ハゲタカ 真山仁

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先日、ドラマ & 映画の「ハゲタカ」を鑑賞し、これはぜひ原作本を読んでみたいと思いました。  幸いなことに文庫本化されていたし、最近の KiKi のお気に入りの E-Bookoff でお手ごろ価格で入手することができた(ついでに、これを購入すると配送料無料になる金額に到達できた! 笑)ので、早速購入してみました。  ま、てなわけで本日の KiKi の読了本はこちらです。

ハゲタカ (上)(下)
著:真山仁  講談社文庫

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ニューヨークの投資ファンド運営会社社長・鷲津政彦は、バブル崩壊後、不景気に苦しむ日本に戻り、瀕死状態の企業を次々と買収する。  敵対するファンドによる妨害や、買収先の社員からの反発を受けながらも、鷲津は斬新な再プランを披露し、業績を上げていく。  企業買収、再生の真実を克明に描いた問題作。  (文庫本上巻裏表紙より転載)

企業再生が軌道に乗りはじめた頃、鷲津政彦は元銀行員・芝野健夫、老舗ホテルオーナーの娘・松平貴子と偶然出会う。  二人と接触を重ねるたびに、鷲津の過去が明らかになっていく。  そこに潜むある事件とは?  そしてニューヨークから日本に戻った鷲津の真意が判明した瞬間、驚愕のクライマックスが訪れる。  (文庫本下巻裏表紙より転載)

ドラマにしろ、この小説にしろ、「このど阿呆な国、全部買うてしもたるわ」「腐った日本を買い叩く」というある意味ショッキングなフレーズと、死肉を貪る「ハゲタカ」というイメージが強烈で、そこに善悪みたいな一見わかりやすくその実メチャクチャややこしい、日本人の好きな感情論が入り込む余地があるオハナシっていう感じがします。  又、Amazon のどなたかの書評に

みんな出来ればより安価なコストでそういう世界(億単位の金を動かして債権を買ったり、会社を買ったりというような世界)を知りたい、もっと言えば、誰か教えて、って思ってるわけです。

外資だ「ハゲタカ」だっていうけど、結局何なの?  彼らは何をやってるの?  どうやって儲けてるの?   彼らの目的は何なの?

そういった期待にいかに応えるか。  本書が目指しているのはそこです。  そして本書は実に適格にそれに応えている。   それはまさに元新聞記者の嗅覚のなせる業と言えるでしょう。

というものがありましたが、このコメントはホント言いえて妙だと感じます。  バブル崩壊後の様々な買収劇の中で「外資バッシング」みたいなことがあったことも懐かしく思い出されます。  あの頃 KiKi は思ったものでした。  この国は江戸時代からまったく変わらないメンタリティを持ち続けているんだろうか?  いや、なまじ中途半端に民主主義だの、資本主義だのを受け入れているだけに、事はもっと厄介だなぁ・・・・・と。  

KiKi は長く外資系の会社に在籍し、いわゆる「グローバル・スタンダード」というヤツの洗礼を受け、「国際会計基準」な~んていうものが出てくる前から、US GAAP ベースの会計に慣れ親しんでいたし、ファンド会社ではないけれど企業の M&A なんかにも関わる仕事をしてきたということもあって、鷲津さんたちの仕事のいわゆる「ロジック」に関しては嫌悪感やえげつなさを感じるよりも、ある種の共感みたいなものを覚えてしまうようなところがあります。

  

KiKi はね、以前にもこのエントリーに書いたように、学生時代に「ウォール街」という映画を観るまでは、お金というものに対してとてもダーティなイメージを勝手に描き「金、金、金と金のことばかり考える人間にはなりたくない」と強く思っていました。  だからこそ、芸術だとか文学といった、一見「金儲け」からはもっとも遠いと思われる世界を志向し、大学でも「英文学」な~んていう凡そ「金儲けとは一線を画しているかに見える世界」に埋没していました。  それが自分の中の「正義」を貫く道であると、頑なに信じていました。

でも、あの映画で、M.ダグラスの「欲は善です。」というセリフにショックを受け、「金について考えること」から逃げているだけの自分に気づき、「金儲け≒悪」と信じ込んでいるけれど実は資本主義の社会で生活している自分の矛盾に気づき、「金儲けの正義」とは何かとか、「金の使い方の正義」とか、そういうものを考える必要があるような気分になっていきました。

まあ、KiKi が落ちこぼれ会計人になるまでには、その後様々な紆余曲折があったのですが、そこは冗長になりすぎるから省略して、「金儲け」について「資本主義」について学ぶためには、会計や経営の知識がない限り難しいだろう・・・・ということで、会計人の道を選び、たまたま大学での専攻が「英文学」だったために「英語を使える職場環境」を求めたことにより、外資系の会計部門への道が開けました。

そこで学んだ「企業価値」という概念、「DCF (Discount Cash Flow; ディスカウント・キャッシュ・フロー)」という考え方、「IRR (Internal Rate of Return; 内部利益率)」という指標、それらのすべてが持つ数値的合理性に舌を巻きました。  こういう目線を持っているのと、「護送船団方式」の日本とでは真の意味での「資本主義経済」での勝負はとっくについている・・・・・・。  そんなことを考えたものでした。

当時の KiKi はまだまだ若くて野心もパワーもたっぷりあったので、日本的な「年功序列制」も「終身雇用制」も、すべてが堕落の温床だと感じていました。  経済合理性から遠く離れた日本の経済界・・・・・。  そんな風に感じていた時期もありました。  まあ、今では当時感じていたこととは別のことも感じるようになっているのですが、それはさておき・・・・(笑)。

この物語で鷲津のターゲットになっているのは、放漫経営を行い、自分たちの利益(それも莫大な)だけを追求している同族会社の経営者一族であるかのように読めなくもないけれど、実は鷲津たちがターゲットにしているのはそんな一部の経営者だけではなく、資本主義社会のウワズミだけをすすって、そこそこの裕福さを満喫しようとしている私たちすべての日本人であることに気がつく必要があると思います。  もちろん、外資ファンドはそんな「そこそこの裕福さ」の一般庶民なんかは相手にしていません。  でも、バブル崩壊直後の日本がハゲタカのターゲットになったのは決して経営者だけの責任ではなかったことを忘れて、一部の経営者や政治家、金融機関に責任を被せて「自分たちは被害者である」という顔ばかりをしていては、歴史は何度もくり返すことになるのではないかという危惧を持たずにはいられません。

サラリーマンという呼称を平気で使う日本人のメンタリティ。  そして、その「サラリーマン層」の厚さ。  そこにこそ、ハゲタカの嗅覚を刺激する「獲物の匂い」の根っこがあることを思わずにはいられません。   

 

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2010年8月24日 23:23に書いたブログ記事です。

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