大きな木のような人 いせひでこ

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ずいぶん長い間絵本のエントリーを書いていません。  まあ、このブログはある意味欲張りすぎであまりにも多くのカテゴリーがあるために、「忘れた頃にやってくる」エントリーがやたらと多いんですけどね(苦笑)  たまたま普通の読書では「神曲」な~んていう長編に取り組んじゃったということもあって、今日はさらっと絵本のエントリーを書いてみることにしました。  ま、てなわけで本日の KiKi の読了本はこちらです。

大きな木のような人
作:いせひでこ  講談社

513OIcxwZML__SX230_.jpeg  (Amazon)

パリの植物園で、植物学者と少女が出会う。  少女は植物の面白さに目覚め、心に何かが芽生えたことを感じる。  雄大な植物に囲まれた、小さいけれど感動的な出会い──。

作/いせひでこさんからのメッセージ
パリには2本の樹齢400年のアカシアがある。  その一本の大樹のある物語はすでに描いた。  もう一本の樹ははじめから植物園で大切にされ、樹齢を重ねていた。  私の足が、植物園に向かうようになったのは自然のなりゆきだった。  パリの大きな植物園を訪ねては、目が追いつかないほど、四季折々の樹や花や芽を観察することになった。  そんな春のこと、私は自宅裏庭のちっちゃな一角に、生まれて初めてひまわりのタネを蒔いた。  朝、昼、夕、毎日芽が出ていないかと庭の土におでこを這わせる姿は、まるでチャペックのにわか『園芸家の一年』みたいだった。(あとがきより抜粋)

担当者のうちあけ話
カバーや帯の惹句を考えるのはふつう編集者の仕事ですが、この絵本ほど、それが難しいと感じたことはありませんでした。  とにかく何を書いても、作品を表現するには物足りない言葉のように感じてしまうのです。  それは、いせひでこという画家が、歩いて、見て、聞いて、嗅いで、触れて、感じて、そして何度も何度も考えたこと、それを筆だけでなく、全身で表現しているからだと思います。  「大きな木のような人」は、独立したひとつの作品ですが、そんな作者ですから、これまで描いてきた作品と深いつながりが生じるのは必然です。  「ルリユールおじさん」の少女ソフィーが大きくなって、植物学の研究者として登場しているのを見て、私はゾクッとしました。  (以上 Amazon より転載)

KiKi の大好きな絵本作家は基本的には2人です。  1人は「ガブリエル・バンサン」。  そしてもう1人がこの絵本の作者「いせひでこ」さんです。  どちらの絵もものすご~く丁寧で絵を見ているだけで何だかウキウキワクワクしてくるんですよね~。  で、どちらの絵も半端じゃなく雄弁なんですよ。  この本は「ルリユールおじさん」と一緒に購入してもう何度も何度も読み返しているのですが、何度手に取っても飽きるということがありません。  だいたい、KiKi がLothlórien_山小舎暮らしを始めるに当たってある種背中を押してくれたのがこの2冊の絵本だったと言っても過言ではないくらいです。

KiKi はね、昔から海よりは山の人。  可憐な花よりも木の人だったと自分では思っています。  だから落ちこぼれながらも会計人としてお仕事に邁進していた時期であっても、年に何度かの休暇では必ず森林散策をしていました。  ま、同時に海外のビーチリゾートでのんびりするということもしていたので、「海よりは山の人」と言い切るにはちょっと矛盾がなくもないのですけど・・・・・ ^^;  それでもやっぱり「リフレッシュ加減」という観点から見るとやっぱり「海外のビーチリゾート < 森林散策」だったので、まあ「海よりは山の人」と言い切ってもいいでしょう。  でね、植物、それも木は眺めているだけで飽きない人なんですよね~。  だからこそ・・・・と言うわけではないけれど、初めて書店でこの本を見たときには、その表紙の絵だけでもとにかく物凄い、半端じゃない吸引力があって、ほとんど夢遊病状態でフラフラとこの2冊を手にレジに並んでしまったものでした(苦笑)。

 

この物語。  とにかくゆったりとした時間が流れていると思うんですよね。  そして「ほどほどの距離感を持った人間関係」の素敵さをさりげなく訴えていると思うんですよ。  それは表紙の絵にも表れていて、プラタナスを背にして立つ二人の人物(植物園に出入りしている女の子「さえら」と、どっしりした存在感の植物学者の先生)の姿がホント印象的だと思うんですよ。  この2人の間に流れているもの、それは家族ほどは親密ではなく、他人ほど冷たくもなく、「ほどほどの距離感」なんだけど、通じ合うものがある者同士。  そんな風に感じられるんです。

帯に「人はみな心の中に1本の木をもっている。」とあるんだけど、木っていうのは「寄り添ったりもたれあったり」ということとは基本的には無縁な存在だと思うんですよね。  常に1人ですっくと立っている。  それが KiKi の木のイメージ。  でも、孤独なわけじゃなくて、多くの木が落とした葉が腐葉土となって養分を分け合ったり、地中の水分を分け合ったりして、生き育っていく・・・・・。  そこに KiKi はある種の理想を見るような気がするんです。

プラタナスを背にした2人は確かにプラタナスにもたれかかってはいるけれど、でもすべてを預けておんぶや抱っこをされているわけじゃない。  そして、木にはもたれかかっていてもお互いにはもたれあってはいない。  そこに人間関係の1つの理想系がある・・・・そんな風に感じるんです。  そしてこの物語ではさえら一家の帰国(?)によって、2人は離れ離れになってしまうわけだけど、植物園の先生はさえらの絵の展覧会を冬枯れの植物園で開いたり、さえらが育てたひまわりの種をフランスの子供たちに分け与えような~んていうことを考えて、離れていてもどこかで繋がっていることを暗示します。  2人が紡いだちょっとした糸がそうやってどんどん広がっていくのが何だかとっても素敵なことに思えます。

例えば日本の縄文杉。  例えば日本のどこか有名な神社にある御神木や参道に植えられた樹齢何百年という大木。  そういう大きな木を見るたびに「ああ、この木は○○が戦をしたところも、○○が幕府を作ったところも、○○が打ち首になったところも知っているんだなぁ・・・・・。」と感じ、そこにある種の永遠性(とは言え、どこかでは枯れちゃったりするわけだけど)みたいなものを感じるのも、KiKi が木を好きな理由の1つです。  そんな KiKi にとって表紙扉に書かれた短い文章も心に染み入るようでじわっと効いてきます(笑)

その木は何も語らない。  でも、たくさんの物語を知っている。

Lothlórien_山小舎は、かつて森林だったところを造成した土地にあります。  そんな中、いくつかの木はそのまま残しておいてもらっています。  もちろん人間がそこに住まい、そこで作物を育てるためには大きな木は全部切り倒してまっさらな更地にするのが一番なんだけど、ここにあった森の記憶を留める物を少しでも残しておきたかった・・・・・という想いがあったので、何本かは残してもらったんですよね~。  およそ植木屋さんが植木としては選ばないような木だったりもするんですけど、庭木としてみたときにはどうかと思わないでもないんだけど、それでも KiKi にはそれがとても大切なことのように思えたんですよね~。

この絵本は KiKi にとって折にふれ手に取りたい1冊なのです。

 

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2010年9月15日 12:24に書いたブログ記事です。

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