野うさぎの冒険 B.B.

| コメント(0) | トラックバック(0)

このブログの目玉企画(?)の1つ、「岩波少年文庫全作品読破企画」も早いもので 72 冊目(上下巻組のものなどは2冊とカウント)を迎えました。  結構読み進めてきたよなぁ・・・・と思う反面、Index 頁を見ると、まだまだ先は長いなぁとため息をついたり、うんにゃ、まだまだ楽しめるとウキウキしたり・・・・・・。  最近では一旦絶版になったものが続々と復刊してきているし、先日読了した「ガラガラヘビの味」のように新刊もないわけじゃないから、最終的に全部で何冊になるのか、本当に読破することができるのかは計り知れません ^^;  ま、ライフワークの1つとしてはなかなかいい選択だったかなと自画自賛している今日この頃です。  てなわけで、本日の KiKi の読了本はこちらです。

野うさぎの冒険
著:B.B. 訳:掛川恭子  岩波少年文庫

2010_Nov11_001.JPG  (Amazon)

夏のはじめに生まれた野ウサギの子リーパスにとって、世界は危険にあふれていた。  空からはカラスやフクロウが、やぶのかげではキツネが小動物の生命をねらっている。  だが、いちばん恐ろしい敵は人間と人間がつれ歩く猟犬だ...。  リーパスがすごした、危険と冒険に満ちた最初の一年間を、愛情こめて描く。  (文庫本扉より転載)

これはかなり KiKi 好みの作品ですね~。  児童書によくあるような野生動物を擬人化した物語ではなく、うさぎはうさぎとして、鳥は鳥として、ふくろうはふくろうとして、人間は人間として描かれている物語です。  どういうことかって言うとね、要するに主人公のリーパスが喋ったり洋服を着たりすることはなく、畑仕事をしたり食事の支度をしたりすることもなく、うさぎらしく普通に野原で生活していて、時々人間の畑を荒らしたり、それゆえに狩人に狩られそうになったり、罠をしかけられたりするお話なんですよ。  で、リーパスの気持ち・・・・みたいなことは書かれているんだけど、それが野生動物の動作を見て、「何がこのうさぎを駆り立てて、故にこの動作になっている」という著者の繊細かつ暖かい観察眼によって解釈されたもので、それをみずみずしい文体で表現してくれているので、この物語を読んでいる間中、まるで自分が神様か妖精にでもなって地上で起こっているあれやこれやを静かに眺めている・・・・そんな気分にさせてくれる物語なんですよね~。

まあ、難点があるとすれば、リーパスがあまりにも運のよすぎる野うさぎだということぐらいでしょうか??  結構危ない目に何度も何度も会うリーパスなんだけど、まるで「水戸黄門」や「銭形平次」や「暴れん坊将軍」みたいに最後の方ぎりぎりで何故か生き永らえちゃう(笑)  最初に鉄砲で撃たれたときは片耳に穴が開いたものの逃げおおせるし(でも無傷じゃないところがいい!)、畑でトラクターにあわやひかれそう・・・・となるとちょうど日が沈みかけてその日の農作業が終わっちゃうし、猟犬に追われて逃げ惑ううちに電車に轢かれそう・・・・となったら30秒の差で身をかわし、代わりに猟犬が轢かれちゃって追跡劇も終わっちゃうし、リーパスの宿敵とも言うべきトムじいさん(人間)が仕掛けた罠や待ち伏せでもあわや!というところで、別の動物が餌食になって助かっちゃうし・・・・・。  まあ、どれもこれもパターンとしてはありうること・・・・なので不自然すぎるということはないし、主人公が死んじゃったらお話はそこで終わりなのでこの手のご都合主義は許容範囲ではあるんですけどね(苦笑)

 

それにしてもこの物語で描かれる自然はいいなぁ。  風景描写も美しければ、動植物の描写も素晴らしい!!  そしてそれにさらに赴きをプラスするのが、著者、B.B.が本名のD.J.ワトキンズ=ピッチフォードで添えている挿絵です。  挿絵と言っても KiKi の目にはエッチングに見えるんだけど、このモノクロの単純な線と面だけで描かれた挿絵に、B.B.が描き出す文章が加わると、KiKi の脳内ではあっという間に変化が発生するんですよ。  まずそこに色が足され、次に動きが生じ、ふと気がつくと香りまで漂ってきて、この物語で描かれる一つ一つのものすべてに生命が宿るんですよ。  ああ、こういう本が今では絶版なんて惜しい!!  本当に惜しい!!!  もう少し早くこの本に出会っていたら、KiKi は間違いなく60年記念の復刊アンケートでこの本の復刊を希望したことでしょう。  

ところで・・・・・

イギリス文学では「うさぎ」って結構特別な存在(愛すべき存在)としてよく出てくるんですよね~。  でね、この物語を読んでいるうちに KiKi の頭の中にはこれまでに読んだことのある「うさぎ」が出てくるお話があれやこれやと思い出されちゃったんだけど、その過程で結構笑っちゃったことがありました。  それはたまたまリーパスが狩猟犬に追われているシーンを読んでいた時の事なんだけど、追われるリーパスがうさぎで彼を追う犬がビーグルなんですよ。  これってもちろんイギリスの狩りのシーンとしてはごくごく標準的なもの・・・・であることは百も承知なんだけど、KiKi のイメージではリーパス(うさぎ → ピーターラビット) vs. 猟犬(ビーグル → スヌーピー)で、ピーターラビットがスヌーピーに追いかけられているシーンがアニメみたいに頭の中でぐるぐるめぐるんですよ。  で、このウサギ狩りの描写が1回だけじゃなくて2回も出てくるものだから、これらの愛すべきキャラクターの追いかけっこを2回も想像しちゃって、1回目はともかく2回目の最初では思わず「プフフッ b-hato4-b.gif」・・・・と。  もっともこの連想はあまりにも惨いスヌーピーの末路でいきなりペシャンコになっちゃったんですけどね。  それにもっと言うならリーパスは hare (野うさぎ)であって、rabbit (穴うさぎ)じゃないから、リーパス ≒ ピーターラビット は連想自体が間違っているし・・・・・ ^^;

結構お気に入りだった登場人物はリーパスの宿敵のトムじいさんです。  お金には縁のない人物で、ついでに不潔っぽくて(何せお風呂には生まれてこのかた入ったことがないらしい!)、つれあいもいない(≒ ひょっとして偏屈?)という、実際にこんな人が身近にいたら、あんまりお友だちにはなれそうもない人物なんだけど、生命力みたいなものは凄くて、ある意味今の KiKi の理想の生活を実践しているちょっとレトロなおじいさんです。  途中、交通事故にあったとかで出番がなくなっちゃう(≒ リーパスが生き残れる最大の原因)トムじいさんなんだけど、復帰して暫くしてから寒い中、リーパス捕獲に乗り出すシーンは結構ゾクゾクしました。  ここでリーパスが助かるのはひとえにキジさんのおかげ・・・・なんですけどね。

2010_Apr07_007.jpgのサムネール画像
今年の春、Lothlórien_山小舎に訪れた懐かしのキジさん。  彼は無事だろうか??    

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://poco-a-poco.chu.jp/mt/mt-tb.cgi/763

コメントする

2015年2月

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28

Current Moon

CURRENT MOON

東京のお天気


山小舎のお天気


Booklog



ブクログ

アーカイブ

ウェブページ

Powered by Movable Type 4.261

TrackbackPeople

クラシック・ピープルの Trackback People Site


チェロ ラヴァーズの Trackback People Site


Piano~ぴあの Trackback People Site


ピアノオススメ教本の Trackback People Site


ピアノ教室の Trackback People Site


Book Love Peopleの Trackback People Site


本好きPeople・ぴーぷるの Trackback People Site


今日読んだ本の Trackback People Site


ファンタジーが好き♪の Trackback People Site


この絵本がすごい!の Tackback People Site


児童書大好き♪の Trackback People Site


ハヤカワepi文庫の Trackback People Site


岩波少年文庫応援団の Trackback People Site


薪ストーブの Trackback People Site


週末は田舎暮らしの Trackback People Site


野菜育てPeopleの Trackback People Site


ガーデニングの Trackback People Site


パッチワークキルトの Trackback People Site


あなたの訪問は?


日めくりカレンダー


Real Time News


カテゴリ

ノルンはいくつ?

本が好き!


読書メーター

KiKiさんの読書メーター
KiKiさんの読書メーター

最近読んだ本

KiKiの最近読んだ本

今読んでいる本

KiKiの今読んでる本

読了目標





今やってるゲーム

KiKiの今やってるゲーム

このブログ記事について

このページは、KiKi (Brunnhilde)が2010年11月11日 21:57に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「まほうのレンズ R.ヒューズ」です。

次のブログ記事は「木いちごの島をとりかえせ C.セフトン」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

高速運賃





Edita

ブロガー(ブログ)交流空間 エディタコミュニティ

名言黒板


作家別タグ