グリーン・ノウの煙突 L.M.ボストン

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2011年度の新年おめでとう企画の「グリーン・ノウ物語再読」計画。  思っていたよりちょっぴりスローペースになってしまっていますが、順調に進んでいます。  昨日第2作を読了しました。  ま、てなわけで本日の KiKi の読了本はこちらです。

グリーン・ノウの煙突
著:L.M.ボストン 絵:P.ボストン 訳:亀井俊介  評論社

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待ちに待ったお休み。  トーリーは、ひいおばあさんのいるグリーン・ノウのおやしきにもどってきました!  ひいおばあさんがつくるパッチワークの布から、むかし、ここに住んでいた人たちのすがたが、あざやかによみがえります。  (単行本扉より転載)

前号で描かれたのはグリーン・ノウの晩秋からクリスマスまで。  今号で描かれているのは春の景色です。  以前、岩波少年文庫に収録されていたボストン夫人の「リビイが見た木の妖精」「海のたまご」を読んだときにも感じたことだけど、彼女の作品は自然に対する目線がとっても素晴らしい!!  この物語でも「グリーン・ノウ」を取り巻く自然を今そこに生きている人間が自分の根っこにあるものとして、本能的に、あたかも自分の一部としてでもあるかのように受け入れていくという様がみずみずしくもまぶしい描写で描かれています。  

物語全体のプロットとしては 

イースター休暇で、グリーン・ノウに帰省したトーリーは、前号で出会った幻の子どもたち(つまり300年前の幽霊?)、トービー、アレクサンダー、リネットに会うことを期待していましたが、彼らに会うことは叶わず、彼らが描かれていたあの絵がロンドンの展示会に出品されていて、もしかしたら、売られてしまうかもしれないことをオールドノウ夫人に告げられます。  グリーン・ノウの厳しい財政事情を初めて知らされたトーリーは150年前に失われたことになっている『グリーンノウの宝石』を捜し出し、再びトービーたちを取り戻すことを決意します。  色々事件はあったけれど無事『グリーン・ノウの宝石』を見つけ出し、めでたし、めでたし。

という、ちょっと荒唐無稽 & 古めかしいハッピーエンドの物語 ^^;  でもね、この物語はその全体のプロットを楽しむ物語ではありません。  宝石さがしの過程でトーリーが経験する一つ一つの出来事や、失われた宝石にまつわる150年前の人々の暮らしぶりの物語をスルメイカを味わうように、じっくりしみじみと味わう物語なのです。  

今号で KiKi がもっとも強く感じたこと。  それはこの物語の中に確かに息づいている著者 L.M.ボストンさんの生き様・・・・とでも呼ぶべきもの。  この物語で描かれている「グリーン・ノウのお屋敷」は実際に彼女が暮らしていた「マナー・ハウス」というお宅で、日本からも多くの観光客の方がお邪魔しているみたいなんだけど、そこでの夫人の暮らしぶり、物語創作の様子、そして彼女のもう1つの顔、「パッチワーク製作者」としての仕事ぶり、さらには庭仕事のあれこれがそこかしこに溢れているんですよね~。

正直に言っちゃうとね、KiKi は長らく「パッチワーク」というものにあまり興味がなかったんですよ。  昔の人たちのパッチワーク(それはこの物語のみではなく、たとえば「大きな森の小さな家」に代表される L.I. ワイルダーの作品なんかで描かれている、生活に根差した、モノを大切にする精神に満ちたパッチワーク(それでいて芸術的!)には感嘆せざるをえないと思っているんだけど、イマドキの趣味の世界で行われている「お金をかけて作る手作り強調型」のパッチワークにはどうにもこうにも精神的に馴染めなくてねぇ・・・・。  

でもね、この物語を再読してみて「ここは誰それのオシャレな○○」「ここは誰それの仕事着」「はてさて、ここは誰の何だったのかしら??」な~んていう会話が弾むようなパッチワークには文句なしに憧れちゃうんですよね。  因みにこちらのボストン夫人のマナー・ハウスには彼女の作品のパッチワークも数多く展示されているようです。  で、ちょっとググってみたらボストン夫人のパッチワーク作品を紹介しているサイトにいきあたりました。  こちら  とか  こちら  とか  こちら

で、この物語を読んでいるうちに無性にこの本に興味が出てしまい、思わず衝動買い・・・・ ^^;

ボストン夫人のパッチワーク

5137R9XHMVL__SL500_AA300_.jpeg (Amazon)

「グリーン・ノウ物語」の作者として知られるボストン夫人の、あたかも詩の一編のようなパッチワーク作品の数々。  冬のイギリスと、リンボウ先生が愛したマナーハウスと、色とりどりのパッチワークに宿る思い出たち。  (Amazon より転載)

この物語を読んでいて「物語を紡ぐ」という表現の仕方に改めて納得。 

さて、物語の中ではトーリーがおばあちゃんの「パッチワーク語り」を聞きながら、150年前にこの家で暮らしていた子供たちと触れ合うことになるのですが、盲目の少女スーザンとその下男ジェイコブの関係が素敵でした。

「おじょうさん、目が見えないけど、
 僕に見えないものを、ときどき見るんだね。」

目の見えないスーザンが感じていただろう世界の豊かさの描写が素晴らしかった!!  彼女にとって「目が見えない」ことは必ずしも不幸なことばかりではなかったのですね。  目が見える人よりずっとたくさんのものを感じて心の目で見て受け入れて、目が見える人よりもはるかに「世界の確かさ」みたいなものを感じているようなスーザンの姿に感動しました。  そして、そんなスーザンに気持ちが同化しているせいもあったのかしら??  スーザンとジェイコブの歓声がトーリー一人ぼっちの庭に響き、その音が鳥の声に変わっていくシーンではぐっときてしまいました。

最後に・・・・・

トーリーが見つけ出した「グリーン・ノウ」の宝石を銀行の貸金庫に預けた直後の「グリーン・ノウおばあちゃん」の感想には思わず拍手でした。  曰く

(事務的にそれを受け取り、お金を山積みにし、それを1つ1つ緑の毛織物の袋に入れた宝石と一緒に鉄の箱に納め、がっちりした金庫にしまいこんだのを見て)

「やれやれ。  賢明なことなんでしょうけど、あんなふうに取り扱うなんてつまらないわね。  私は本当のところ、キャクストン(150年前にこの館に仕え、泥棒を働いた悪いヤツ)の穀物袋の方(キャクストンは盗んだものを穀物袋に入れて隠しておいた)が、いいしまい場所だと思うわ。

KiKi もまったくそう思います!!

 

追記: このエントリーは2011年1月20日、Dill さんのブログの関連記事にTBさせていただきました。

 

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コメント(2)

こんにちは。
今日、この物語を聴き終わったところです。
はい、するめいかみたいに、渋い味があって、楽しかったです!
私はこの本は、初めてだったので、スーザンはどうなるんだろう、って、興味深々で、おばあさんの語り聞かせにわくわくしました。
ちょっと役回りがありきたりとは思いますが(笑)、でも、いいですよね~、スーザンのお話し。それに、煙突って、下から恐々のぞいたことしかなかったけど、こんなになっているのだ、と感心しました。
kikiさんは、パッチワーク元年なんですね。私も、イギリス人の、昔のものを大事にする情熱に、ややたじろぎながらも(骨董屋とか行くと、そんなガラクタまで売るのとびっくり!)、素敵だと思います。
kikiさんの山小屋生活は、イギリス人の田舎住まいの精神に似てますね。いいなぁ、うらやましいです。 人間って、やっぱり自然と触れている方が、幸せなんじゃないか、とこのごろ感じます。 そこで、私は、今年は、Boston夫人を見習って、鳥たちと友達になってみたいです。

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2011年1月 6日 10:58に書いたブログ記事です。

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