木いちごの島をとりかえせ C.セフトン

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岩波少年文庫の73冊目を読了しました。  この物語はかなり痛かったなぁ・・・・。  ま、いずれにしろ本日の KiKi の読了本はこちらです。

木いちごの島をとりかえせ
著:C.セフトン 訳:鈴木孝志  岩波少年文庫

2010_Nov11_002.JPG (Amazon)

ノーラは北アイルランドの小さな海辺の村ヘッドランドに住んでいる。  ある日、この村に都市ベルファストの学生たちが、野外学習のためにやってきた。  第一日目から、村の子たちと学生たちは激しく反目しあう。  ふたつのグループの対立は、やがて思わぬ悲劇をひきおこす。  民族間、宗教間の抗争がつづく、不安定な社会で傷つけられる子どもたちの姿を描いた異色作。 (文庫本扉より転載)

この物語、普遍性のあるテーマを扱っていると言えばそうかもしれないけれど、やっぱりアイルランドという国の成り立ちを知らないで読むと、ちょっと戸惑ってしまう作品かもしれません。  と言うのも、そもそも物語の舞台となるヘッドラインの子どもたちとそこを訪れた都市部ベルファストの学生たちがどうして反目しあうのか?がよくわからないから・・・・・・。  上記の扉に書かれた情報にある「民族間、宗教間の抗争がつづく、不安定な社会」に関する描写っていうのはあまりにもさりげなくて、特に子供の読者だと読み飛ばしてしまうような気がするんですよね~。  岩波書店さんが想定している読者層は「小学上級以上」とのことなので、尚更です。  KiKi はね、読書をする際には「あとがき」とか「解説」っていう巻末の何ページかは読了後に読むほうがいいと考えているタイプの人間なんだけど、ことこの本に関しては「あとがき」を先に読むことをオススメしたいと思います。

この本が扱っている普遍的なテーマっていうのは「争いの本質」とか「争いのエスカレートの仕方」といったことだと思うんだけど、そのベースにある複雑な建国事情、宗教観の対立、貧富の差といった要素は、その国に生まれ育った人間であれば肌身にしみて感じていることかもしれないけれど、アイルランドから遠く離れた極東の島国の子供では、なかなか理解しがたいと思うんですよ。  まして今の日本の生活環境は良くも悪くも豊かだし・・・・・。  もっとも KiKi が子供時代を過ごした高度成長からバブルに至るまでの時代に比べると、現在の「勝ち組 vs. 負け組」といった対立軸とか「長引く不景気の中で広がる格差」みたいなものを経験している子供たちのほうが、彼らの裏にある事情に敏感に反応することができるのかもしれませんが・・・・・

 

いずれにしろ、この物語で発生する騒動には「貧者 vs. 富裕者」、「被支配民 vs. 支配民」、「カトリック vs. プロテスタント」という、一言では語りつくせない対立軸があるわけで、そしてそれは極論すれば民族の DNA に刷り込まれているといっても過言ではない対立軸だったりもするわけで、まずそこに「対立」があることを前提にして争いが発生し、それがエスカレートしていくということに思い至らないと、揉め事の本質そのものがよくわからなくて、アホらしく思えてしまう・・・・・可能性もあるかなぁと。

ま、それはさておき、こういう物語を読むと常に KiKi が考えてしまうのは、「キリスト教」という宗教が抱えている矛盾なんですよね~。  あ、別にキリスト教だけが矛盾を抱えている宗教だとは思わないんですけど、本来「愛と平和」を説く宗教だったはずなのに、どうしてこうも排他的なのかなぁ・・・・と。  まあ、それは一神教ゆえ・・・・というのが1つの理由であるとは思うんだけど、少なくともカトリックとプロテスタントは同じキリスト教という傘に属しているにも関わらず、相手への否定の仕方に容赦がないというか、のりしろが少ないというか・・・・・・。

どちらがいいとか悪いとか、どちらが正しくて間違っているとか、そんなことを評定する気はさらさらないんだけど、「否定」からスタートした関係は悪化することはあっても好転することがないという、あまりにもシンプルなことがどうして通用しないのかが KiKi にはどうしても理解できないんですよね~。  いや、知識とか頭では理解できるんだけど、気持ちの問題として理解できない・・・・とでも言いましょうか。

恐らくここにはアイルランドの歴史がまさにそれを表しているように、単なる宗教観の対立というだけでは片付けることができない、政治的なものがあることは容易に想像できるわけではあるのですが・・・・・。  これが理解できないこと自体が「島国根性」なんだろうなぁ・・・・とは思うのですが・・・・・ ^^;  これが理解できないのは革命なくして明治維新を成し遂げた日本人だから・・・・・かな?  宗教心の薄い日本人だから・・・・・かな?  でも、はたしてそれだけなんでしょうか??  この物語の子供たちのように、大人たちの言動や幼い頃から聞かされてきた多くの物語の中に潜む「洗脳効果」みたいなものに差があるような気がしてならないんですけど、それは気のせいでしょうか??

それはそうとして、これは訳文のせいなのか、原文のせいなのかはわからないのですが、正直なところ KiKi にはこの物語の筆致は今ひとつピンとこない・・・・というか、好きになれません。  会話文と情景描写のバランスが悪いと言うか、その境目がスッキリしていないと言うか・・・・・。  テーマ自体は考えさせられることも多くて、プロットも悪くはないと思うんですけどね~。

最後に・・・・・

どうやらこの本は「岩波少年文庫創刊40年記念」で発刊された新作だったみたいですねぇ。  今となっては当時の記憶はあまりにも曖昧なんですけど・・・・。  KiKi の持っている本には当時の帯がついていて、40年記念でも読者プレゼントがあったみたいです。  因みに当時のプレゼントは

A賞: オリジナル洋傘(キャラクター入り)              50本
B賞: オリジナルエプロン(キャラクター入り)      300本
C賞: オリジナルハンカチーフ(キャラクター入り)  1,000本

ということだったみたいです。  これに対して 60年記念のプレゼントは

A賞: 「ちいさいおうち」ブックカバー              100本
B賞: 「長くつしたのピッピ」ペットボトルカバー   200本

これもまた不景気の煽りなんでしょうか?(笑)  ま、いずれにしろ、KiKi はブックカバーに何枚も応募しているんだけど、どうなっているのかなぁ????  10月31日消印有効の応募期間だったから、そろそろ結果が出てきても良さそうなんだけど、未だに届かないっていうことはやっぱりハズレだったのかなぁ・・・・・。  せっせと60年記念の復刊本を購入して応募したんですけどねぇ・・・・(苦笑)。

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