蒼路の旅人 上橋菜穂子

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昨日、4月17日は KiKi の誕生日♪  ついに○○歳を迎えてしまいました。  本当に崖っぷちの年齢です・・・・。  そんな KiKi からすると30そこそこの女主人公が「オバサン扱い」されているこのシリーズ、自分の年齢をイヤというほど思い知らされてしまうので、痛いはずなのですが(^^;)、それでも先を読み進めずにはいられません!(笑)  ま、てなわけで本日の KiKi の読了本はこちらです。

蒼路の旅人
著:上橋菜穂子 絵:佐竹美保  偕成社

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新ヨゴ皇国皇太子のチャグムは罠と知りながら、祖父トーサと共に新ヨゴの港を出港する。  この船出がチャグムの人生を大きく変えていく...  罠におちひとり囚われの身となるチャグム。  愛する人との別れそしてあらたなる出会い...。  (Amazon より転載)

ホントにまぁ、このシリーズの著者、上橋さんとは何とすごい人なんでしょうか!!  シリーズが進むにつれ小さな国の大きな世界(サグ & ナユグ)の物語から大きな世界の膨大な世界の物語にどんどん広げていくその手腕にまずは脱帽です。  これまでの作品はシリーズもの・・・・と言いつつも一話完結型の物語でしたが、今作は完結しきらずに To be continued..... という雰囲気たっぷりで著者は筆を置いています。  次への期待感を煽るだけ煽ってここで筆を置き、これに続く「天と地の守り人」が3巻編成。  そりゃあ、これだけ世界を広げちゃったら1冊ですべてをまとめることは不可能でしょう(笑)。

バルサが主人公の「守り人シリーズ」の外伝扱いで、チャグムが主人公の「旅人シリーズ」が描かれているわけですが、「精霊の守り人」ではひたすら守られるだけだったチャグムが着実に成長し、「旅人シリーズ」ではバルサ・タンダ・トロガイからのある種の「親離れ」をし、「守られるだけではない男」に変貌しようとしています。  まして今号では「皇太子という立場」からさえも逃れられるなら逃れたいと考えていたチャグムが「皇国を担う者」という自覚に否応なく目覚めさせられ行動を起こすのです。  父・帝との確執、超大国・タルシュ帝国の野望とこの賢いながらも清廉さを保ち続けている優しい青年がどんな活躍をしてくれるのか楽しみであるのと同時に、彼の置かれた過酷な環境にエールを送る気持ちよりも「もういい加減幸せになって欲しい・・・・」と思ってしまうのは女子供の感傷でしょうか?

 

タルシュ帝国に関する記述や、タルシュ帝国の統治政策。  さらには枝国(被征服国)の描写を読んでいると、恐らく古代ローマ帝国の統治というのはこういう形だったんだろうな・・・・と思います。  富と力を見せつけ、強大な軍事力を背景に領土を広げ、素直に従う国には一定の自治を与え、それなりの功績を挙げた人・国には市民権を与える・・・・・。  多人種を抱える帝国というのは、やはりそれなりの「力」をベースに押さえつけすぎず、甘やかせず、人種特有の精神性・・・・みたいなものは形だけでも尊重しつつ・・・・という統治をしていくのが成功の秘訣なんでしょうね。  

KiKi はある時期にマスコミから流れてくる「国益」という言葉に胡散臭さ・・・・に似たものを感じたことがありました。  「国益とは誰の益なのか?」がよくわからないと思ったのです。  この物語の中でもチャグムが、どのように動くべきか迷う記述がありますが、「民のため」と簡単に言うのはたやすいけれど、「何が本当の民の益なのか?」は難しい命題だと思います。  例えば自然相手の一次産業に従事している人間にとっては極論すれば為政者が誰であっても、世界で何が起こっていようとも実はあまり関係がなかったりもして(極論です・・・・あくまでも)、畑や漁場が荒らされず、気候に恵まれて、そこそこの生活ができればそれ以上のことはどうでもよかったりもする・・・・。  

どこかの時代のどこかの国のように、国民の最後の1人まで抵抗を続け命がけで戦う・・・・というのは、民族意識という意味ではかっこよく見えなくもないけれど、そして物語の世界であればそれを徹底的に美化することはできるけれど、それが本当にかっこいいことなのか?  それが本当に素晴らしいことなのか?はわからない。  「ばかげたこと」と切り捨てられるほどくだらないことでもなければ、徹底して美談にしたてあげるほど素晴らしいことでもないわけで・・・・・。  この、○○歳を迎えた今でも KiKi には判断できそうもない難題を前にまだ10代のチャグムはある決心をし、その決心をすることが「皇国を担うもの」としての自覚につながる・・・・・。  う~ん、本当に深い物語です。

この物語を読み進めるうちに、久々に「愛国心とは何だろう?」とか「宗教と政治の関係性」とか「人類がたどってきた歴史」とか「戦争の本質」とか、ありとあらゆることを考えさせられました。  物語の世界に没頭しているようでいて、あれやこれやと考えさせられるのは、本当に久々のことでした。  

それにしても・・・・・

ここまで広げちゃった物語(広がっちゃった? かもしれないけれど 苦笑)。  シリーズ最終作の「天と地の守り人」でどんな決着がつくのか、楽しみです。  上橋さんなら安易な決着にはならなそうな予感 & 期待をもって、このまま「天と地の守り人」に突入したいと思います。

 

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2010年4月18日 12:20に書いたブログ記事です。

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