エルフギフト(下) 裏切りの剣(つるぎ) S.プライス

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ちょっと親戚筋で不幸があったり、仕事でトラブルがあったりでバタバタしておりました。  ようやくちょっぴり落ち着いたところで、何とか読了したこちらのエントリーを書いておきたいと思います。  ま、てなわけで本日の KiKi の読了本はこちらです。

エルフギフト(下) 裏切りの剣(つるぎ)
著:S.プライス 訳:金原瑞人  ポプラ社

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叫び石の戦いに勝利して王となったエルフギフト。  しかし、傷ついた弟ウルフウィアードを助けることを選んだために、オーディン神の庇護を失うことになる。  一方、異母兄アンウィンは他国の兵を借りて攻め寄せてくる。  エルフギフトを「血染めのワシの刑」にし、王位を奪おうというのだ。  ユルの祭りの夜、双子の神のように剣の舞を行うエルフギフトとウルフウィアードの頭上に、運命の剣は振り下ろされる  ―ゲルマン神話の重厚な世界が鮮やかに蘇る、愛と憎しみのファンタジー完結編。  (単行本扉より転載)

う~ん・・・・。  上下巻読み通してみて、やっぱりちょっとビミョーかも・・・・ ^^;  確かに北欧神話(というよりゲルマン神話)をベースにしていて、オーディンなんかもうま~く登場させているし、「生と死」を必要以上に美化も嫌悪もせず描ききった異色作だとは思うんですよ。  エルフギフトの最期と再生の描写なんかは迫力も満点だし、そういう意味では不満に思うことは何もないはずなんですよ。  ないはず・・・・にも関わらず、何かが足りない・・・・・。  そう感じちゃうんですよね~。  エルフギフトとウルフウィアードの「剣の舞」のシーンも必死に荘厳さ、神秘さ、美しさを表現しようとしているのはわかるんだけど、上橋さんの「闇の守り人」で読まされた「槍舞い」のシーンに圧倒されねじふせられちゃったような説得力には欠けている・・・・・。  エルフギフトの死体をオーディンが○○するシーンは「おお、ケルト!」とは思わせるんだけど、他のいくつかの本で読んだ「ドルイド」関連の記述とかケルト人の哲学に関する考察の記述ほどには、響いてこない・・・・・。  まあ、これがそういう本を読んだことがない状態で初めて目にしたものだったらもう少し異なる感動(? 感慨?)を得たのかもしれませんが・・・・・。  それか、この本は1度読んだだけでは足りなくて、2度3度と読み返してみたときに初めて伝わってくる何かがあるのか???

ま、なんていうか、KiKi にとってこの物語は「北欧神話やケルト関連の小道具 & 精神性のエッセンスをありったけ集めて出してみたらこんな物語になりました」という物語以上でも以下でもなかった・・・・そんな印象です。  ま、そんな読後感になってしまった最大の理由は、登場人物の誰一人、そしてどの一場面における感情・感慨・動機に関しても共感できるものがなかったということ。  さらにはオーディンにしろヴァルキューレにしろ何ひとつ新しい発見がなかったということ・・・・かなと。

KiKi にとって一番魅力的に映ったのは、オーディン(というより片目の男)がエルフギフトを蘇らせるにあたって詠唱した18編のルーンの歌でした。  これがどういうものなのかは訳者のあとがきによると「古エッダ」の中の "The Words of the High One" をもとにした歌なのだそうです。  なるほど~。  って言うことは以前からず~っと先延ばしにしている「エッダ」を真剣に紐解く覚悟をせい!という神の啓示だったってことですかねぇ(苦笑)

最後に・・・・・・

この物語のメインテーマではないけれど、エルフギフトと義兄アンウィンの闘いにより古くから伝わる民族土着の宗教(多神教)と新興のキリスト教の闘いが描かれています。  実はこのあたりのことっていうのを KiKi が真剣に興味を持ち出したのは大学生になってからでした。  少なくとも KiKi が高校までの学校で教えられる歴史の勉強では、キリスト教 vs. イスラム教の争いやカトリック vs. プロテスタントの争いに関しては多くを学び、考察する機会があったけれど、この古い土着信仰とキリスト教の争いに関しては「キリスト教迫害の歴史」を学ぶことはあっても逆の目線で何かを学ぶ機会はものすご~く少なかったように思うんですよね。  少なくとも受験対策としては「覚える必要も、考察する必要もない」出来事だったんじゃないかと・・・・・。  でも、実はここをきちんと見つめることがその後の多くの宗教に関するゴタゴタや民族紛争に関するゴタゴタを理解するうえでは、結構大事なポイントなんじゃないかと今の KiKi は思っています。  

そして、この物語でもアンウィンが「キリスト教信者」でありながら、凡そ「キリスト教徒らしからぬ」行動に走るあたりに、人間というこのしょうもない生き物の限界を感じてしまうのです。  だから・・・・と言って決して KiKi は人間に絶望しているわけではないんですよ。  でも少なくとも人間は自分たちが思っているほど偉いモンじゃない・・・・・ということの証左の1つがここにもあるなぁ・・・・と思うのです。

      

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2010年12月10日 23:24に書いたブログ記事です。

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