、たまたま「軽装版」でど~んと大人買いしちゃったというのもあるんですけど、それにしても・・・・です。  本当であればこういう大好物系の物語はじっくり味わって読みたいはずなのに、1日1冊のペースで「で?  先は?  それから??」という想いに突き動かされ猛進している・・・・・そんな感じです(笑)  ま、これは KiKi にとって久々のクリーン・ヒットっていう感じでしょうか?  ま、てなわけで、本日も読了しちゃいました、「守り人シリーズ第3作」です。

夢の守り人
著:上橋菜穂子 絵:二木真希子  偕成社

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   (Amazon)            (Amazon)

人の世界とは別の世界で花をつけ実をむすぶその"花"は、人の夢を必要としていた。  一方、この世をはかなんでいる者は、花の世界で、永遠に夢を見つづけることを望んだ。  いとしい者を花の夢から助けようと、逆に花のために魂を奪われ、人鬼と化すタンダ。  タンダを命をかけて助けようとするトロガイとチャグム、そしてバルサ。  人を想う心は輪廻のように循環する。  (Amazon より転載)

いやはや、作を追うごとに「児童書」というリミッターが外れていくように感じるのは気のせいでしょうか?  もちろんファンタジーというのが「子供向けの荒唐無稽のお話」という分類では決してないことは、よ~くわかっているんですよ。  でも、第1作の「精霊の守り人」を書かれた際の著者と出版社の会話のようなものを見る限りにおいては、それでもこのシリーズの出発点はやはり「児童書」というカテゴリーにあったはずなんですよね(笑)  つい最近発見したこちらのサイトにも書いてあります。  

この物語の草稿を担当の編集者さんに見せたとき、「あのね、児童文学って、子どもが主人公に心を乗せていける物語なのよ。子どものお母さんみたいな年代の女を主人公にして、どーする!」と怒られましたが、私にとっては、主人公のバルサは、どうしても三十歳以上でなくては、ならなかったのです。

・・・・・と。  この「夢の守り人」は前作の「闇の守り人」とはまた全然異なる世界のお話ではあるのですが、文化人類学の学者さんという経歴をお持ちの上橋さんがフィールドワークの中で体感されてきた世界各国の霊的な信仰のエッセンスを大放出!という感じの物語だと思います。  この物語で大活躍するのはシリーズ全体の女主人公バルサ・・・・・というよりは、どちらかというと当初はサブだったはずの「タンダ」「トロガイ」という呪術師軍団と「シュガ」「チャグム」という宮様軍団です。  特にバルサの良き相棒・・・・・という位置づけだったタンダがものすごいことになっています。

「夢の守り人」というタイトルでありながら「花の世界」という描写が多く、Amazonの概説にもあるようにこの「花の世界」が成熟するためには人の夢を必要としていた・・・・というのは感覚的には理解できていたんだけど、正直なところ「精霊の守り人」や「闇の守り人」ほどには「守り人」そのものがスンナリとは理解できずに読み進めていったのですが(何せタンダが変身させられちゃう化け物の呼び名が「花守り」で、読み方を代えれば「これって『花の守り人』っていうお話だったっけ?」と間違えそうな感じだったし・・・・・)、「夢の守り人」≒「呪術師」という決着のつけ方に正直「やられたぁ!」と思いました。

  

第1作の「精霊の守り人」を読んだ時は「ああ、この物語を小学校の高学年ぐらいで読みたかったなぁ」と感じたけれど、ここまで読み進めてきた今、思うのはこのシリーズが出たのが KiKi が大人になってからで本当によかったなぁということです。  もしも小学生(もしくは中学生)の時に「闇の守り人」やこの「夢の守り人」に出会っていたとしても、KiKi には今ほどしみじみとこの物語の登場人物たちの心情にスンナリと寄り添うことができたとは思えないのです。  

あのね、一応誤解のないように書き添えておくと、「このシリーズは児童書ではなく大人向け。  子供が読んでも理解できないだろう。」ということが言いたいわけじゃないんですよ。  おそらく、KiKi が子供時代にこの本に出会っていたとしても今と同じ熱さで夢中になっただろうし、バルサやタンダ、トロガイの想いを100%理解できなかったとしても、それは物語の素晴らしさを阻害することにはならなかっただろうし、その後の人生で何度も読み返していくうちに「ああ、子供の頃にはよくわからなかったけれど、これはこういうことなのかもしれない。」と感じることができて、それはそれでとっても幸せな読書体験になるはずだと確信しています。  

でもね、「早く出会えなかったことを嘆く類の物語ではないなぁ」という想いの方が強いんですよ。  あの編集者さんの言葉じゃないけれど、物語を読むときに自分が同化できるキャラが必要な世代っていうのはやっぱりあると思うんです。  おそらく子供にとってこのシリーズでのそんな存在はやっぱり「チャグム」だと思うんですよね。  でもね、今の KiKi は当然のことながらチャグムに自分を投影するって言うのは逆にものすごく難しい。  正直なところ主人公のバルサであっても難しいんです。  じゃあ、タンダ?と問われればそれも「う~ん・・・」っていう感じだし、年齢的にはおそらく一番近いだろうトロガイであってさえも「いえいえ、とんでもない・・・・・。」っていう感じなんです。  

でもね、逆に自己を投影できないからこそちょっと引いたところで感じられるもの・・・・・っていうのがそこかしこに溢れているのがこのシリーズだと思うんですよ。  特にこの物語の終章はそんなお話の宝庫です。  自分が背負ってきた呪縛からそこそこ開放されたバルサしかり。  何とか現世に戻ることができたタンダに語るトロガイの言葉しかり。  そして、前の2作ではどうしてもバルサの凄腕の描写に引き摺られ「強いバルサ」という一種の固定概念みたいなものがこびりついている頭に「本当の強さとは・・・・」という新しい目線を与えてくれるクロージングにまたまた思うのです。  「やられたぁ!」と・・・・・(苦笑)

今作で一番残念だったのは、シュガが相談に行った星の宮の新たな登場人物「記録係のオト」の物語がちょっと中途半端な感じがしたことでしょうか。  「サグム」でいろいろな出来事が度重なるこの時期と「天の相」の関連性というお話がもっともっと膨らむのかと期待していたのに、そして星の宮に新たな興味深いキャラ登場か!と胸がドキドキしたのに、結果的にちょっと捨てキャラっぽくなっちゃっているのが気になる・・・・・気になる・・・・・・(笑)  もうちょっと存在感があれば、この後のシリーズで大活躍してくれそうな気もしていたのになぁ・・・・・。

幸せな夢にまどろんでいるうちに、花の世界に取り込まれてしまっていたチャグムが、辛うじて自分の魂だけは守ったことにより正気を持ち続けているタンダ_魂と出会い、「魂にとっては、姿は、その性質を示すんだ」という言葉とともにハヤブサに変身して現世に帰ることができたシーンを読んだときは「ああ、これがあの『虚空の旅人』で出てきて KiKi が???となってしまったあの部分かぁ・・・」と納得できたのがとても嬉しかったです。

さて、ここまで快調に先へ、先へと飛ばしてきたわけだけど、現段階で「守り人シリーズ」全8冊のうち3冊を読了、外伝扱いの「旅人シリーズ」全2冊のうち1冊を終了、さらにおまけの外伝全1冊のうち1冊を読了で全体でみると全11冊のうち5冊を読み終えてしまいました。  残りが約半分だと思うと、どんどん先へ進みたい気持ちと、勿体無くて先へは進めない気持ちが同じくらいの強さで沸きあがってきて、現在 KiKi の中で闘いを始めています(笑)  まあ、恐らくは好奇心の強さの方が勝って、どんどんいっちゃうことになるとは思うんですけど、ここらで1度、クラシック音楽関係のエントリーを書くべく、一休止してみようかなぁ・・・・・。  

 

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2010年4月15日 12:52に書いたブログ記事です。

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