万葉集入門 鈴木日出男

| コメント(0) | トラックバック(0)

先週末からこの週末まで、KiKi はお仕事の関係で静岡県の方にちょっくらお出かけしたついで(?)に実家へ里帰りをしていました。  お仕事がらみのお出かけだったために、PCを抱えて・・・・ということになってしまったため、荷物を少しでも軽くするために、比較的持ち歩きに便利な本を携えていきました。  ま、てなわけで、本日の KiKi の読了本はこちらです。

万葉集入門
著:鈴木日出男  岩波ジュニア新書

51S40XEERTL__SL500_AA300_.jpg (Amazon)

春過ぎて夏来るらし白たへの衣干したり天の香具山 ― 『万葉集』の歌の作り手は、天皇皇族から庶民までの広きにわたります。  彼らは何を見、感じ、どう表現したのか。  その歌々が今も私たちの心を魅了しつづけるのはなぜか。  代表的な名歌を解釈しながら、日本最古の歌集の奥行きある世界を旅します。  (新書本裏表紙より転載)

この本はね、KiKi がLothlórien_山小舎に居を構えて以来、いつかは読んでみたいと思っていた本の1冊です。  「Lothlórien_山小舎」と「万葉集」。  その接点がどこにあるかっていうとね、日本最古のこの歌集には「東歌」というジャンルがあるんですよね~。  「東歌」というのは万葉集の巻十四の一巻に収められていて、238首あるんだけど、そのすべてが作者不明。  まあ、このこと自体は万葉集の全歌数のほぼ半数が作者不詳であることから、不思議でもなんでもないんだけど、その東歌のうち、国が銘記された歌が95首あって、そのなかで最も多いのが上野国(現在のほぼ群馬県)の26首。  以下、相模(現在のほぼ神奈川県)16首、常陸(現在のほぼ茨城県)12首、武蔵(現在のほぼ埼玉県 & 東京都)10首となっていて、上野国が際立っているんですよ。  現在の埼玉 & 東京の歌の2.5倍強!!  これはこれから群馬県人になるかもしれない KiKi にとっては結構キャッチーな情報だったんですよね。

このことを知った時から、KiKi の万葉集に対する興味は右肩上がりに急上昇(笑)。  で、そうこうしているうちに Podcast で「NipponArchives 万葉集」な~んていうのも見つけちゃったし、俄かに万葉集が身近なものになってきちゃったんですよね~。  

 

この本の構成はざっと以下のようになっています。

1. 「万葉集」とは何か
2. 恋の歌 - こころの映像
3. 初期万葉 - 宮廷文化の華
4. 万葉第二期 - 「大君は神にしませば」
5. 柿本人麻呂 - 雄大なる抒情
6. 都と鄙 - 自然へのまなざし
7. 山部赤人 - 叙景の達人
8. 大伴旅人 - 美と悲哀の歌人
9. 山上憶良 - 「子等を思ふ歌」
10. 高橋虫麻呂 - 人間の根源をみつめて
11. 女歌 - 内省のめばえ
12. 大伴家持 - 孤高の大歌人
13. 東国の歌 - ひろがる歌のすそ野
おわりに - ふたたび「万葉集」とは何か

まあ、KiKi が一番読みたかったのは 13. 東国の歌 だったんだけど(^^;)、そこは我慢して最初からじっくりと読み始めました。  万葉集に触れるのは高校時代の「古文」の授業以来・・・・・だったような気がしないでもなく、日本語にも関わらず久々の古文独特の調子にはなかなか馴染めず、さっと読んですぐに意味のわかる歌は半分くらいしかなかったんだけど、それでも何だか楽しく読むことができたのは、著者の歯切れのよい解説のおかげ・・・・だったと思います。

柿本人麻呂、山部赤人、大伴旅人、山上憶良、大伴家持あたりは記憶にある人名だったけれど、高橋虫麻呂という名前はこの本で初めて知った人でした。  でもこの人の詠む歌(伝説歌というジャンルになるらしい)で浮き彫りにされる伝説の登場人物の生きざま、人間味みたいなものには「わかる、わからない(理解できる、共感できる)」を超えて、ちょっとした身震いみたいなものを感じました。

一番期待していた13章は正直なところちょっと呆気なかったんだけど(KiKi としてはどうして万葉集にあんなにも多くの上野国の歌があるのかを知りたかったんだけど、そのことには触れていない)、その代わり・・・・と言っては何だけど6章の都と鄙にはちょっとした発見(?)がありました。

それはね、「平城京への遷都」がもたらしたものに関する記述です。  曰く、平城京は中央集権的な律令国家としての機能を高めるべく、唐の長安の都制を模倣し、その住人達はほとんど農業生活から離れて消費生活を営み、その生活様式は想像以上に都会的だったということ。  そのような都市化の風潮から、「都と鄙」という二分化が始まったと言うこと。  都市化によって自然と人間とが分断されると、人間はやがて自然を「観照の対象」とするようになるということ。  これって現代まで脈々と続いている現象ですよね~。

よくよく考えてみれば、これって容易に想像できたはずのこと・・・・ではあったんだけど、何となく KiKi の潜在意識の中では万葉人の自然感っていうのはもっと自然と人間が密接だった時代の名残のようなものがあるように錯覚していたところがあって、「あの頃の人間の方が人間らしかったんじゃないか?」みたいに思っていたようなところがあるんだけど、実は、今の都会人間と大同小異。  これって結構新鮮な驚きでした。

いずれにしろ、「万葉集って実際のところどんなもの?」という KiKi の興味は結構満たしてくれる本だったので、入門書としてはオススメできる1冊だと思いました。  もっとも、これ1冊ではまだまだ万葉集のことはよくわからないというのが KiKi の実感なんですけどね(笑)。  これからも少しずつ万葉集には親しんでいきたいなぁ・・・・・・と思って、思わず買っちゃったのが講談社文庫の「全訳注 原文付」の4冊 & 別冊の「万葉集事典」なんだけど、こちらはページを開いただけでクラクラしてきてしまいました。  う~ん、これはこの本に続くもうちょっととっつきやすい別の本を探さなくては・・・・・。

 

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://poco-a-poco.chu.jp/mt/mt-tb.cgi/632

コメントする

2015年2月

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28

Current Moon

CURRENT MOON

東京のお天気


山小舎のお天気


Booklog



ブクログ

アーカイブ

ウェブページ

Powered by Movable Type 4.261

TrackbackPeople

クラシック・ピープルの Trackback People Site


チェロ ラヴァーズの Trackback People Site


Piano~ぴあの Trackback People Site


ピアノオススメ教本の Trackback People Site


ピアノ教室の Trackback People Site


Book Love Peopleの Trackback People Site


本好きPeople・ぴーぷるの Trackback People Site


今日読んだ本の Trackback People Site


ファンタジーが好き♪の Trackback People Site


この絵本がすごい!の Tackback People Site


児童書大好き♪の Trackback People Site


ハヤカワepi文庫の Trackback People Site


岩波少年文庫応援団の Trackback People Site


薪ストーブの Trackback People Site


週末は田舎暮らしの Trackback People Site


野菜育てPeopleの Trackback People Site


ガーデニングの Trackback People Site


パッチワークキルトの Trackback People Site


あなたの訪問は?


日めくりカレンダー


Real Time News


カテゴリ

ノルンはいくつ?

本が好き!


読書メーター

KiKiさんの読書メーター
KiKiさんの読書メーター

最近読んだ本

KiKiの最近読んだ本

今読んでいる本

KiKiの今読んでる本

読了目標





今やってるゲーム

KiKiの今やってるゲーム

このブログ記事について

このページは、KiKi (Brunnhilde)が2010年6月13日 23:05に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「文化人類学入門 祖父江孝男」です。

次のブログ記事は「「創造的である」ということ(上) - 農の営みから 内山節」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

高速運賃





Edita

ブロガー(ブログ)交流空間 エディタコミュニティ

名言黒板


作家別タグ