ドルイドの歌 O.R.メリング

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昨日読了した「妖精月の王」に引き続き、O.R.メリング作品を読了しました。  今回図書館からは「妖精月の王」「歌う石」「ドルイドの歌」の3冊を借りてきていて、日本での発刊順(「妖精王」→「石」→「ドルイド」)に読もうか、はたまた「妖精月」だけは最初に読んじゃったけれど、後は著者の発表順(「ドルイド」→「石」→「妖精王」)に読もうか、ずいぶん迷ったんですけど、最終的には著者の発表順に進んでみることにしました。  やっぱり著者の考え方というか、物語を書くことで何を伝えたいと思っているのかというようなことっていうのは著者の発表順に読んでいったほうが伝わってくるものがあるような気がするので・・・・(笑)  ま、てなわけで本日の KiKi の読了本はこちらです。

ドルイドの歌
著:O.R.メリング 訳:井辻朱美  講談社

61TND7AYF9L__SL500_AA300_.jpeg (Amazon)

ここは別の世界なんだ。  そうさ。  ピーターがぼくらを連れこんだんだ。  姉さんの言ったように魔法か何かでかもしれない。  そしてそこの世界に、なぜかぼくらは、しっくりなじんじゃったんだ。  ローズマリーとジミーは、謎の男ピーターの歌声にさそわれて古代のアイルランドへ迷いこみ、コノハトとアルスターの二つの王国による「クーリーの牛捕り」戦にまきこまれる。  アルスター最強の戦士クーフーリンとジミーの友情、コノハトの王子とローズマリーの恋...。  ドルイドのピーターに魔法で助けられながら、ふたりはロマンと冒険の世界にとびこんでいく。  (単行本扉より転載)

ケルト伝承の中ではとっても有名な「クーリーの牛捕り」に題材を得た、少女向けファンタジーという感じでしょうか?  メリングさんの作品2冊を読了して思うのは、やっぱり彼女の作品はどことなく乙女チックだなぁ・・・・ということです。  まあ幸いにして KiKi は♀なので、その乙女チックさ加減がさほど難点には感じられないんですけど、世の男性 & 少年にはちょっとついていきにくいものがあるかもしれません ^^;  とは言いつつも、この「ドルイドの歌」がバリバリ少女向けかっていうとそこもちょっとビミョーかもしれません。  昨日読了した「妖精月の王」は主人公も女の子2人だし、フェアリーランドを舞台にしたプチ・ハーレクイン的なお話だったと思うんだけど、今回の物語の大半は「戦記」という性格を持っているし、現代的な価値観からすると結構残忍というか、野蛮というか、荒々しい戦模様が描かれているので、羽の生えたティンカーベル的な妖精譚を求める少女衆にはちょっと受け容れがたい物語だと思うし・・・・・ ^^;

今回の物語ではカナダの姉弟があっちの世界と接点を持つことになるわけだけど、お姉ちゃんの関わり方は KiKi にとってはあまり興味をそそられるものがなくて(表紙にもなっているあっちの世界の王子様、メインとの燃え盛る炎越えのダンスのシーンは美しかったけれど・・・・)、どちらかというと伝説の英雄クーフーリンと友情を結んだ弟君の物語に魅せられました。

 

その弟君と友情を結ぶというプロットであるだけに、クーフーリンがとっても魅力的な青年(というより少年?)に描かれているんですよね~。  訳者の井辻さんはあとがきでこのクーフーリンのことを「ワーグナーの楽劇の中のジークフリート的」と書いていらっしゃるけれど、KiKi にとってワーグナーのジークフリートのイメージっていうのは「無鉄砲な可愛いお馬鹿さん b-hato4-b.gif」というものなので、この物語の中のクーフーリンの方が、はるかに知的で英雄然としているという印象です。  

現代のカナダの学校で KiKi の学生時代と同じようなことを学んでいる弟君(ジミー)なんだけど、その学問のほとんどが、紛れ込んでしまったこの世界ではあまり役に立たないものであるというあたりが、私たちが「進歩と呼ぶもの」であり、それはそれで幸福なことだとは思いつつも何か大切なものを置き去りにしている証左でもあるような気がして、ちょっと色々考え込んでしまいました。  例えば「地理」という学科に対するクーフーリンの態度はこんな風・・・・。

なぜ、そんなこと(いろんな場所がどこにあって、河がどう流れているか)を人から教えてもらうんだ?  そういうことは自分の目で見て、足で歩いて、知るもんじゃないか。

自分に使い道のない知識なんて、いったいどうするんだ?  それなら、自分に必要なことを知るのに時間を使ったほうがいい。

「家庭科(?)」に対する態度はこんな風・・・・・。

まさか、料理ができないなんて言わないだろうな。  あんたの世界じゃそれも教えてくれないのか?  いつもそばに女がいてくれるとは限らない。  あんたらの世界じゃ、男は料理を身につけるより、必ず女の世話になるほうがいいのか?

実際的と言えば実際的。  原始的と言えば原始的な考え方だけど、「生きる」ということがどういうことか?はこういう考え方をするほうがシンプルで分かり易い。  あまりにも概念的になると人間は「生きること」そのものを概念的に捉え始め、逆に「死」を考えなくなり、生を大切にしなかったり逆に死を忌み嫌うようになる・・・・・。  クーフーリンのセリフを読んでいて、そんなことを感じました。

 

ジミーとその姉のローズマリーがこの世界に紛れ込むきっかけとなったのは、ドルイドであり竪琴弾きでもあるピーター(もしくはパーダル)の歌に触れたことだったんだけど、このピーターの存在意味と彼による異世界から安全に帰ることができるという保証のあることが、物語全体を若干ぼやけさせているような気がしました。  そのあたりにもうひとひねりあると、もっともっと深みのある楽しい物語になったんじゃないかと思うんですけどねぇ・・・・・。  ま、とは言いつつも、ケルト伝承と現代世界を融合させた筆致にはやはり彼女独特のものがあると思うんですけどね♪

さて、次は「歌う石」です。  巨石文化には大いなる興味のある KiKi なので、この物語を読むのは今からとっても楽しみ♪ です。

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2010年10月31日 12:43に書いたブログ記事です。

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