ムーミン谷の彗星 T.ヤンソン

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♪ ねぇ、ムーミン、こっち向いて  恥ずかしがら~な~いで~ もじもじしな~い~で~ ♪  何ともホンワカした雰囲気の主題歌に乗せてTVから流れてきたアニメ。  それが KiKi とムーミンの出会いでした。  実はこのアニメ作品に原作があるのを知ったのはそれから随分たってからのこと。  その原作に興味がなかったわけじゃないんだけど、当時の KiKi はビジネス書ばかりを読んでいて、凡そ童話なんていうものに投資をする余裕はなかったし、かなりせっせと働いていたため図書館に足を向ける時間もありませんでした。(何せ休日出勤は当たり前、たま~にお休みが取れたら日頃の睡眠不足の解消 & 溜まりに溜まった家事をこなすで大忙しだったのです ^^;)  で、「ムーミン本」のことはすっかり忘れ去ってしまい、「いつかは読んでみよう」と思ったことがあったことさえ忘却の彼方・・・・だった KiKi なのですが、見つけちゃいましたよぉ~ 吾妻郡図書館で!!  ズラリと並んだ「ムーミン童話全集」を!!!

ま、もともと「アニメ版ムーミン」も嫌いじゃなかったけれど大好物とまでは言えなかった KiKi なので、とりあえずお試しということで第1巻だけを借りてみました。  てなわけで、本日の KiKi の読了本はこちらです。

ムーミン谷の彗星
著:T.ヤンソン 訳:下村隆一  講談社

21F2QSN60GL__SL160_.jpeg (Amazon)

赤く長い尾を光らせた彗星が地球にむかってすすんできます。  ムーミン谷は大さわぎ!  ムーミントロールは彗星をしらべるために、遠い天文台へとでかけますが......。  (単行本扉より転載)

アニメ版ムーミンもさほど真剣には観たことがない KiKi ですが、ムーミンと言うと何となく「ほのぼの」という印象が強くあります。  これはあのちょっぴり間延びしたような味のある「アニメ主題歌」の功績だと思うんですけどね(笑)  で、これは児童書だし、シリーズ名も「ムーミン童話全集」だし、読み始めるまでは「ほのぼの」「明るい」「暖かい」という先入観があったのですが、第二章でいきなりそんな KiKi の勝手なイメージは覆されました。  な、な、なんと、彗星が地球に衝突して、地球が滅びるというお話なんですよ、これが!  で、そんな一大事だと言うのにムーミン・パパは地球の未来を息子に託すが如く、ムーミン・トロールとそのお友だちのスニフに真実究明の旅を申し付けるという、これまた無鉄砲なお話で・・・・・。

じゃあ、その緊迫感でグイグイ引っ張っていくお話なのかと思いきや、あと数日で地球が滅びるかもしれないという未曾有の危機の中、どこかマイペースな登場人物(?)たち・・・・・ ^^;  舞台設定だけは緊迫感があるものの、その描写もどこか「のほほん」としているし、まして登場人物たちの言動には危機感の欠片も感じられません。(笑)  でもね、ものすごく不思議なのはこのアンバランスさが案外心地よいんですよね~、これが。  普通だったら単なる「嘘っぽさ」だけが目立ち鼻白んじゃってもおかしくなさそうなところが、そうじゃない。  その鍵はやっぱりT.ヤンソンの秀逸なイラストと、彼らが交わす会話にある種の哲学的な何かが含まれていることだと思うんですよ。



 

冒険の旅に出たムーミンにムーミン・パパが持たせた磁石がうまく方向を示してくれなくなったとき

「ぼくたちは、本能にしたがって歩くのがいいんだ。  ぼくは、磁石なんか信用したことがないね。  磁石は、方角に対する人間の自然な感覚を狂わせるだけさ。」

ムーミン谷への帰路に見つけたお店で品物を物色しているとき

「今も考えたんだけど、持ち物を増やすというのは、ほんとに恐ろしいことですね。」

多くの顔見知りの人たちが逃げ惑っていて、誰もが自分のことで手一杯で挨拶もそこそこにあたふたと立ち去ってしまうのを見たとき

「ふしぎだなぁ。  ぼくは、あの人たちをたいてい知ってるし、長い間、会っていないんだよ。  だから、今こそ、うんと話があるのに。」
「あの人たちは、おびえているのさ。」
(中略)
「ぼくたちが、とくべつに勇敢なのじゃないと思うよ。  ただあの彗星に慣れてしまっただけなんだ。  彗星となじみになってるくらいだもん。  あれを知ったのはぼくたちが最初なんだ。  しかも、あれがどんどん大きくなるのを見てきたんだ。  彗星ってほんとにひとりぼっちで、さびしいだろうなぁ・・・・。」
「うん、そうだよ。  人間も、みんなにこわがられるようになると、あんなに、ひとりぼっちになってしまうのさ。」

もうまもなく、彗星が地球に衝突するというその時にちょっとしたいさかいが原因で避難場所から外へ出て行ってしまったスニフをさがしにムーミン・トロールが出て行こうとしたのをスノークのお嬢さんが止めようとしたとき

「これはしなくちゃならないことよ。  いそいで、できるだけ早く。」

ひとつひとつの言葉に彼らの「価値観」のようなものが滲み出ていて、それが現代社会に生きる私たちへの問いかけにも似ていて、多くのことを考えさせられる物語だと思いました。

フィンランドの作家さんが書いたものらしく、どこか静寂で幻想的で、「穏やか」なんだけど「寂しさ」のようなものが感じられる筆致には、何となくほっとさせられます。  

でね、どうやらこれは結構 KiKi 好みのお話であることが判明したので Amazon で調べてみたら、今回 KiKi が図書館から借りてきたこのハードカバー本の他に、講談社文庫や講談社青い鳥文庫にも全作が収録されていることが判明しました。  これは大人買いして揃えるパターンでしょう!!(笑)  ま、てなわけで次回作からは図書館本ではなく文庫本(or 青い鳥文庫)で Review を書くことになりそうです(笑)  

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2010年11月16日 11:28に書いたブログ記事です。

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