獣の奏者(闘蛇編 & 王獣編) 上橋菜穂子

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ちょっとブログの更新が滞ってしまっていました。  「守り人シリーズ」で使い果たしたエネルギーをとりもどすため・・・・ではなく(笑)、ちょっとお仕事の関係で慌しかったり、雪が融けたLothlórien_山小舎では多くの野良仕事が待っていたり、EMobile を購入しようとした際についついセットものの Mobile PC を購入してその設定に頭を悩ませていたり・・・・・な~んていうことをしていたら、こちらのブログがちょっと置き去りにされてしまっていました・・・・ ^^;  ま、とは言え、一度火が点いてしまった「上橋 World 熱」はそうそう簡単に消えたりするものではありません。  てなわけで、本日の KiKi の読了本はこちらです。

獣の奏者(闘蛇編 & 王獣編)
著:上橋菜穂子 講談社文庫

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リョザ神王国。  闘蛇村に暮らす少女エリンの幸せな日々は、闘蛇を死なせた罪に問われた母との別れを境に一転する。  母の不思議な指笛によって死地を逃れ、蜂飼いのジョウンに救われて九死に一生を得たエリンは、母と同じ獣ノ医術師を目指すが―。  苦難に立ち向かう少女の物語が、いまここに幕を開ける。   (闘蛇編 文庫本裏表紙より転載)

カザルム学舎で獣ノ医術を学び始めたエリンは、傷ついた王獣の子リランに出会う。  決して人に馴れない、また馴らしてはいけない聖なる獣・王獣と心を通わせあう術を見いだしてしまったエリンは、やがて王国の命運を左右する戦いに巻き込まれていく―。  新たなる時代を刻む、日本ファンタジー界の金字塔。   (王獣編 文庫本裏表紙より転載)

これまた「守り人シリーズ」同様、一気にこの物語の世界観に引き込まれてしまいました。  「守り人シリーズ」の終わりが見えてきた頃、上橋さんの他作品にどんなものがあるのか調べ始め、こちらの物語が「講談社青い鳥文庫」に収録されているのを見て「へぇ、何で?」と思ったのですが、この作品、NHKにアニメ作品があるんですねぇ・・・・・。  アニメで先にこの作品に出会った子供たちが、この物語を読んでどんな感想を持ったのか、とても興味があります。

KiKi はそのときに初めてアニメ作品の存在を知ったばかりだから、当然のことながらアニメのほうは未視聴なんだけど、この作品はアニメも観てみたいような気がします。  でも・・・・・恐らく・・・・ではあるんだけど、読書が先でアニメが後の場合には、いろいろピンとこなかったりするんだろうなぁ・・・・・。  KiKi の頭の中には読書中に描いていたエリンやソヨンやジョウンやエサルのイメージができあがっちゃっているから、そのギャップに居心地の悪さ・・・・みたいなものを感じちゃうような気がします。

ま、それはさておき、この物語です。  これって「児童文学」とか「ファンタジー」にカテゴライズされる作品なんでしょうか?  まあ、KiKi は正直なところ、お仕事のうえでは「セグメンテーション」に拘ったりもするけれど読書習慣の中ではあんまりそれに拘ったことがない(強いて言えばホラーと呼ばれるものはあまり好きじゃないぐらい? 笑)ので、どうでもいいと言えばどうでもいいんですけど、これってひょっとすると「ファンタジー」ではあるかもしれないけれど、「児童文学」ではない作品なんじゃないかしら・・・・・。  もっともそれってこの作品に限らず、上橋作品に共通することなのかもしれませんが・・・・・。

確かに上橋さんの文章には必要以上に難解な言葉は出てこないし、どちらかというと一文一文が短めで読みやすいけれど、扱っているテーマはあまりにも大きいと思うし、短い言葉の一つ一つに実は深い意味が込められている事が多いような気がするんですよね。  特にこの作品においては「他者との意思疎通」というテーマが1つの大きな柱になっていると思うんだけど、「わかった気になる」という悪意ない行為が本質的にはどういうものなのか・・・・は、大人であってさえもなかなか素直には理解しにくいし、自身を振り返りにくいことだと思うんですよね。

 

この物語ではあえて「獣」との対話の物語が軸になっているけれど、じゃあ「人間同士ならもっと分かり合えるのか?」と言えば「わかった気になっている」に過ぎないことが多いような気がします。  そして、エリンが物語終盤でつぶやく「-知りたくて、知りたくて・・・・」  このセリフにガツンとやられたような気がします。  人は多くの場合、最初のうちは「相手を知りたい」というどちらかというと謙虚な気持ちからスタートする他者との関係性の中で、どの時点からなのかはよくわからないけれど「知りたくて、知りたくて」「知ってほしくて、わかってほしくて・・・・」に変わっていってしまう生き物のような気がするんですよね~。 

そういう意味ではエリンが蜂飼いのジョウンと別れ、入学したカザルム学舎で王獣リランと出会い、母親になったつもりのエリンを初めてリランが襲ったときにエサルが語る「すべての生き物が共通して持っている感情は<愛情>ではない。  <恐怖>よ。  その事実を、骨に刻みなさい。」は真理なんだろうと思います。  私たち人間はどこかで「下心のない真心なら時間がかかっても通じるはず」と思いたがるけれど、仮にそれが通じたとしてもそれは自分が相手に抱いている<愛情>とまったく同質なものではないかもしれない・・・・ということは忘れがちです。

この物語を読み進めている最中、KiKi は1つの疑問・・・・というか引っ掛かりを感じていました。  エリンはリランをじっくりと観察して、少しずつ少しずつ試行錯誤を繰り返しながら、「人には馴れない」とされてきた獣と意思を通わせ始めます。  そしてその過程が物語られる際には、エリン視点の感情やら理解の仕方がつらつらと描写されていて、その感情はかなり抑え気味・・・・ではあるものの、どこか、人間が「こうであってほしい・・・・」と望んでいる姿が投影されているように感じたんですよ。  でもね、自然というものはそんなに感傷的なものではないと KiKi は思うんですよ。  

そうであるからこそ、私たち人類は歴史の中で長い長い自然との闘いを続けてきたし、科学を発展させることにより可能な限り自然をコントロールしようとしてきました。  でも、今の私たちと同じような科学レベルの生活を享受できるようになったのは、長い人類史の中ではほんとついこの間のことなのです。

そういう意味では物語としては「痛い話」ではあったけれど、もう十分にエリンとリランの意思疎通が図れるようになったと思われる場面で、2度、エリンがリランに襲われるシーンは、惨いけれど、淋しいけれど、KiKi には何となく普通のこと(感情的に「当たり前」という意味ではなく、「あるがまま」という意味合いで)に感じられました。  ああ、やっぱりそうなんだなぁ・・・・・と。  そんなリランが最後の最後にエリンを助けるシーンは意外でもあったけれど、そして物語の構成としては「闘蛇編」冒頭のエリンの母・ソヨンの最期とリンクして、調和がとれていると感じるけれど、エリンが母を助けたくて闘蛇のあふれる沼を泳ぐ「気持ち」とリランがエリンを助けたくて闘蛇のあふれる平原に降り立つ「気持ち」が同じであるとは思えません。

そうであるだけに、この先の2人(・・・・というより1人と1頭? 笑)のこれからにどんな事件が待っているのか・・・・はとても興味深いと思いますし、本来ならここで終わるはずだったこの物語の続編があることに感謝します。

もっとも・・・・・・

KiKi にとって興味があるのは実はエリンとリランよりも、「真王(ヨジェ):セィミヤ」と「大公(アルハン)の長男:シュナン」のこれからだったり、「堅き盾(セザン):イアル」のこれからだったり、リョザ神王国のこれからだったりするのですが・・・・・・(笑)  

でもねぇ、この続編にあたる「探求編」と「完結編」はまだ文庫化されていないし、KiKi の住んでいるエリアの図書館では予約70人待ちなんですよね~。  う~ん、待ちきれるだろうか・・・・・。

 

追記: ↑ 結局待てませんでしたぁ! ^^;  いえね、たまたま今日(4月26日)ちょっくら自宅近所のBookOff に寄り道してみたんですよ。  そしたら、「探求編」と「完結編」が2冊仲良くチョコンと棚に鎮座していたのです。  「これは買うっきゃないでしょ♪」みたいな感じでその場でよくよく吟味もせずにお買い上げ~。  ああ、大人になったら「分別」とか「忍耐」という言葉ともう少し仲良くなれるんじゃないかと思っていたんですけどねぇ・・・・・・(ため息)

 

 

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2010年4月25日 23:08に書いたブログ記事です。

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