チェーザレ 破壊の創造者(6) 惣領冬実

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さて、「チェーザレ」も現在発売されている単行本としては残り2冊。  ああ、まだまだ終わって欲しくないなぁ・・・・・。  と言いつつも、こちらの Review です。

チェーザレ 破壊の創造者(6)
作:惣領冬実 監修:原基晶  講談社 モーニングKCDX

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過酷な宿命。 されど、どこまでも華麗なる天才。

広場では模擬戦の祝勝会が開かれていた。  学生時代最後の思い出に仲間と興じるチェーザレ。  その頃アンジェロは真犯人の痕跡を見つける。

夜の闇は潜伏者たちの影を隠すのか、それともかすかな月明かりが真実を照らすのか。  そして、友との間を永遠に分かつ一撃が振り下ろされた。  (単行本帯より転載)

今号で再びこの時代の庶子というのがどういう存在であったのかを思い知らされました。  考えてみると不思議ですよね~。  日本ではどちらかと言えば殿様の血を残すことに重点が置かれ、いわゆる側室を持つことが支配者階級であれば言わば常識であったのに、海の向こうでは逆に正式な婚姻を経ていない男女間に生まれた者であれば、仮にそれがそこそこの立場の人であったとしても「人としての存在そのもの」が認められないとは・・・・・・。  確かにミゲルが言うとおり「それが教義」であり、その教義をベースにした信仰生活を否定しない以上「それがお前たちが望んだ世界」と言われてしまっても仕方ない・・・・とは思うけれど、何だか複雑な気分です。

もっとも KiKi がキリスト教という宗教をどこかで胡散臭いと感じるのはまさにそういう部分なんですけどね。  「あの当時は○○だった」とか反省するのはいいとしても、やはり「愛」を語る宗教の割には「愛のなんたるか?」みたいな部分に関しては首を傾げることが多いような気がしてしかたない・・・・・とでも言いましょうか。  KiKi は別にキリスト教の信者の方々を胡散臭いとは思わないけれど、宗教として見た時、KiKi 自身は信じられないと言うか、逆に聞きたくなってしまうのですよ。  「あなた方が言う愛って何??」ってね ^^;

ま、それはさておき、例の工場の放火犯がはっきりした今号。  わかってみるとあまりにも悲しい結末でした。  フィオレンティーナの中にそんな人たちがいたこと自体は、ジョヴァンニにとっては辛い話でもまあ KiKi にとってはある種どうでもいいことなんだけど、ロベルトやドラギニャッツォがそれに手を出した動機があまりにも悲しいなぁ・・・・・と。

 

ロレンツォ・デ・メディチの命はもうそう長くはない。  そうでなくともメディチ銀行の経営が傾きつつある今、かろうじて体裁を保っているのはロレンツォ様の存在あってこそだ。  いくら閣下が枢機卿になろうともメディチの斜陽は止められない。  だから僕は見つけたのさ、新しい後ろ盾をね。  言わばこの変わり身の早さが我々庶民の特権だ。  貴族のボルジアであろうが平民のメディチであろうが、結局は権力者であることには変わりない。  搾取する側と依存する側と所詮相容れぬ人種なんだ。  だからお互い割り切って利用しあえばいいのさ。  忠誠を誓う必要などない。  

メディチの傍系とはいえ庶子の私に敵も味方もあるものか。  待遇さえ良ければ相手は誰でも良かった・・・・。  私たちはいつも利用される側、どうあがいても対等には扱われぬ。  

ドラギニャッツォは庶子だった。  平民出の庶子がキリスト教社会でどのような扱いを受けるかおまえも知っているだろう。  ロレンツォ・デ・メディチだからこそ守れたのだ。  だがそれが今まさに失われつつあるとしたら・・・・・  ドラギニャッツォにとっては今回の選択はやむなき事だったのかもしれん。

さすが、イル・マニーフィコと呼ばれた男は違いますねぇ。  こうまでも多くの人の生死・生き方に影響を与えてしまうのですから・・・・・。  で、ロベルトにしろドラギニャッツォにしろ、所謂庶民とは異なりピサ大学に学ぶエリートなわけですから、一般人ならまあせいぜいがオロオロするとか、気がつかないでも済んでしまうようなことでも、1人の人間としての独立心が強いだけにこういう選択をせざるをえないと思うようになってしまった・・・・・そこに人間の皮肉のようなものを感じます。  で、そうであればこそ、あきれるほど輝かしい経歴に包まれたチェーザレに関するミゲル評も何となく納得できてしまいます。  曰く

俺にはあれが、庶子に生まれたチェーザレの重荷を包み隠すための重く絢爛な鎧に思える時がある。

うんうん、本当にそうなんだと思う。  そしてその鎧を纏うことを周囲に納得させるために、努力を惜しまない・・・・・。  そう考えるとどことなく悲劇的でさえあります。

そして今号のもう1つの見所は、チェーザレとミゲルの出会いから幼い時代の思い出話のシーン。  古代ローマではいわゆる貴族の子弟が教育される過程で、同年代の奴隷の子供が一緒に教育され、そうやって育った主従の絆が生涯続くというのを塩野さんの著作で知ったけれど、チェーザレとミゲルもこの漫画ではまさにそのように育った・・・・・ということになっています。  なるほどねぇ。  これが創作なのか真実なのか KiKi にはわからないけれど、こうであればこその「信頼関係」がベースにある・・・・・ということであれば、後のドン・ミケロットの存在もスンナリと理解できるような気がします。  まあ、現段階の漫画の中のミゲルも後のドン・ミケロットとさして違いはないのですけどね(笑)

    

  

 

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2010年9月13日 10:33に書いたブログ記事です。

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