空色勾玉 荻原規子

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この週末も KiKi はLothlórien_山小舎で野良作業に没頭していたわけですが、その間にも着々と読書の方は進行しておりました。  でもね、昼間に暑い太陽がギラギラする中で慣れない作業をした後は、睡魔がものすごい力で襲ってくるんですよね~、これが。  ま、てなわけで若干のペースダウンの末ようやく読了したのはこちらです。

空色勾玉
著:荻原規子 絵:佐竹美保  徳間 Novels Edge

51BelTn7QWL__SX230_.jpeg (Amazon)

「・・・・水の性をもつ乙女よ。  そなたの力はか弱いが、母なる御神の最も近くにある。  そなたは大蛇の剣にふれることさえできるのだ」 「・・・・これはそなたのもの。  生かすも殺すも、そなたとともにあるものじゃ」  言葉もなく、狭也は両手を出してうけとった。  老婆の手の燐光にまだ薄く光るそれは、狭也の指の先ほどの小さな勾玉だった・・・・・  なめらかに乳色がかった青。  春の空を見上げたときの、淡くやさしい色だった。  (本の裏表紙より転載)

なるほどね~。  記紀をベースにしてこんな物語が描けるんですねぇ・・・・・。  興味があってもなかなか読み進めるのには骨が折れる「古事記」や「日本書紀」の世界。  日本人としてきちんと読んで知っておきたいという想いを抱くことがあっても、結構途中で挫折しちゃう人って多いんじゃないかと思うんですよね。  かくいう KiKi もその1人なのですけど・・・・・ ^^;  KiKi の場合、あちらで挫折しちゃう1つの大きな理由は「読みにくい人名」にあるんですけど、この「空色勾玉」は同じ「カミサマ」の名前であっても文字数が少ない分読みやすい!(笑)  

よくロシア文学の人名が長すぎるうえに○○スキーばっかりでわかりにくいっていう話を聞くけれど、あちらは外国物だと思うとまだ我慢できる KiKi も日本人名にも関わらず漢字が読みづらくて、ついでに誰も彼もが「○○のオオキミ」とか「○○の××ヒメ」とか「△△の××のミコト」っていうのはホント読みづらいんですよね~。  しかも現代人からすると当て字に見えなくもないような漢字が含まれている分タチが悪いんですよぉ。

とは言うものの、複雑怪奇な人名を不心得ながら適当に「太郎君」とか「次郎君」に変えて読むとそこに美しい物語が浮かび上がってくるのが我が日本神話のもったいないところ・・・・・と常々感じている KiKi にとって、この物語は読んでいてとても楽しいものでした。  日本の風土から生まれた自然描写の巧みさ、色重ねの美しさ、そして各章の扉に書かれる五七調の和歌・短歌の世界。  こういう物語を読むと「日本って捨てたもんじゃない!」と妙な自信にも似た想いがわきあがってきます(笑)  日本人の感性だからこそ深く味わうことができる世界がそこかしこに広がっています。

 

個人的には上橋作品ほど「読まされた感」はないのですが、かの本で日本のファンタジー界を負って立つ三羽烏のお1人がこの物語の作者荻原さんと謳われていたことには合点がいきました。  

ただ、この作品がデビュー作だったせいか、ところどころ読みにくい感じがしたのも事実です。  なんていうか話が・・・・というか、言葉が唐突な感じがして、どの視点で何を言わんとしているのかがぐちゃっとしている・・・・というか・・・・・。  そのつっかかってしまった部分を3回ぐらい読み直してみると「なるほど」と合点がいくものの、こういう言ってみれば「楽しむ本」で読み直しっていうのはちょっと鬱陶しいかなぁと・・・・・。

そしてもう1点だけ気になったところ・・・・と言えば、ちょっと「綺麗事」に収めすぎているような気がしないでもないところ・・・・。  まあ、現代人にとってはこのぐらいの「甘さ」が適当なのかもしれないけれど、イザナギ・イザナミの世界(輝の大御神や闇の大御神のモデル?)はもっと厳しいものだし、「許し」とは異なる概念で貫かれていて、そこにこそ「神話たる核」みたいなものがあると KiKi は感じていたりもするのですが・・・・・・。  アマテラスやスサノオの世界(照日王と月代王のモデル?)の物語ももっとおどろおどろしているものだと思うんだけど、なんとなく毒気が抜かれていると言うか、なんと言うか・・・・・。

これが児童書の限界なのかと思わないでもないけれど、このあたりのオブラートに包んだ様な「甘さ」は「親しみやすさ」とは仲良しかもしれないけれど、「厳しさ」とは無縁な感じがして正直なところちょっぴり複雑です。  

でも、そこそこ楽しむことができたのは事実なので、この勾玉三部作はきちんと制覇したいと思っています。

もっとも・・・・・・

以前から図書館に予約を入れてあった本が到着したとの通知が来てしまったので、しばらくは荻原作品から離れなくちゃいけないんですけどね ^^;

 

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2010年5月18日 15:13に書いたブログ記事です。

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