羅生門 杜子春 芥川龍之介

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「夏目漱石 - 寺田寅彦 - 中谷宇吉郎 という師弟作品を続けて読んでみる企画」(それにしても KiKi は企画モノ好きですねぇ~。  我ながら呆れてしまう・・・・ ^^;)遂行中の KiKi ですが、漱石先生の次に選んだ作品は寺田寅彦さんの「柿の種」です。  で、これを一挙に読み進めようとしたのですが、そんな KiKi に寺田先生が仰るのです。  「なるべく心の忙(せわ)しくない、ゆっくりした余裕のある時に、一節ずつ間をおいて読んでもらいたい」・・・・・・と。  幸い、KiKi は今のところ「心が忙しくはない」んだけど、一挙に読んでしまおうという目論見は著者の思惑とはかけ離れてしまうわけで、それはちょっと申し訳ないかな・・・・・と。   ま、てなわけでとりあえず「柿の種」を1節読んだところで、一旦頁を閉じ、ならば・・・・と「内田百閒」にいってみようか、「野上弥生子」にいってみようかと色々考えてみたのですが、結果的に次に手にしたのは、やはり拘らずにはいられない「岩波少年文庫の日本文学作品」でした。  芥川龍之介も一応、「夏目漱石門下」と言えば門下だし・・・・・。  ま、てなわけで本日の KiKi の読了本はこちらです。

羅生門 杜子春
著:芥川龍之介  岩波少年文庫

51P3QXV6X0L__SL500_AA300_.jpeg (Amazon)

日本・中国の古典に題材をとった「羅生門」「杜子春」「鼻」「芋粥」をはじめ、「魔術」「トロッコ」など、人の心をするどく描いた11の短編と、生きることへの警句集「侏儒の言葉」をおさめる。  (文庫本裏表紙より転載)

いや~、こちらもホントお久しぶりの芥川作品の数々です。  芥川作品はそれこそ KiKi の小学生時代、夏休みや冬休みの宿題、読書感想文の課題本だったり、通常の学期の「○学年課題図書」なんかによくなっていて、ここに収録されているほとんどの作品を学校の課題の一環として繰り返し繰り返し読み込んだ記憶があります。  最後の数行にどことはなしに「道徳的」というか、「説教じみた」ことが書かれているのが、そういう「○○図書」に選抜された理由の1つだったんでしょうね。  子供時代からそういう「大人の好む良い子の条件」みたいなことに嗅覚の効くほうだった KiKi はよくその「読書感想文コンクール」などで、大人が喜びそうな文言を添えることによって賞状をもらったりしたものでした。  ま、実際のKiKi はそんなに素直な子でもいい子でもなかったから、大人からは見えないところでペロっと舌を出したりしていたんですけどね(苦笑)

因みにこちらに収録されている全作品は以下のとおりです。

蜘蛛の糸
魔術
杜子春
犬と笛
トロッコ
仙人
羅生門

芋粥
幻灯
蜜柑
侏儒の言葉    

この中で読んだことがなかったのは「侏儒の言葉」だけでした。  「蜘蛛の糸」に至ってはストーリーのみならず「カンダタ」という男の名前まで何故かくっきりはっきり記憶していたぐらい!(笑)  さすがに「漢字でどう書くか」までは覚えていなかったんですけどね。  昔、確かに読んだことがあるんだけど、タイトルだけ見て話のあらすじが思い出せなかったのは「魔術」。  でも、冒頭の2ページぐらいを読んでいるうちに、「ああ、あの話か!」と思い出すことができました。

 

芥川作品って短い中に、多くの美しい言葉や、人間の本性を端的に表現した言葉なんかが滲み出ているところが魅力だと思うんですよね。  ま、多くの題材を古典、というか所謂「説話文学」から構想を得ているというところから、勢いそうなってしまっているということもあると思うのですが・・・・。  この本に収録されている、「羅生門」や「鼻」、「芋粥」なんかは「今昔物語集」からだし、「杜子春」は唐代伝奇の「杜子春(伝)」からだし、ここには収録されていない、「地獄変」なんかは「宇治拾遺物語」からだし・・・・。

う~ん、何だかこうなってくると久々に「今昔物語集」や「宇治拾遺物語」も読みたくなってきたなぁ・・・。  そうそう、そういえば「杜子春(伝)」はいずれ読んでみたいと思いつつ、まだ手がけたことがなかったんだっけ・・・・・。  

それにしても・・・・・。  本当に久しぶりに「羅生門」を読んだけれど、子供時代には何だか怖くて仕方のないお話だった(荒れ果てた羅生門という情景描写と言い、薄気味悪い老婆の登場と言い、その老婆がしていることと言い)けれど、大人になった今は「怖い」というよりは「切ない」というような気分の方が大きくなっているのが不思議です。  何て言えばいいんだろう。  ある意味でこの「羅生門」を初めて読んだ頃には「見なかったことにすることができたこと」、もしくは「見ないで済むなら見ずにいられたこと」について、ここまで年齢を重ねることによって否応なく多くを「見て」「考えてきた」ことによる・・・・そんな気がするんですよね。

それは、「生きるということは実際のところは、綺麗ごとばかりじゃない」ということ。  「生きるということは案外グロテスクなことだったりする」ということ。  羅生門で死体を漁る老婆の姿しかり。  その老婆から唯一の持ち物である桧皮色の着物を奪う下人しかり。  彼らだって、ちゃんとした職があるとか、明日食べるものには困っていないとか、雨風を凌ぐ屋根があるとか、そういう「人間的」な生活を支える屋台骨さえちゃんとしていれば、あんな狼藉を働かずに済んだ、恐らくは普通の人なんだと思うんですよね。  そうであればこそ、下人に至っては「盗人になりきれず、羅生門の下で悶々としていた」わけだから・・・・。  

でも、彼を「人」として踏みとどまらせていたものを断ち切ったのが老婆の一言なわけですよ。  

これとてもやはりせねば、飢え死にをするじゃて、しかたがなくすることじゃわいの。

モノに溢れ、食べるに困らない現代人からすれば、おどろおどろしい行為であっても、人は、否、生物は生き延びるためなら、ある種の垣根を軽々と飛び越え、どんなに無様なことでもなすもの・・・・・。  そう思うと切なくなるのと同時に、そんな小説を書いた芥川が「自殺」という結末を迎えずにはいられなかった、そこには何があったのか・・・・・。  そんなことを考え、切なくなってしまうのです。  

  

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2010年10月13日 12:30に書いたブログ記事です。

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