炎の戦士 クーフリン R.サトクリフ

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吾妻郡図書館で借りてきた「サトクリフ本」の2冊目を読了しました。  この本が出版されたばかりの頃に読んだときは、数ページ読むと睡魔に襲われ、どうも楽しむことができなかった印象の強かったこの本ですが、今回は何だかワクワクしながら読み進めることができました。  これは KiKi の気持ちに余裕があるせいなのか、たまたまO.R.メリングの本(「ドルイドの歌」)を読了したばかりだったからなのか、はたまたこの物語の世界観に対する KiKi の受容度量がようやく追いついてきた証なのか?(苦笑)  ま、いずれにしろ本日の KiKi の読了本はこちらです。

炎の戦士 クーフリン
著:R.サトクリフ 訳:灰島かり  ほるぷ出版

41TT2X606HL__SL500_AA300_.jpeg (Amazon)

太古のむかし、太陽神ルグとアルスター王の一族の姫デヒテラとのあいだに生まれたクーフリンは、勇者ぞろいの赤枝戦士団のなかでも並ぶもののない勇者に成長した。  『アルスターの猛犬』と呼ばれ、そして「アイルランド一の戦士」とうたわれた...。  カーネギー賞作家サトクリフの手によって、力強く、迫力いっぱいに語りなおされた、ケルト神話英雄譚。  『ケルト神話 黄金の騎士フィン・マックール』と対になっていっそう魅力的なケルト世界をかたちづくる。  (単行本扉より転載)

以前はどうしてあんなに眠くなっちゃったんだろう???  それが KiKi の大きな疑問になってしまうぐらい、今回はとっても楽しめました。  いいなぁ、クーフリン。  いいなぁ、ケルトの英雄譚。  いいなぁ、この原始的でどこか荒々しい世界観。  あ、ひょっとするとこういう物語の荒々しさを難なく受け容れられるようになってきた背景には、KiKi の山小舎暮らしが功を奏している・・・・っていう面もあるかもしれません。  なんせ山で暮らしていると都会生活では目の前で見ることはないような「自然の荒々しさ」と直面することも多かったりもするので・・・・・。  メリングの「ドルイドの歌」では生き生き・溌剌とした少年というイメージの強かったクーフリンが、こちらでは戦士然としています。

とにかく1冊まるごとクーフリンの物語で、その誕生から死までの逸話を若干ぶつ切り気味・・・・ではあるものの、まとめあげた作品なので、「クーフリン入門書」という印象の物語ではないでしょうか。  と同時に「ケルト神話」と本の副題で断ってはあるものの、どちらかというと「古代英雄叙事詩」という色彩の強い物語だなぁ・・・・と。  神様も出てくることは出てくるんですけど、これってどちらかというと人間の物語。  それも偉大な英雄の一代記っていう感じなんですよね~。  でも、これ、今では絶版なんですねぇ・・・・・。  この後、読もうとしている同じシリーズの「黄金の騎士 フィン・マックール」の方はまだ販売中なのに。  

物語の序盤でカトバド神官による「今日、戦士デビューする者に関する占い」を聞き、それを自分のものにしようと決めて「武者立ち」を願い出た時から、ひたすら死に向かって突進していくかに見えるクーフリン。  それを運命と呼ぶべきなのか、自分の選択と呼ぶべきなのか、かなり微妙だとは思うのですが、最後に渡し場で血のついたクーフリンの胴着を洗う老婆(それがケルトの英雄の死を表す)を見たとき、どんな英雄でも、ケルトのどんな魔法でも運命を変えることができない・・・・ということをクーフリン自身に、そして読者にも感じさせる筆致はさすがだと思いました。  

メリング版のクーフリンは決してジークフリートとダブるところがないように感じた KiKi ですが、このサトクリフ版クーフリンは、ジークフリートの原型だと感じられます。  神の血を半分だけ引いていること然り。  人間離れした武芸然り。  どことなく無鉄砲さを秘めているところも然り。  そして、愛する妻が夫の死に殉ずる姿然り。 

別の面ではクーフリンが武芸の師から譲り受けた、魔法の槍「ゲイ・ボルグ」の使われ方にアーサー王伝説の原型を見るような気がします。  クーフリンは生涯でたった2度しかこの槍を使わないのですが、その1回が他ならぬ親友のフェルディアとの闘いの場面であり、残りの1回が彼自身の息子・コンラとの闘いの場面です。  アーサー王の最期の悲しさに通ずるものがあるのと同時に、ここでは魔法というものが安易に使われるべきものではないことを、使う以上は尋常ではない痛みが伴うことを伝えているかのようです。

アーサー王伝説との類似点という意味では、ディアドラ伝説が顕著です。  ディアドラの物語はどこをどう読んでもこれは「トリスタンとイゾルデ」の原型としか思えません。  そう言えば、初めてこのディアドラの物語を読んだとき、KiKi はこのあたりの「ケルト伝承とアーサー王伝説をはじめとする中世英雄叙事詩の関連性」を1つのライフワークにしようと思ったんだっけ・・・・・。  

さて、「ケルトの白馬」と「炎の戦士 クーフリン」の2冊を読んだ限りでは、KiKi のサトクリフ苦手意識は若気の至り・・・・とでも呼ぶべき気の迷いだったという雰囲気なんですけど、3冊目はどうでしょうか?  これから「黄金の騎士 フィン・マックール」に進んでみたいと思います。  

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2010年11月 8日 10:58に書いたブログ記事です。

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