水辺にて 梨木香歩

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今日の読了本も図書館本です。  この表紙(↓)、素敵ですよね~。  これは川の風景なんでしょうか?  KiKi には湖の風景に見えるんだけど、こういう「幽玄」という言葉が似合いそうな景観は KiKi の大好物!  期待を抱えて読み始めたところ案の定、あっという間に読了してしまいました。  

水辺にて
著:梨木香歩  筑摩書房

41WCBSC29JL__SL500_AA300_.jpeg  (Amazon)

生命は儚い、けれどしたたかだ-。  川のにおい、風のそよぎ、木々や生き物の息づかい。  カヤックで漕ぎだす、豊かで孤独な宇宙。  そこは物語の予感に満ちている。  『Webちくま』連載に書き下ろしを加えて単行本化。  (Amazon より転載)

梨木さんの作品は現段階ではこの本を含めてまだ4冊しか読んでいないんだけど、物の見方、感じ方、そしてそれを表現する際の言葉の選び方にものすご~く親しいものを感じます。  上橋さんの作品に関しては「参った!」っていう言葉が相応しかったような気がするんだけど、梨木さんの作品に関しては今のところ「参った!」という言葉よりは、「うんうん、わかるわかる。  あ、やっぱり?  あ、そうそう、KiKi には見つけられなかった言葉だけどそれよ、それ!」っていう言葉が似合うと言うか・・・・・・。

で、梨木さんのエッセイを今回初読みしてみたわけだけど、何となく、何となく・・・・・ではあるんだけど、ある種の共通項・・・・みたいなものを見つけたような気がします。  まず第一に同世代だということ。  つまり同じような子供時代体験をしてきているんだろうなぁ・・・と。  そして同じようにイギリス文学に憧れて、イギリスにも滞在(梨木さんの方が長いし、きっちり学んでいらしてるから「同じように」という言葉は相応しくないかもしれないけれど)してみた人だということ。  観光地よりもそこから外れたちょっと寂しいような、厳しいような世界に何故か惹かれる体質(?)の持ち主だということ。  大胆なようでいてその実臆病なところ。  そして現在の文明社会・・・・というか都市型生活を否定こそしていないけれど、そこから逃げたい衝動を持っていそうな人だということ。  そしてそんな経験を通じて「老い」に足を踏み入れつつある同じような老成経験(?)をしている人・・・・・のような気がするんですよね~。  

 

例えば・・・・・恐らく梨木さんという方は遊園地とかテーマパークみたいなところは、興味がないわけじゃないけれど好んでは行かない方だろうなと思うのです。  誰かに誘われて、何となく「まぁ、行ってみてもいいか・・・・」とさえ思えないほどは「嫌い」なわけじゃないけれど、同じくらいの比重で「まぁ、行かなくてもいいか・・・・」と思っちゃうような人。  だから決して1人で動けない人ではないけれど、「1人ででも行きたい」と思える場所に遊園地やテーマパークは入らない人。  でも逆に、木がうっそうと茂った観光地化されていない山道みたいな所だったら、1人であっても「この先に何があるんだろう??」と期待に胸膨らませて足を踏み入れられずにはいられない人。  

そして、「考えるともなく考える」ことが日常化されている人なんだろうなぁとも思います。  結論が出るまでとことん考えるわけでもないんだけど、ぼや~っと常に何かを考えていて、その何かが1週間後だったり1ヵ月後だったり、1年後ぐらいに何かの弾みでふっと蘇ってきて(しかもそれは必ずしも似たようなパターンの体験に呼び覚まされるわけでもなく)、そのときに「あれ?  これって前にも考えたことがあるなぁ。  あれはいつだったっけ??  これこれこういう風に考えたような気がする。  そうそう、あれは○○の時だ!  あ、でもあの時はこう思ったけれど、あれってちょっと違っていたかも・・・・・。」みたいな思考をする人なんじゃないかなぁと。

ま、これ(↑)って、はっきり言って KiKi のある一面をダラダラと書いてみただけなんだけど、彼女のこのエッセイを読むと、梨木さんもまさに「こんな人なんだろうな」っていう感じがするんですよね~(笑)

梨木さんの「カヤック」という趣味。  彼女自身が

人生の幾つもの伏線に由来する、湖、河川、海を含む水辺に対する憧れが、潜伏して発病するのを待っているウィルスのように深く私の体内に息づいていたから、ふとしたことでカヤックに触れたとき、ああ、もう、これは、相当のエネルギーを注ぐ羽目になる、と覚悟した。

と仰っているけれど、この気持ち、何となく KiKi にはわかるような気がするんですよね。  同じ水系であったとしても、「豪華客船クルージング」ではなく、「モーターボート」や「ジェットスキー」でもなく、「トローリング」でもなく、「足こぎ二人乗り白鳥ボート」でもない、「カヤック」でなければならなかった理由・・・・・・それがある・・・・・と。

それはそこに「人の手」が感じられるから・・・・・であり、大きな自然とちっぽけな個の「対決 兼 共存」が感じられるから・・・・・・であり、自然の奏でる音にわずかに被るのはチャプチャプという極めて微細な音のみで、それがイマジネーションを広げるBGMには最適だから・・・・・・であり・・・・・・。  

「決して自然をねじ伏せたわけではないちっぽけな人間」、「そのちっぽけな人間という種の中のさらにちっぽけな個人」という感覚はある時期から KiKi も事ある毎に「感じていたい」己を律するための1つの核になるべき感性だと思っているんだけど、恐らく梨木さんもそういうことを感じていたい人なんだろうなぁ・・・・・と思うのです。

笑ってしまったのは「水辺の境界線」というエッセイの中で梨木さんが遭難の恐怖と戦っているシーンが描かれているんだけど、その中で

私にはいつも、これほどの歓びを得たのだから、これほど美しいものを見たのだから、いつかそのつけが回ってきても仕方がない、という、諦めのようなものがあった。  だから悔いもしない。  

その暗い水の面を見たとき、ぼんやりと、こういう死に方をするのは、とても私らしいのかも知れない、と、どこかでひどく納得できる感じがした。  昔から、こういうものに惹かれていた。  怖いくせに。

というくだりがあるんだけど、これって KiKi がよく口先だけで言っている「理想の死に方は野垂れ死に」という言葉、その「野垂れ死に」のある種の理想的なパターンなんですよね~。  つまり、KiKi も梨木さん同様、「それでも生き延びたい」という反発する気持ちを自分の中で滾らせはするんだけど、でも、もしも万が一の時には多分納得しちゃうような気がするんですよね~(笑)。

ま、てなことを言ってみても、多分・・・・・梨木さんも KiKi も「憎まれっ子、世に憚る」のパターンで結構逞しく(と言うよりは本質的には臆病者ゆえの用心深さにより)生き残っちゃうタイプだろうとは思うんですけどね ^^;  いずれにしろ、このエッセイを読んで一入、彼女の作品とはこれからもしばらくお付き合いしていきたいなぁという気持ちを新たにしました。

 

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2010年5月22日 16:17に書いたブログ記事です。

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