クオレ アミーチス

| コメント(0) | トラックバック(0)

今日も現在絶版中の岩波少年文庫です。  KiKi が小学生の頃には「道徳の時間」にこの本の中の物語がテキストになったことがあったように記憶しています。  そんな記憶があるだけに、今回も「何となく説教臭いお話だなぁ・・・・・」と思ってしまうかもしれないという危惧を抱きつつ、この本を手に取ってみました。  ま、てなわけで、本日の KiKi の読了本はこちらです。

クオレ
著:E.D.アミーチス 訳:前田晃  岩波少年文庫

2010_Sep07_001.JPG (Amazon) (Amazon)

小学4年の純真な少年エンリーコの日記に、「母をたずねて三千里」「フィレンツェの少年筆耕」「難破船」などの話や、父母の真情あふれる手紙を添えた、愛の物語。  百年間にわたって、子供たちに友情と正義とを訴えつづけてきたイタリアの名作。  (文庫本扉より転載)

う~ん、いい話だぁ!  確かに説教臭いと言えば説教臭いし、現代感覚からすると冗長に感じられるところもないわけじゃないけれど、それでもこの本の説教は KiKi には鼻につかないんですよね~。  それは根底に「人に対する尊敬」だとか「親子の間に流れる愛情(それもベタベタしたものではない)」だとか「自分を育ててくれた人・国に対する感謝」だとか、ちょっと眩しすぎるけれどそれでも可能であればそういう気持ちを自分も持ちたいと思わせてくれる、人間の根源にある「社会性への指向」みたいな部分の一番ピュアな形が描かれているからなんじゃないかしら。  「国のため、家族のために尽くす」というテーマのエピソードが数多く収められていて、「愛国心が希薄だ」という自覚がある KiKi にとっては、それが鬱陶しく感じられても不思議じゃないと思うんだけど、何故かこの物語だと突っ込みも忘れて「うんうん」と頷いちゃったりして、逆に自分を恥ずかしく思っちゃったりもするんですよ(苦笑)。  

もちろんそれには大人になった今の KiKi にはイタリアという国の成り立ちに対する理解・・・・・みたいなものがあるということも大きな一因だとは思うんですけどね。  今ではオシャレなファッションと美味しいフードばかりが注目されるイタリアだけど、この国の歴史を辿ってみるとホント、波乱万丈っていう言葉がピッタリで、1880年代であってもまだまだこんなオシャレとは程遠い世界にあったんだなぁ・・・・と改めて彼の地に思いを馳せることしきりです。 

KiKi は、BS日テレの「小さな村の物語」という番組をよく観るんだけど、あの番組を観ていると「ファッションの街ミラノ」とは異なる現代イタリアの現実とでも言いましょうか、・・・・・どう表現したらいいんだろう、決して裕福とは言えないけれど、質素にそして美しく暮らしている人たちを、彼らが暮らす「小さな村」の紹介と同時に伝えてくれて、「イタメシ」だの「イタ車」だの「ブルガリ」だのを羨望の眼差しで見ている自分たちの浅はかさ・・・・みたいなものを恥じ入る気持ちになったりもするんだけど、あの「小さな村の物語」とこの「クオレ」にはどこか通じているところがあるように思うんですよね。

そしてもう1つ。  今回、この読書で感じ入ったことに物語の語り手(日記形式なので日記の書き手)であるエンリーコの通う学校に「教育の原点」みたいなものを見たような気がするんですよね。  彼の通う学校にはいわゆる「障害のある子供」や「お金持ちの子供」や「貧しい家の子供」が通っているんだけど、エンリーコはそんな学友との触れ合いの中で、「人間社会は必ずしもすべての面で平等ではない」ということや「弱者の存在」を言ってみれば「自然なこと」として受け容れています。  これって文字や文法を習ったり、計算を習ったりすること以上に(と言うと言い過ぎかなぁ。  同じくらいと言うほうが正しいかも ^^;)とても大切な教育だと思うんですよ。  

子供はある意味残酷だったりもするので、この物語の中でもとある障害のある子をみんなでからかったりいじめたりするシーンも描かれていたりもするんだけど、エンリーコの学友の中にそんないじめっ子をこらしめる「親分肌」の子供が出てきたり、そんな障害を抱えた子が必死でみんなと同じことをしようと努力する姿に最初こそ笑ったり囃し立てたりしたクラスメイトたちが、最後は声を揃えて応援して、その子がやり遂げたときには肩を叩き合いながら喜ぶシーンなんかもあったりして、「ああ、こういう時間を持つということは、子供にとってかけがえのない経験なんだなぁ」と思わずにはいられません。

現代の日本社会ってどことなくそういう弱者の世界を「見なかったことにする」ような雰囲気が漂っているように感じられたりもするし、学校ではよくわからない「平等意識」が横行して、運動会でも1等賞、2等賞をつけない・・・・とか、お遊戯では何故か主役がゾロゾロな~んていう話を聞くけれど、それってどこか歪んでいるように KiKi には感じられるんですよね~。  大体子供時代にいくら「平等」って言われて育ったって、大人になると必ずしも「誰もがすべての面で平等ではない」場面にいくつも遭遇するわけで、そこで初めてショックを受けるな~んていうのは不自然極まりないと思うのですよ。

そして、そんな時代に生きている現代の子供たちにこそ、こういう物語は読んで欲しいなぁ・・・・・と。  もっともこの本を子供たちが読むと、エンリーコやその学友たちのお父さん・お母さんと自分のお父さん・お母さんを比べて、傷ついちゃったり、悲しんだりする子供ができるリスクはあるような気がするんですけどね(苦笑)  子供の教育を学校だけに任せきらず、社会全体が一生懸命だった「古きよき時代」がこの物語の中には息づいていると思います。

 

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://poco-a-poco.chu.jp/mt/mt-tb.cgi/701

コメントする

2015年2月

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28

Current Moon

CURRENT MOON

東京のお天気


山小舎のお天気


Booklog



ブクログ

アーカイブ

ウェブページ

Powered by Movable Type 4.261

TrackbackPeople

クラシック・ピープルの Trackback People Site


チェロ ラヴァーズの Trackback People Site


Piano~ぴあの Trackback People Site


ピアノオススメ教本の Trackback People Site


ピアノ教室の Trackback People Site


Book Love Peopleの Trackback People Site


本好きPeople・ぴーぷるの Trackback People Site


今日読んだ本の Trackback People Site


ファンタジーが好き♪の Trackback People Site


この絵本がすごい!の Tackback People Site


児童書大好き♪の Trackback People Site


ハヤカワepi文庫の Trackback People Site


岩波少年文庫応援団の Trackback People Site


薪ストーブの Trackback People Site


週末は田舎暮らしの Trackback People Site


野菜育てPeopleの Trackback People Site


ガーデニングの Trackback People Site


パッチワークキルトの Trackback People Site


あなたの訪問は?


日めくりカレンダー


Real Time News


カテゴリ

ノルンはいくつ?

本が好き!


読書メーター

KiKiさんの読書メーター
KiKiさんの読書メーター

最近読んだ本

KiKiの最近読んだ本

今読んでいる本

KiKiの今読んでる本

読了目標





今やってるゲーム

KiKiの今やってるゲーム

このブログ記事について

このページは、KiKi (Brunnhilde)が2010年9月 7日 19:48に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「ひょっとしたら・・・・高速回線??」です。

次のブログ記事は「チェーザレ 破壊の創造者(1) 惣領冬実」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

高速運賃





Edita

ブロガー(ブログ)交流空間 エディタコミュニティ

名言黒板


作家別タグ