水の子 C.キングスレイ

| コメント(0) | トラックバック(0)

今週末までに図書館に返却しなければならない本があと2冊残っています。  そのうちの1冊をやっとこさっとこ読了しました。  こちらは初読です。  ず~っと昔、「英文学史」でタイトルと著者名だけは知っていたけれど、ず~っと読む機会を逸していた1冊です。

水の子
著:C.キングスレイ 訳:阿部知二  岩波少年文庫

2010_Nov03_001.JPG (Amazon)

煙突掃除の少年トムは、仕事中お屋敷のおじょうさんの部屋に入ってしまい、泥棒とまちがわれて逃げるうちに、川に落ちて「水の子」となります。  トムが川を旅しながら、女神の愛情ある導きによって魂の救いを得るまでを描くファンタジーの古典。  (文庫本扉より転載)

う~ん、これは正直辛かった・・・・・。  その辛さは切なくて・・・・とか、悲しくて・・・・とかといった物語の登場人物への感情移入から出てくる辛さではなくて、とにかく読み通すのに苦痛を伴ったという辛さ・・・・だったんですよね~。  このブログで「岩波少年文庫全作品制覇!」という目標を掲げてさえいなかったら、恐らく途中で「や~めた!!」と放り出してしまっていただろうと思います ^^;  最初のうちは期待しながら読み始めたのですよ。  みなしごで煙突掃除をしている可愛そうな少年な~んていう人物造詣は結構昔なじみで KiKi には懐かしいものだし、「水の子」というタイトルからは「水の精」みたいな連想が湧いてくるわけで、そういう世界観の物語は嫌いじゃない KiKi のことですから(笑)。  でもね、この本はぎゅっとまとめてみるとそういう世界観であることに違いはないんだけど、脱線が多すぎるんですよ。  だから物語にのめりこもうとする度に、待ったをかけられちゃうんですよ。  

その脱線の種類がこれまた KiKi にとっては苦痛の種で、1つはいかにもキリスト教的なお説教話。  そしてもう1つは話の大筋とは全く関係ない、キングスレイさんの知識大公開とでも呼ぶべき「博物学的見識のご披露」。  これが長い、長い、長い・・・・・・ ^^;  ところどころで美しい水の世界の描写があったり、科学万能主義への批判があったり、KiKi 自身も最近ではかなり疑問を感じている功利主義への問いかけがあったりして、決して嫌いな類のお話ではないはずなんだけど、とにかく読み通すのが辛かったぁ!!!!

    

基本的には生まれついてから、躾らしい躾などされたことがなかった、その結果として「してよいこととわるいことの違いがわからない」トムが魂を清めるために出た巡礼話@空想上の水の中というストーリーだと思うんだけど、ここにアメリカやアイルランドに対する著者の個人的な嫌悪感が出てきたり、罪と罰が出てきたり、刃物の種類が出てきたり、妙ちくりんな屁理屈を述べた後で学界批判が出てきたりとするものだから、子供が読んで楽しめるファンタジーを目指しつつも、社会改革派の演説みたいになっちゃったり、どこかの大学の大教室で行われている教授の棒読み講義みたいになっちゃっていて、どういうスタンスで読み進めればいいのか、途中で途方に暮れちゃうんですよ・・・・・ ^^;

この物語。  キングスレイの一番年下の息子に語りかけるという体裁をとっているんですけど、子供に対して高飛車に何かを語るというスタンスではないんですよ。  でもね、このお話の大筋には関係ない博物学的なことを滔々と述べたりしていることによって、子供との距離感のとり方も、とても中途半端・・・・というか曖昧な感じがして、結果、何を伝えたいのかがぼやけてしまっている感もなきにしもあらずだと思うんですよね~。  

第一、最後の章立てが「教訓」となっているのに、そして最初の方では「覚えておかなければなりません。」と言い切っているくせに、その締めの言葉がこんなん(↓)なんですよ!

最初にいったように、これはおとぎ話で、おもしろ半分の作り話ですよ。  だからおまえはこのお話を信じなくてもいいのですよ。 -たとえ、これが真実の話であっても。

まあ、フェアと言えばフェア・・・・かもしれないけれど(強制しないという意味で)、こんなことを敢えて言う必要があるんだろうか?と思っちゃうんですよね。  心の中でそう思っているのはいいとしても、こんなことを子供時代に言われちゃったら、KiKi だったら混乱しちゃうけどなぁ・・・・・・。

まあ、彼が生きた時代と言えば科学がどんどん発達してきた時期で、価値観の転換みたいなことがどんどん起こっていて、いろいろな意味で思想的には混沌としていたらしいっていうことだけはものすご~くよく伝わってくる物語だなぁと・・・・・・。  

KiKi はねぇ、かつては「岩波少年文庫」のラインナップにあったけれど現在では絶版状態になっている多くの物語に関して「勿体ないなぁ・・・・。  どうしてこんな本が絶版になっちゃっているんだろう。」と感じることが多いんだけど、この物語に関しては絶版になっているのも納得できちゃうような気がします。  単に古臭い・・・・・ということだけではないような気がするんですよね~。  仮にこれが再版されたとしても、多分 KiKi は蔵書に含めたいとは思わないかな・・・・・と。

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://poco-a-poco.chu.jp/mt/mt-tb.cgi/756

コメントする

2015年2月

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28

Current Moon

CURRENT MOON

東京のお天気


山小舎のお天気


Booklog



ブクログ

アーカイブ

ウェブページ

Powered by Movable Type 4.261

TrackbackPeople

クラシック・ピープルの Trackback People Site


チェロ ラヴァーズの Trackback People Site


Piano~ぴあの Trackback People Site


ピアノオススメ教本の Trackback People Site


ピアノ教室の Trackback People Site


Book Love Peopleの Trackback People Site


本好きPeople・ぴーぷるの Trackback People Site


今日読んだ本の Trackback People Site


ファンタジーが好き♪の Trackback People Site


この絵本がすごい!の Tackback People Site


児童書大好き♪の Trackback People Site


ハヤカワepi文庫の Trackback People Site


岩波少年文庫応援団の Trackback People Site


薪ストーブの Trackback People Site


週末は田舎暮らしの Trackback People Site


野菜育てPeopleの Trackback People Site


ガーデニングの Trackback People Site


パッチワークキルトの Trackback People Site


あなたの訪問は?


日めくりカレンダー


Real Time News


カテゴリ

ノルンはいくつ?

本が好き!


読書メーター

KiKiさんの読書メーター
KiKiさんの読書メーター

最近読んだ本

KiKiの最近読んだ本

今読んでいる本

KiKiの今読んでる本

読了目標





今やってるゲーム

KiKiの今やってるゲーム

このブログ記事について

このページは、KiKi (Brunnhilde)が2010年11月 3日 23:37に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「歌う石 O.R.メリング」です。

次のブログ記事は「ぼくがぼくであること 山中恒」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

高速運賃





Edita

ブロガー(ブログ)交流空間 エディタコミュニティ

名言黒板


作家別タグ