おとうさんとぼく (1)&(2) e.o.プラウエン

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KiKi が「岩波少年文庫は侮れないぁ」と思うのは、素晴らしい文学作品を多く含んでいることはもちろんですが、こういう作品までとりあげているところなんですよね~。  なんせこの作品、漫画なんですから!!  セリフ抜きの 2~9コマ漫画で、風刺が効いているうえに上質のユーモアに溢れた作品なんです。  ま、てなわけで本日の KiKi の読了本はこちらです。

おとうさんとぼく (1)&(2)
著:e.o.プラウエン 訳:上田真而子  岩波少年文庫

2010_Sep01_005.JPGのサムネール画像
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ちょっとふとりぎみの「おとうさん」、人がよくて、少し子どもっぽくて、それでいて人情味ゆたか。  おかっぱ頭の「ぼく」、いたずらやけんかが好きな男の子。  この名コンビがくりひろげる日常生活の諸相を、愛情をこめて、単純明快な線で描き、たちまちベストセラーになったドイツ生まれのコママンガの古典。  (文庫本扉より転載)

これは本当に楽しい漫画だと思うんですよね。  どことなく「おとうさん」が「サザエさんちの波平さん」に似ているんですよ。  波平さんから「父親の威厳」をごっそりそげ落として、お茶目なところだけを残したらこうなるんじゃないかっていうような雰囲気なんです。  で、「ぼく」は「カツオ君」をもっと幼くして、ついでに「現代っ子ぽい計算高さ」をごっそりそげ落として、「やんちゃさ」だけを際立たせるとこうなるんじゃないかっていうような雰囲気です。

でもね、1巻の巻末にある上田真而子さんの解説を読むと、この著者の e.o. プラウエンという人の壮絶な人生に言葉を失うのと共に、ナチス支配下のドイツでそのナチスに睨まれつつも、これだけ愉快な作品を描いた著者の精神力と人間性に頭を下げざるをえないような気分になります。  もっとも、KiKi はそんなことを斟酌しながら読むべき本ではないような気がするし、純粋にこの普遍的なクスッと笑える人情話に身を委ねて、楽しませてもらうべき作品のような気がします。

読者が子どもであればきっと「ぼく」に感情移入して、「ああ、こんなお父さんだったらいいのに!」と羨ましく思うんだろうし、大人であればきっと「おとうさん」に感情移入して、「こんな風に童心に帰って子どもと遊べたら愉しいだろうなぁ。  でも、大人の分別が邪魔してこうはできないけれど・・・・・」と思うのと同時に、とは言いつつも、自分の子どもとの触れ合い方を思わず省みちゃうんじゃないかしら(笑) 

因みにこの岩波文庫版は言わずと知れた(KiKi が写真を撮っているところからもわかるように)絶版状態なんですけど、青萠堂というところが「ヒゲ父さんシリーズ」ということで3冊組で出版しているようです。

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是非是非読んでいただきたい作品なんですよね~。  因みに著者はゲシュタポに捕らえられ、捉えられる前には「3人組のエーリヒ(エーリヒ・ケストナー、エーリヒ・クナウフ、エーリヒ・オーザー≒ e.o. プラウエン)」としてナチスのお尋ね者で、そんな仲間のエーリヒ・クナウフの釈放を上申する遺書を残して自殺してしまったとのこと。  (残念ながら、その相手、エーリヒ・クナウフはナチスにより処刑)  で、その際に妻にも遺書を残しているのですが、その中に

クリスチアン(愛する息子)を人間に育ててくれ・・・・・

と書いてあったとか。  う~ん、彼がイメージする「人間」っていうのはこの「おとうさんとぼく」の2人のように、必ずしも理想的ではないかもしれないけれど、どこか不器用で、でも相手を大切にして、日々の生活を目いっぱい楽しむ存在・・・・・だったのでしょうね。  「ぼく」の遊びや本に「ぼく」より夢中になっちゃったり、「ぼく」の宿題を手伝ったら間違いだらけで先生に叱られちゃったり、「ぼく」を叱るためにおしりぺんぺんをしようとしたら、ついついズボンのほつれに気がつちゃって、それが気になっちゃって、まずは繕い物に没頭しちゃったり・・・・・というような微笑ましい小市民的な存在。  かっこよさとかスタイリッシュとはちょっと相性がよろしくないような存在。  絶対に英雄にはなれそうもないし、その手の野心からは程遠いところで生きているような、そんな存在・・・・・。 

最後の漫画がタイトルもズバリ「おわかれ」で、あんなにも楽しませてくれた「お父さん」と「ぼく」が長い道をず~っとどこまでもどこまでも歩いていって、最後は空に向かう道へ踏み出して、月へ行っちゃって、お月様が「おとうさん」の顔になって幕・・・・・というものなんだけど、どうして作者は2人を旅立たせなくちゃならなくて、どうしてその行き先が月だったんだろう??  

最後の最後にちょっとした謎かけをされちゃったような気分です。   

   

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2010年9月 2日 06:14に書いたブログ記事です。

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