狐笛のかなた 上橋菜穂子

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このGWの KiKi のLothlórien_山小舎暮らし。  最大の目的は今年の夏に向けての畑の準備と先日新たに買い増しした土地の整地 & プラン作りでした。  で、本来であれば以前このエントリーでお話したアイツの雄姿をご紹介する予定だったのですが、長い冬をブルーシートが被せてあったとはいえ風晒しにさせておいたことに対する反乱なのか、何なのか??  どうしてもエンジンがかかってくれません(涙)。  せっかくお天気には恵まれているというのに何たることか!!!  

ま、おかげで夜にさほどの肉体疲労には苛まれず読書がそこそこ捗っているわけですが・・・・・(苦笑)  それでもね、山小舎暮らしっていうやつは昼間の時間帯にはそこそこやらなくちゃいけない野良仕事も多いので、ガンガン進む・・・・というほどでもないのですけどね。  ま、てなわけで本日の KiKi の読了本はこちらです。

狐笛のかなた
著:上橋菜穂子  新潮文庫

418T95G91YL__SL500_AA300_.jpeg (Amazon)

小夜は12歳。  人の心が聞こえる「聞き耳」の力を亡き母から受け継いだ。  ある日の夕暮れ、犬に追われる子狐を助けたが、狐はこの世と神の世の「あわい」に棲む霊狐・野火だった。  隣り合う二つの国の争いに巻き込まれ、呪いを避けて森陰屋敷に閉じ込められている少年・小春丸をめぐり、小夜と野火の、孤独でけなげな愛が燃え上がる...  ひたすらに、真直ぐに、呪いの彼方へと駆けていく、二つの魂の物語。  (文庫本裏表紙より転載)

これって「精霊の守り人」なんかと同様、「野間児童文芸賞」の受賞作ということなんだけど、「精霊の守り人」は辛うじて児童文学っていう感じがするものの、この「狐笛のかなた」は児童文学とは呼べないんじゃないのかなぁ・・・・・。  幻想的な世界を描いている ≒ 夢物語 ≒ 児童文学 というある種のヘンテコな括りの中で「児童文学扱いされている文学」っていう感じがしました。

この物語、そこかしこに「死」とか「霊魂」みたいな空気が漂っているんだけど、子供時代ってものすご~く「生」に執着していて「死」っていうのはある種の状態を表す言葉に過ぎなくて、「霊魂」が抱え続ける想いの深さみたいなものとは無縁なんじゃないかと思うんですよね。  あ、それは現代の子供に関してであって、古い日本でもっと「死」が日常的だった世界では違うと思うんですけど・・・・・。

じいさまやばあさまと共に暮らし、子供も家族の中でそれなりの役割(概念論的な役割ではなく、実際の労働力としての・・・・という意味ですが)を担っていた時代、じいさまやばあさまに会うのは「夏休みに遊びに行くとき」だけ、老いを間近に見ることもなく、その死を看取ることもなく、お葬式でようやく久々のご対面な~んていう今の時代にはこの物語の底辺に流れている「生命の連鎖」とか「あわい」とかっていう世界観は自分の「死」を意識し始める世代でないとなかなか読みくだくことができないような気がします。

  

上橋さんの作品のひとつの特徴として「絶対善・絶対悪が存在しない」という世界観があると思うのですが、同時に「歴史感覚」というか「長い歴史の連鎖の中のほんの一部の今」という感覚がとても鋭いと思うのです。  「1人で育ったような顔をして・・・・」とは KiKi を含め現代の若者に共通して言われる言葉だけど、「自分が今ここに在る。  ここに在る自分とは何者か?  自分が在る今とはどういう時代か?」を常に見つめ続けている・・・・そんな気がするんですよね。  だからこそ、この物語では「死」とか「霊魂」を扱わずにはいられなかった・・・・そんなことを感じました。

もう1つ、この小説を読んでいて興味を持ったのは「太古からの日本文化の中でお狐さまとはどんな存在だったのだろうか?」ということです。  正直なところ無宗教意識を持ちながら暮らしてきた KiKi は神社とかお稲荷さんで「お狐さま」を何度も見かけているくせに、日本人の文化の中で「お狐さま」はどんな存在だったのか、「お狐さま」にどんな想いを抱いてきたのかに関してはまったくと言っていいほど無知であることにあらためて気がつかされたような気がします。

先日来、少しずつご紹介している「魔女研究」のエントリーの中で「魔女」とは「あっちの世とこっちの世の境目の世界を見ることができる存在」という言葉を何回か見かけているんだけど、この物語の中で小夜のばあさま(産婆さん)が語る言葉に、それにそっくりなものを見かけたのも1つの発見でした。  曰く

とりあげ女(要するに産婆さん)は、自ら穢れの中に手をつけて、赤子をとりあげる。  尊いけれど、おそろしい仕事だよ。  望まれぬ子を、あの世へそっと「お返し」することもある。  ・・・・・・産も死も、あの世に近い。

現代では「おめでた」と呼ばれる「出産」が「穢れの中から取り出されるキラキラ光る美しいもの」・・・・というのも、何だか背筋がゾクゾクくるような観念だなぁと思います。  

う~ん、「生と死」に関してはまだまだ KiKi の感性は中途半端なんだなぁ・・・・・・。

 

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2010年5月 3日 09:53に書いたブログ記事です。

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