沼地のある森を抜けて 梨木香歩

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KiKi はね、子供時代、自分の家の食事に物足りなさを感じていました。  お皿の数(おかずの量)が少なかったわけではありません。  店屋物が多かったわけでもありません。  逆に KiKi の実家では外食というのが異例中の異例の出来事で、うなぎとお寿司以外で外で食事をするな~んていうことがあったらその日もしくは翌日のお天気を本気で心配してしまう・・・・・それほどまでに外食ということをしたことがなかったのです。  じゃあ何に物足りなさを感じていたのか??  それは食卓の色でした。  スーパーに行けば今よりはまだまだ少なかったもののそれでもとてもカラフルなお野菜の並んでいる時代に育っていたのに、KiKi の家では生野菜が食卓に並ぶことはありませんでした。  卵料理もさほど頻度高く並ぶことはなく、一番多かった献立は「ごはん & 味噌汁 & 煮魚 or 焼き魚 & 野菜の煮物 & ぬか漬け」というセットでした。  これって味とか栄養という点では何ら問題のない(逆に健康的なぐらい)献立なんですけど、食卓の上の色が茶色系に統一されちゃうんですよね~。

KiKi は大学生活から自炊を始めました。  最初の2ヶ月はそれこそ有頂天になって「今日からカラフルな食卓にするんだ!」と勢い込んでいました。  毎日彩りをあれこれ考えながらサラダを作り、ヨーグルトのソースもあれこれ試し、わざわざミキサーまで買い込んでとにかく「カラフルな食卓」を目指して奮闘しました。  ところが・・・・・です。  長年飼い馴らされてきた胃袋というのはなかなか自己主張が激しいもので、たった1ヵ月半で KiKi の「カラフルな食卓プロジェクト」は潰えました。  食べつけない生野菜には「うさぎじゃないんだから・・・・」とうんざりし、お醤油の香りが恋しくなり、干ししいたけを戻す香り、切り干し大根の匂い、大豆の歯ごたえ、そしてぬか漬けの味に渇望し、ふと気がついた時には KiKi のアパートの食卓のメインカラーも茶色系に取って代わられました ^^;

ま、てなわけで(ってこの本の内容をご存じない方にはどんなわけでなのか、さっぱり見当もつかないでしょうけれど 苦笑)本日のKiKi の読了本は「ぬか漬けつながり」のこちらです。

沼地のある森を抜けて
著:梨木香歩  新潮文庫

 

41ZosqzhqxL__SL500_AA300_.jpeg (Amazon)

はじまりは、「ぬかどこ」だった。  先祖伝来のぬか床が、うめくのだ―  「ぬかどこ」に由来する奇妙な出来事に導かれ、久美は故郷の島、森の沼地へと進み入る。  そこで何が起きたのか。  濃厚な緑の気息。  厚い苔に覆われ寄生植物が繁茂する生命みなぎる森。  久美が感じた命の秘密とは。  光のように生まれ来る、すべての命に仕込まれた可能性への夢。  連綿と続く命の繋がりを伝える長編小説。  (文庫本裏表紙より転載)

う~ん、この物語は KiKi にとってはかなりビミョーです。  恐らく梨木さんがこの物語で語りたかったことは「ぐるりのこと」のそこかしこで匂わしていらした、生命の神秘と命をつないでいくということに対する1つの視座みたいなものなんだろうと思うんですよね。  そしてそこに絡めて生命の連鎖という我々個々人がどうこうできるわけではないストリームの中での「個」、「個体」とは何か? ということに対するこれまた1つの視座みたいなもの・・・・・。  それは漠然とは感じられるんですよ。  でもね、何もそこに「ぬかどこ」が出てこなくたって・・・・・・・(ため息)

家宝とまで呼ばれる「ぬかどこ」を相続した久美がぬかどこの世話を始めるあたりまでは、かなりゆったりした気分で読み進めることができたんです。  でも、そのぬかどこの中にある日突然卵ができちゃったり、その卵から男の子やのっべらぼうの女の人が出てくるあたりから、何となく気分はホラー調へ・・・・・(実は KiKi はホラーというジャンルが苦手なのです ^^;)  そしてそのぬかどこがどこかの島の泥からできているとか、そのあたりでほぼ精神的にはギブアップ・・・・・。  (いえ、一応、読了はしましたけれど・・・・・)  

さらには、メインの物語の間々に挟まれている「かつて風に靡く白銀の草原があったシマの話」I~III がこれまた難解で・・・・・。  いえね、これ単独で読む分にはちょっとした「異世界ファンタジー」って言う感じで興味深いんだけど、間々に挟まれているだけにどう読んだらいいのかわからない・・・・と言うか。  まあ、恐らくは久美の一族の出てきたシマ、沼地を人間目線ではなく、別の目線で見たときの風景・・・・・のようなものなんだろうとは思うのですが、要するによくわからない・・・・・ ^^;   

 

まあ、途中から若干精神的にギブアップした感じで読み進めていたために尚更 KiKi には伝わってこなかったものも多いような気がしないでもないのですけど、どうしても拘ってしまうのですよ。  「何でぬかどこなんだ??」  「ぬかどこにこんな摩訶不思議な扱いをしないで欲しかった・・・・・」 とね。

KiKi はね、大学生活スタートの2ヵ月後から、結局カラフルな食卓は「自分には縁が薄いもの」と諦め、「茶色の食卓こそ私の食卓」と目覚めた(?)人間です。  だから・・・・・というわけではないけれど、3ヵ月後には「やっぱりぬか漬けは必需品でしょ!」とぬかどこを作り始めたんですよね~。  ところが、ぬかどこっていうやつはちょっと見、単なる「モノ」みたいに見えなくもないんだけど、生きているんですよね。  で、結構な甘えん坊。  毎日毎日ちゃんとかき混ぜて、ご機嫌伺いをして、ぬかどこのご機嫌によってはぬかを足したり、塩を足したり、水を抜いたり、芥子を混ぜたりと結構手がかかるのです。

大学時代の KiKi は夏休みの帰省後にダメにして、冬休みの帰省後にダメにして、春休みの帰省後にダメにしてを繰り返していました。  社会人になってからは徹夜や深夜残業が続くとダメにして、長期出張があるとダメにして・・・・・の繰り返し。  何年か前にこのぬかどこを見つけてからはようやくダメにすることがなくなったんだけど、まあようするに、もう○十年というもの、日々ぬかどこに手を突っ込んでかき混ぜている人間なんですよ。  そんな KiKi にとっていくら物語の世界・・・・・とは言え、そのぬかどこからうじゃうじゃと何か(というよりは人間もどき)が出てくるな~んていうのはホラーもホラー、ぞっとしてしまうのです。  正直、この物語を読んでいる間、KiKi はぬかどこを弄るのが何となくイヤで、かなり手抜きをしてしまっていたことを白状しておきます。

ま、そんなこんなで「楽しめた・・・・・とは言えない作品」になってしまったのがとても残念です。  テーマは多分 KiKi も好きな系統のテーマで、お料理の仕方によっては KiKi の大好物の1つになっただろうなぁとは思われるのですが、結果的にはKiKi には消化不良で再チャレンジするにしても、よほどの覚悟をしたうえでないと結構難しそうです。

     

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2010年7月18日 14:17に書いたブログ記事です。

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